百人一首ツイノベ解説 #002
私が社会人になってから三年が経った。家を出て、ベランダの物干し竿を眺める。夏になると干されていた白い制服が、私を見送ることはもうなくなった。代わりに、黒いスーツ姿が記憶の中の白い制服をより映えさせる。蝉が鳴く。季節にも、私にも、いつのまにか春が過ぎてしまっていた #twnovel
— 秋助/秋乃アキ@感傷リップループ (@akisuke0) November 10, 2016
No.152 汽空域(百景 2番)
— 秋助/秋乃アキ@感傷リップループ (@akisuke0) November 10, 2016
持統天皇
和歌
「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山」
歌意
「いつのまにか、春が過ぎて、夏が来てしまったようです。夏には真っ白な衣を干すという天の香具山に、あのような白い着物が干されています」#百人一首ツイノベ
実家の扉を抜けて振り返ると、2階のベランダから高校の制服が干されている。社会人になって友人とルームシェアをすることになった。家の構造上、振り返ってもベランダが見えることはなくなってしまったけど、夏になると制服が干されていた光景を思い出す。
季節が変わると服も変えるのが衣替えだ。けれど、制服からスーツに変わった光景を見ると悲しく感じるのは、服を変えたから季節が変わったのだと錯覚してしまう。
(注:和歌の歌意は今日マチ子さんの著書『百人一首ノート』から拝借しています)
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