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イガグリのイガは「毬」って書くって知ってた?
こんにちは。秋田県由利本荘市でごてんまりを作っています〈ゆりてまり〉です。
突然ですが皆さん、この漢字の読み方をご存知でしょうか?
「毬」
そう、「まり」です!
手毬のまりですね。
しかしこの漢字、「いが」とも読むということを知っている人はどのくらいいるでしょうか?
「イガグリ」の「いが」です。
「毬栗」と書きます。
本当です。
そして栗の個数を数える時、雅な言い方では、一鞠(ひとまり)ニ鞠(ふたまり)という数え方をします。
栗とまりには意外な関係があるんですね。
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しかし何故栗の数え方にまりが出てくるのか、不思議に思いませんか?
見た目は全然違うのに。
一見、何の関連性もないように思える栗とまりですが、少し俯瞰で見れば共通点があります。
どちらも表面に針状の突起が無数にあり、かつ全体として見るとコロンと丸い形をしている、という点です。
全然違うように思えるのは、イガグリの針が触っていられないくらい鋭いのに、手まりは触っても全く痛くないからです。
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しかしまりの表面をよーく見てください。
まりの表面は糸が一本一本重なってできていて、手で触るとかすかに糸のチクチクとした感触があります。
「チクチク」といっても、もちろんイガグリみたいに手に刺さって痛いわけではありません。
この表現がいまいちしっくりこないのであれば、「モケモケ」ではいかがでしょうか?
まりは現在のように糸を巻いて作られる以前には、おもに蹴鞠の道具として扱われ、動物の毛皮で作られていました。
「毬」や「鞠」に、毛や革という文字が含まれているのはそのためです。
毛皮で作られたまりは、きっと毛羽だってモケモケしていたことでしょう。
糸を巻いて作ったまりも、よく見るとモケモケしています。
ツルンとはしていません。
もう一つ、ツルンというよりはモケモケした丸いものの代表に、マリモがあります。
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毬状の藻だからマリモ(毬藻)。
マリモも表面に無数の突起があり、全体としては丸くて可愛らしいですね。
やはり、「まり」には第一に丸いこと、尚且つ表面に針状の突起が無数にある、という点が重要なようです。
よく手まりは「丸い形が円満の象徴である」なんて言われますが、実は無数のトゲがたくさんあるなんて、ちょっとおもしろいですね。