悟りの月手が届かない信仰だ(川柳)
母胎には臓器に芯が宿るのよ
夢の中昼の愛はと問われてた
ヨビカケル 強く風吹く方を向き
櫛を踏むこの足を踏む君の眼よ
誕生日今日も私の髪拾う
首輪嫌い 所有者面すら許さない
全員でお手々繋いだ蝶の永遠
数合わせ貝合わせまた手合わせ
この月の鍵穴に開く夜がある
赤の洪水産まれた君は生の色
日々の中口笛だけが馳せて行く
青い灯は黙ったままで死を拒む
書いて変じて残る永久機関
夜中の失神打った頭の実は溢る
失神の目覚めの頬は童女に見える
悟りの月手が届かない信仰だ
種を拾った手 幻視の森よ立ち昇れ
川明かり魚の泡も溶け消える
ビエンナーレ崩す既視感熱い手よ
昇りゆく日を探す目はもう盲目
つまらない返事を笑った終の朝
眠る前数えた薬は十一個
寿命の分かるスマホのお手軽な死
習ってみたら習えるものじゃなかった眠り
大らかに踏み外すときの五・七・五よ
ミス・スカート開いてみせて赤い華
私から滴る毒が鍋に入り