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幽霊の鉛

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#文章

証言

証言

不要だったらしい
いつから気がついて知らないふりをしていたかは忘れてしまったけれども
所詮つぶらな瞳で充分らしい

私の言葉がどこまで効力を持つかはわからないけれども
所詮被告の言葉は聞くに値しない
目と鼻と口と、ただ愛嬌があれば人は救われる
七の目が三つ揃えば人は癒される
それじゃあ私はいらないね
ただ罪だけが君の腕に煤りついて汚いだけだ

所詮取るに足らない存在だ
所詮つぶらな瞳で充分らしい

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センタク

センタク

世界は思っているよりもつまらない!
亜細亜の片隅で何を見た
世界の全てを知らぬがままに
朝焼けの美しさに何度でも感動できる愚か者のままで何を望める

感性の育ちは所詮行き詰まっちまって
知らない男の顔が近づいて
席取り合戦には勝てたけども
矢張りその程度で喜べる愚か者のままで
望むな持て余すな

こんなんだよ俺は
隣の女が不審にこっちを見る挙動は反吐が出る
幾日も洗っていない服の臭いが気持ち悪い

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仮判決

仮判決

地獄に落ちるってさ、言われたんだ
よかった、よかったなぁ

心配してたんだ、きっとこの魂が崇高なはずはないから
不安だったんだ、報われていいはずがないから

だから、よかったな

地獄に落ちるってさ、言われたんだ
怖いかな、怖くないかもな

安心材料なんだ、きっとそれ以外に信じれるものがないから
期待だったんだ、差し伸べて欲しかったから

だから、怖くないな