百人一首ツイノベ解説 #006

彼が眠りについてから何十年と経ちました。時間まで眠ってしまったのか、青年の姿から歳を取ることはありませんでした。今日も私は一人で眠りにまどろみます。夢の中の彼は私と同じ老人の姿をしていて、「だいぶ遅れた青春だ」とデートをしていました。夢だとは承知です。夢だとは、 #twnovel

— 秋助/秋乃アキ@感傷リップループ (@akisuke0) November 13, 2016

No.156 夜だけの国(百景 6番)

中納言家持

和歌
「かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける」

歌意
「天の川に渡したという、橋にたとえられる宮中の階段におりている霜の白いのをみると、夜ももう更けてしまったのだなと感じる」#百人一首ツイノベ

— 秋助/秋乃アキ@感傷リップループ (@akisuke0) November 13, 2016

いつ目覚めるかわからないことは「死」と呼んでいいのだろうか。死んでいるのと同じなのだろうか。朝は夜の地続きであるように、まだ、ちょっと長い夜が続いているだけかもしれない。

2人にとっての天の川は夢の中だ。夢の中になら永遠はきっとある。答えも見つかる。目覚めて、現実になれば泡みたいに消えてしまうだけで。今、感じている生き辛さも、やるせなさも、感傷も。現実としての夢も。地に足の着かない妄想だとわかっている。

夢だとしても、それは「夢なんだよ」と告げる権利なんて誰にあるのか。現実は生きるのが困難だ。なら、せめて夢の中だけは。夢だとしても。夢だとしても、

（注：和歌の歌意は今日マチ子さんの著書『百人一首ノート』から拝借しています）

【140字小説】空白を巡る｜秋助｜note

夜が灯る五分前 - 感傷リップループ - BOOTH

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