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【デジタルファッション】トップブランドの動きを知ることでトレンドを知る【10KTF】
デジタルの仕立て屋【10KTF】
こんにちは。アキスケです。
今回はデジタルファッション分野で、注目の海外プロジェクトについて書いていきます。
GUCCIや、NFT領域における現在のハイブランドである「Bored Ape Yacht Club」とも関わりのある「10KTF」という名前のプロジェクトです。
新しいファッションの、オーダーの形として今後トレンドになる可能性は大いにあると感じています。
ちなみにハイブランドと聞くとパリピなイメージがして敬遠しちゃう、という人もいると思います。ぼくもそういうタイプです笑
それでも彼らがどんな作品を産み出しているのかをニュースを通して見ることはします。
なぜなら それは今回のお話の結論にもなりますが
ファッションのトレンドはハイブランドから生まれるため、です。
ユニクロや無印良品、H&Mなどのファストファッションにあるお洋服も、BEAMSやUNITED ARROWSなど感度の高い層に向けてのお洋服も、HERMESやGUCCI、Louis Vuitton、CELINEなどハイブランドのコレクションに影響をうけてものづくりをしていきます。そしてトレンドが紡がれていきます。
今回とりあげる10KTFは、GUCCIのように現実世界のハイブランドとも関わりがありますし、デジタル分野、特にちかごろ話題のNFTのトップであるBored Ape Yacht Club(以下BAYC)とも関わりがあります。そして創業者にはBeepleという一流のアーティストがいます。
つまり、デジタルファッションの最上流に位置していてトレンドをつくるポジションにあるのでチェックしておくべき存在ということになります。
10KTFとは
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ここからは10KTFとは何なのかについて説明していきます。
簡単にいうと、デジタル空間にある仕立て屋さん です。
この仕立て屋さんにはいくつかの基となるデジタルの素材があって、顧客はNFTを持っていくと、持ち込んだNFTと基の素材を組み合わせてオリジナルのNFTつくってくれます。という仕組みになっています。
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使い方の詳細は公式のWebから確認できます。
また、この仕立て屋さんには設定があって、それがユニークです。
Neo Tokyoという仮想都市があって、そこにある1軒の工房を舞台にしています。その工房の店主はWagmi-san(ワグミさん)というおじいちゃん職人で、世界的に有名なデザイナー、という設定です。
ゲームやアニメの世界ではこういった設定は珍しくありませんけれど、NFTの分野ではストーリーを作り込んで、というのは今はそれほど多くありません。
なぜ有名ブランドと繋がっているか 1
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この10KTFはGUCCIやBAYCと関連があると先に述べました。なぜそのようになっているかというと、運営元に世界的に著名な人間がいて、かつ強力なパートナー企業がいるからといえます。
そもそも10KTFは「WENEW」という企業のNFTプロジェクトで、その創業者はビープルさんという人です。このビープルさんという人は、描いたNFTアートが75億円もの価格で落札されたことがある世界的に有名なアーティストです。
彼の作品はTwitterから見ることができるのでまだ見たことない人は見てみてください。最新の時事ネタを題材にした、ちょっと風刺の利いた作品が特徴です。
TWITTER 2092 pic.twitter.com/AWIALSvcwi
— beeple (@beeple) November 26, 2022
そして彼がスタートしたWENEWの志に賛同したパートナー企業も、TIME、UNIVERSAL、WARNER、とそうそうたる顔ぶれです。
以上のことから彼らと協業することはブランドにとって価値があり、そのため有名ブランドとのコラボが実現しています。
なぜ有名ブランドと繋がっているか 2
もうひとつ理由があります。
それは顧客層をステータスのある層に絞っているから。
先に10KTFでアイテムをつくるには、自分のNFTが必要と書きました。このNFTは、何でも言いわけではなくて限られています。
そしてそれは「ブルーチップ」と呼ばれる、持っていると一定のステータスと認識されるものだけです。現実世界でいえばポルシェとかロレックスとかを持っている人だけが利用できるサービスのようなものです。
ちなみに、なんどか出てきているBAYCもブルーチップと呼ばれるNFTのひとつです。所有者にはジャスティン・ビーバー、エミネム、ネイマール、ステフィンカリー、パリス・ヒルトンなどセレブが名を連ねます。BAYCを所有していることは今やひとつのステータスとして成立しています。
お金で線引きされている感じがしてなんだかなー、という気もしなくもないですけれど、いっぽうで経営するうえではターゲットとする顧客を定めるというのは成功する上で鉄則です。
10KTF側からいえば、ターゲットをしっかり絞ることでハイブランドとしてのブランディングができます。そして一定のステータスを持った顧客にターゲットをしぼっていることで、荒しのようなマナーの悪いユーザーの防止にもつながります。
他方、自分達の価値を高めつつ新たな顧客を得たいブランド側からすれば10KTFの顧客層をみて、自ブランドのターゲットと合いそうと思うから安心してプロダクトを提案できることにつながります。
10KTFを通してつくられたNFT
作成されたNFTをどう扱うかは所有者の意思に委ねられます。販売に出す人もいて、NFTの二次流通販売先のひとつである「OpenSea 」で確認することができます。もちろん購入できます。
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https://opensea.io/collection/10ktf
次に、GUCCIの素材とブルーチップNFTを組み合わせたコレクション。
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https://opensea.io/collection/10ktf-gucci-grail
作品一つ一つの色使いやデザインが持つアート性はさすがの一言です。加えて特徴は値段です。もともとのNFTはおおむね2ETH以上、日本円でおよそ35万円もしますけど10KTFでつくられたものは、7,8万円ほどでだいぶ買いやすくなっています。高いことに変わりないですけど、オリジナルよりは手が届きやすくなっているのでつい欲しくなります汗
10KTFの今後
ここでは10KTFの最近の動きを。よりデジタルファッション分野でのハイブランドの価値が高まっていきそうなニュースがありました。
10KTFの運営であるWENEWは、BAYCコレクションの運営元である「Yuga Labs」に買収されました。それに伴いWENEWの創業者であるビープルさんはYuga Labsのアドバイザーに就くこと。
Yuga Labsは今年3月に約40億ドルの評価額を受けた、市場規模の観点で最も成功しているNFT関連企業です。
この買収による具体的な動きはまだ発表されてはいないものの、10KTFにおいてはYuga Labsが開発しているメタバースゲーム「Otherside」に組み込まれるのではないかとの噂がされています。
■ソースはこちらのニュースです
おわりに
今回は「トップブランドの動きを知ることでトレンドを知る」として【10KTF】という海外のプロジェクトを取り上げました。
おさらいすると10KTFは
・デジタル空間にある仕立て屋さん
・顧客のブルーチップNFTと素材を組み合わせてNFTをつくる
・創業者は世界的なアーティストでパートナー企業もビッグ
・顧客層は富裕層やハイブランド好き
・11月にYuga Labsに買収され、さらにブランド価値向上が見込まれる
以上になります。
さきに述べましたけれど、現実でもデジタルでも業界のトレンドはトップブランドがつくっていきます。今後のトレンドをつかんでおくことは自分が何か購入する際にも、または自分で作品を提供する側になったときにも道しるべになってくれるのでとても大事です。
今後も気になるプロジェクトがあれば勉強も兼ねて取り上げていきます。
それでは、また。