百人一首ツイノベ解説 #013
人里から離れた山の中に、その集落はひっそりと佇んでいた。ダムを建設するために水の底へと沈んだ集落を、水面のレンズ越しに眺める。「この村と一緒に生きていくんだ」と言って命を捧げた彼の悲痛な声が、放流の中から聞こえた気がした。私の叶わない恋心も、水の底に沈んだのだ #twnovel
— 秋助/秋乃アキ@感傷リップループ (@akisuke0) January 2, 2018
No.163 水槽都市(百景 13番)
— 秋助/秋乃アキ@感傷リップループ (@akisuke0) January 2, 2018
陽成院
和歌
「筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる」
歌意
「筑波山の峰から落ちる男女川の、水かさが増して深い淵になっていくように、私の恋心も積もって深い淵のようになってしまった」#百人一首ツイノベ
この和歌を見たときに「二度と出会えないもの」が確かにあるという気持ちになった。駅前の本屋、近所の個人経営のコンビニ、枯れてしまった噴水。この街に住んでもう20年は経つ。
今では取り壊されてしまったものばかりだ。確かに記憶はあるのに、物質はもうそこに存在しない。一度きりの人生なのに「二度と出会えないもの」ばかりだ。だからこそ、残っているからには前に進むしかない。三度目の正直だ。
(注:和歌の歌意は今日マチ子さんの著書『百人一首ノート』から拝借しています)
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