「ナースのチカラplus」2025年2月号/広田奈都美・著
はい、第三部(仕事の)に取り掛かる前に、忘れないうちに今月の読書感想文を書いておこうか。ところで、今回のフォアミセス表紙の黒の袋文字で朱色ってのはやりがちだけど、どうした、デザイナーさん!新年っぽくしたかった結果なのか?わしなら、黒と朱色の間に細い白いれるかも。黒に色の縁取りは結構むずいよなあ。逆に、朱色に細く黒いれそうだ。そんなわしが今作ってるのは、早春向けの広告なので軽やかに(といいつつ、一個途中で投げてあることに気づいてしまったOMG)。
で、
作者Xの投稿で、連載終了の報があった「ナースのチカラplus」。これはナースだけでなく、多くの人が読むと良い作品。特にこのシリーズは、ナース以外にも刺さるよ。
逆に言うてしまうと、ナースに共感を呼ぶ路線だったものが、多方向に展開したため、ビビットに刺さる読者が分散しちまったという事はあるかもしれないが、しっかり世界観が感じられる(=登場人物たちがどっかで生きていそう)話が大好物の我にとってはたまらん作品に駆け上ってしまった。
2月号で刺さったところ(抜粋
いやあ・・・
小紫・・・かわよ・・・
わしも持田みたいになれば、小紫みたいな人が現れるかな(違う
持田の喜びそうな笑顔をよぎらせながらの買い物、愛かよ、愛だな。
小紫のこれまでの生き方も、持田のこれまでの生き方も、確か…深くは語られていないような気がする。
お互いに同じ感覚を共有していて、そして小娘じゃないからこそ、幸せな瞬間を感じるその一方で、何事も終りが来るかもしれない寂しさと、それすら共有して同じようにわかりあっちゃうんじゃないかっていう漠然とした切なさ。
それはさ、小紫は持田からは「愛情」は返ってこないだろう、または、誰からも「愛情」は返ってこないだろう、と予防線を張っているような思考回路のようにも思える。小紫はモテモテだったし、周囲とうまくいくために「コミュ力お化け」にもなったのだろうけど、深い関係性を継続して続けられたことが血縁上の家族も含めて”ない”のかもしれない。
持田は持田で、ちらりと語られる部分から推測すると、「世間」というフィルタで子どもの頃から評価され、それに無意識に応えてきてしまった人なのかもしれない。ゆえに、もしかしたら、自分の性指向や恋愛思考、ジェンダーすら、心の奥の奥の方に沈んでしまっているのかも。しかも「できる」と評される能力を持ってしまったがゆえに、普通以上に社会で期待される役割を果たせてしまい、そこにアイデンティティを持ちすぎているの…かもね…。
こういうことを自然にモノローグで明文化して、スッと語らせるの本当に胸に刺さる。でも、終りが来るかもしれない暮らしだからこそ、「その時が訪れても大丈夫なように、今の暮らしを目一杯大切にしよう」と向き合う小紫が愛おしいよ……。
そして持田よ。お前の幸せはいったいどんなことなのだい。持田がそれを見つけた時がこの物語の最終回なんだろうけども、師長への依存から本当に自立するためには、それが必要だよなあ。どう結論出すんかなあ。
ちなみに、同性同士で子どもを育てます!って話ではないけれど、仲良しの女3人組が子ども含めて共同生活している作品は「そもそもウチには芝生がない」(たちばなかおる・著)がある。ココはガチの共同生活で、これはこれでおもろい。今月の話も、めっちゃタイムリーで爆笑であったw
馬渕さんにサチアレ
そして、馬渕さんがスッと患者さんの家族の心に入っていく瞬間の快楽。それは、職業占い師をしていてもたまにあるやつで、そのつながった瞬間は占い師をやっていて、報酬以上にやりがいがある部分ではある。
「フォアミセス」はせますぎる
ほんと、打ち切り的に終わらされてしまうのは残念すぎる。話を大急ぎで畳まざるを得なくて悲しくもったいないぞ。
とはいえ、ココ最近の(?)フォアミセスではちょっと路線があわない部分があるのは確かなように思える。狙っている読者層、想定している読者層を考えると、テーマが夫婦・セックスレス・介護等になっていくのは当然っちゃ当然。
人間ドラマを描くには、ちょっと受け皿として頼りない雑誌になっているので(わしは、そういう雑誌にこそそういう作品があることこそ、漫画雑誌の意義だと思っているが)、懐の深い編集に担当してもらわないと良くない方向に行くわな。担当してる人がどういう人かはわかりかねるが、煽り文句や帯をみると(一般的に編集が書いているとされている)、少なくとも作品を愛しているとは思えないわけで。
ミセス~ハイミセスを読者に抱える雑誌の中でも、もう少し懐が深そうで広そうなところなら、もうちょっと作者が突っ込んでいきたいところを自由に書けたんじゃないか…とも。ファンが分散する世の中だからこそ、一つの雑誌で売上を作っていくのは中々ハードだが、広田奈都美先生の人間を見る視点をもっと作品という形、作品の中に生きる登場人物の生き様として見ていきたい気持ちだ。
ちゅーことで、今のシリーズのような路線だったらBELOVEがギリギリ合うような気がする。あと、なんとなくだが、「海が走るエンドロール」がヒットしたことで雑誌として幅が広がった同じ秋田書店の「ミステリーボニータ」の方が刺さる読者に会えるかもしれない。