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[2] Gorki Apartments @Mitte, Berlin

滞在時期:2018年6月

ヨーロッパ最大の自由都市と称される、ベルリン。ドイツの首都でありながらも、アンダーグラウンドな音楽・芸術のメッカとして進化し続ける二面性に魅了され、何度も訪れる人も多いはず。(自分も気がついたら3回訪問していました)

東ベルリンの風景

ベルリンについてもう少し紹介すると、東側と西側で大きく雰囲気が異なる街で、都会の面積が広いところも東京に似ている所があると思います。
というのも、第二次世界大戦後・冷戦時代に東ドイツ(社会主義)と西ドイツ(資本主義)で、ベルリンの壁によって物理的に分断されていたので、「Charlottenburg地区は西ベルリン」「Friedrichshain地区は東ベルリン」と、明確に区分けされています。個人的にはベルリンは、東側の方がカルチャーも生々しく、クリエイティブで魅せられるものが多いと感じます。

Gorki Apartments が位置するMitteは、東ベルリンの地区でありながら、限りなく西ベルリンに近い中心地帯です。歴史的な観光名所や、おしゃれなレジャー施設も多く、地価と生活水準が高い「ハイソな地区」と言ったところでしょうか。

中庭のあるMitteのカフェ(Gorki Apartments スタッフのおすすめ)

そんなMitteに暮らすように過ごせる事が、Gorki Apartmentsの提供価値だと思います。「ホテルは立地が全て」と言う人もいますが、本当のところ立地の体験は、ホテルの工夫や提供するアメニティーによって、大きく変わります。言い換えると、立地を生かすも殺すも、それはホテル次第です。

こんな家に住みたかったGorki Apartmentsの部屋その1(HPより引用)

立地の演出:

ホテルが立地を生かすということは、その土地の魅力を顧客体験に上手く落とし込む事です。極論、そこには2つのベクトルが存在します。

① 誰もが知っている観光地へのアクセスをウリとし、ホテルは宿泊客に「どこ行けばいい?」と聞かれれば、「間違いない」観光ルートを提案する

② その街のウリはホテル側が独自に定義・表現し、ホテルは宿泊客に「どこ行けばいい?」と聞かれれば、「私はこの店が好き」とか「ここに住んでる人達は、だいたいあの辺によく行くよね」という提案をする

ラグジュアリーホテルなどに勤める優秀なコンシェルジュほど、宿泊客との会話の中で、最適なベクトルに合わせた提案ができる技術を持っています。

①を極める事はそれほど難しい事ではなく、ガイドブックやインターネットにありふれた情報を整理することで達成ができます。②の世界は深く、ホテルが提案するだけでなく、宿泊客があたかも「ここにしばらく暮らしていた」と錯覚する心地良さ、にまで持っていく事ができます。

歴史ある薬局を改装したカフェ・バー(Gorki Apartmentsスタッフのおすすめ)

「ここにしばらく暮らしていた」と錯覚する心地良さとは:

当時AirbnbのPRキャンペーンにあった、” Don't go there. Live there. ”=「暮らすように旅をしよう」という謳い文句に、私は深く共感していました。

現地に暮らすということは、その土地で喜怒哀楽を経験し、自分のペースで、お気に入りの場所を見つけ、自分らしく過ごす事が醍醐味だと思います。Gorki Apartmentsはこれを他所からきた宿泊客に、凄く上手に提供しているアパートメントホテルです。

評価の高い「当たりのAirbnb」もありますが、Gorki Apartments は大多数の民泊施設にはない、フロント・コンシェルジュが完備され、ホテル水準の管理が行き届いています。

Gorkiならではの世界観に加え、Mitteに住んでいるおしゃれな人の家のような、インテリアデザインやアメニティーも特徴的です。

こんな家に住みたかったGorki Apartmentsの部屋その1(HPより引用)
時々現れるGorkiのイラストが又にくい

カッコいい自転車をフリーでレンタルする事もできます。スタッフには「どこに停めたらいけないか」や「この辺を漕いでいると、面白い店がたくさんあるよ」と教えてもらいました。

公共交通機関やタクシーに「乗せられている」体験とは異なり、徒歩で歩くよりもより広い土地勘を得ること。その街の知識が自分の財産になっていく感覚を、自転車は効率良く提供してくれます。

力の入ったアパートメントホテル:

Section Lを立ち上げてからは、ヨーロッパのアパートメントホテルの歴史は日本より長いと、よく投資家などに説明しています。それは「快適な寝泊まりする場所」を提供する無人管理の施設から、Gorki Apartmentsの様に、有人管理かつ、イケてる現地のスタッフが滞在をアシストしてくれて、ブランドの世界観が由緒に仕掛けられている施設まで存在しているからですと。

Gorkiのトレードマークが象徴的なエントランス

ブランドの強さやライフスタイルをしっかり感じ取れる、アパートメントホテルはその後もLockeくらいしか泊まったことがないのですが(Lockeはまたの機会にレポートします)、Section Lのブランドや顧客体験を創る上で大きなインスピレーションとなっていたのだなと。当初バックパッカーだった自分の財布には痛かったですが、泊まってよかったなと思うホテルでした。

当時滞在したGorki Apartmentsの一番小さい部屋
その部屋のキッチン・ダイニング


後述:

施設の中庭では当時一緒に旅をしていた友人と、夜ベンチに座って長々とおしゃべりをしていた事をふと思い出しました。

「住んでいたなら天気の良い日には、同じ様な事をしているだろうな」と思い返せる体験が、「その土地を、等身大で体験できる」ライフスタイルホテルの一つの正解なのかなと思います。

Gorki Apartmentsの中庭

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