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幽霊の鉛

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2023年10月の記事一覧

全部がプランクトンらしい
それなら、好き嫌いだってあるはずだ
東の海はいいけど西の海は嫌だとか
奴ら、てんで顔を変えやがるから
放課後に呼びつけたあいつは
俺にとって都合のいい顔しか見せていない
だけどその水面に惹かれてるのは
遠いむかしに一緒だったからかな

見ろ! 実がなる日も 枯れてしまった日も
聞け! 殺した日も 愛した日も
言え! そンだけ裂けた口はどうした
でも糞しか吐かねぇ
投げて、楽しい?
あんよがってだけで可愛がられてたのに
頭が落ちて拾ってくれたのに
今じゃすっかりゴミ捨て場で抱きしめンのかい

金魚に餌をやるだけで
どうして死なないと思っていたのか
健康に気遣ってね
声が聞こえなきゃここまで好都合で居られるんだ
そンならダルマにでもなろうか
耳も目もちぎってつぶして
面倒見てくださいねって送ってやるか

惨めな糧になるために
苛立ちで削られるために
勝ちのための負けになるために
奪われるべき存在のくせに
反抗期ぶってるのが気に食わないのか
そんなに言うならいっそ殺してくれれば良かったのに

小さなノイズを声だとかに聞き違いさせて
それで信じ込ンでる
どこまでが洞窟なのか
あのおっさんは俺嫌いだけどね
要するに人間不信だったんだな
それは良くわかるよ
壇上から降りといで
その髭毟ったら
一緒に菓子でも食おう

瞬きも欠伸も全部一瞬のことで
それでも待ってることが人間らしい
いや、人間ではないのか
とっくに細胞化されて
空気よりも小さい扱いだろう
酸素が薄く
まつ毛のひとつも撮らえられて
それでも神様も仏も宇宙もあいつらも
天国も地獄もトイレも本当にあるかは
わかったフリしかしない

ぞっとする
木枯らしが傍を歩くようになると
死者の声が楽しそうに歌い出す
そうか合唱コンクールの時期とか?
だったら別に、足を掴まなくたって良いじゃない
土に埋もれて 明日の六時にまた目を覚ます