初めて演技に挑戦してみた #011
大学生の頃、映像作品を創作する授業を履修していました。
この授業は、学生にとても人気がある授業だったので、オーディションに合格しなければ、授業を履修することができませんでした。
オーディションの課題は、即興で演技を行うこと。その場でランダムに5人グループが編成され、演技のプランを考える時間が1分間与えられたあと、5分間演技をするものでした。
初対面の人たちと1分間でどんな演技をするか考えないといけないし、そのあと実際に演技もしないといけない。演技経験がない私にとっては、とても過酷なオーディションでした。
1分間の話し合いでなんとか考えた設定は、「王様の結婚相手を決める争い」。
話し合いの直後、「よーい、スタート」と言われ、5分間の即興演技が始まりました。
「王様の前で特技を披露しましょう」の一声から、各々が順番に特技を披露する展開になり、私は、百人一首の中の一首を読み上げました。
もはやこれを演技と言っていいのだろうか…
私という人間がただ特技を披露しただけではないだろうか…
初めて演技をしてみて、役を演じているのか自分なのかわからなくなりました。
ドラマや映画で、俳優たちはさまざまな役柄を演じています。テレビやスクリーンの画面には、俳優たちが与えられた役柄の人間が確かに存在しているように感じます。
私が、演技というもの(演技と言っていいのかという論点は置いておいて…)に初めて挑戦してみて、俳優たちの演技力の高さに改めて感服しました。