メンタルの不調と気候は関係するのか【気象病】【自殺率】
こんにちは。
秋田県由利本荘市でごてんまりを作っています〈ゆりてまり〉です。
皆さんは「気象病」という言葉を聞いたことがありますか?
気象病とは、天気の変化による身体の不調のことです。
おもな症状は「頭痛」「だるさ」「気分の落ち込み」などだそうです。
第一三共ヘルスケア株式会社が全国47都道府県を対象に行った「気象病」に関する実態調査によると、気象病による“メンタル不調”を経験したことがある人は、「秋田県」(73.2%)が最も多いそうです。
わたし自身は経験したことがないのですが、気象病で苦しんでいるんだろうなあという人は周りにたくさんいます。
「雪が降ると気分が落ち込んでいるつらい」
「3ヶ月も太陽の光が見られないなんて耐えられない」
などという話はよく聞きます。
たまに冬の間だけ秋田を出てもっと南の地域で過ごす、という人もいます。
典型的な日本海型気候で降雪量が多い秋田の気候は、確かに多くの人にとって厳しいと感じられるでしょう。
それにしても、気象病による“メンタル不調”を経験したことがある人は秋田県が一番多く、73.2%もいるという調査結果は驚きですね。
わたし自身は一度も感じたことがないので、余計に驚きました。
気象病の話をすると、「だから秋田県は自殺が多いんじゃないのか」という反応が実に頻繁に返ってきます。
冬が長く日照時間が短い秋田の気候が、人々のメンタル不調を引き起こし、自殺率の高さに影響しているのではないか、という論理です。
先に紹介した第一三共ヘルスケアのサイトでも、気象病によるメンタル不調の経験者最多の秋田県と最少の広島県の気候の違いについて触れています。
こういう文章を見ると、気候とメンタルの調子はかなり関係しているのではないかと思えてきます。
そしてその結果、気候は自殺率にも関係しているのではないか、そう考える人が出てくるのも分かるような気がします。
しかし、必ずしも気候と自殺率が関係しているとは言えないようです。
実際に秋田県の自殺予防対策に関わった本橋豊さんは、自著でこう述べています。
本当に気候と自殺率が相関しているのだとすれば、冬が長く雪が多いという気候条件は変わらないのに、時代によって自殺率が変動するというのはおかしな話です。
自殺が日照時間に関係しているとする説もありますが、日照時間の多い宮崎県は自殺率が高く、少ない石川県の自殺率が低いというデータもあります。
やはり気候と自殺率が直接結びつけられるわけではないようですね。
雪が降ると「気分が落ち込んで仕方ない」という人もいますが、「これは雪かきをしなければ!」と喜び勇んで外に出ていき、逆に元気になる人もいます。
わたしなどは雪が降ったとか低気圧が近づいてきたからといって、とくに何も感じません。
結局は個人差があるので、どう感じるかは人それぞれです。
ただ気になるのは、調査概要に書かれた「性・都道府県別均等割付」という言葉です。
「都道府県別均等割付」は、都道府県別のサンプル数が47都道府県で均等になるようにしたという意味です。
「2350人÷ 47 = 50人」ですから、各都道府県で50人の方に回答してもらって集計したという意味になります。
「性・都道府県別均等割付」とあるので、おそらく男女の割合で調査結果に偏りが出ないようにという配慮は行われているのでしょう。
しかし年齢別の配慮が行なわれているかは不明です。
全国で最も高齢化が進んでいる秋田県は、その50人の中に高齢者が多く含まれている可能性があります。
一般に高齢になってくると、どうしても心身の不調が増えます。
気象病によるメンタル不調の経験者が多いのは、もしかするとそのせいなのかもしれません。
この調査で分かるのは、「今回は都道府県別にこういう回答をする人が◯%いたよ」ということだけです。
再現性のない実験結果を元に、気象病に関する都道府県別のランキングをつけるなど、本来はできるわけがありません。
そのため、この第一三共ヘルスケアの調査結果もあまり深刻に捉えず、「まあ、そんなこともあるかもね」程度に受け止めようと思います。
そのほうが、メンタルを不用意に落ち込ませなくて済むでしょう。