子供のうちに読みたかった!! 今からでも間に合う「教養文学」 後編 私たちはどう生きるか
「前編」で、私が「子供のうちに読んでおきたかった」本を紹介したが、「後編」は紹介しきれなかった「君たちはどう生きるか」特集である。
君たちはどう生きるか
〈読書後の感想〉
長く気にはしていたが、読むには至らなかった。
しかし、最近同じタイトルの映画を観て、その映画の原点を知りたいと感じ、購入して読むことにした。
その内容は、
目 次
という項目で、中学一年生の主人公のコペル君が、おじさんや三人の友達と体験する学校でのできごとを考察し、より良い方向に生きていく術を考え、成長していくもの。
読む前のこの本のイメージとしては、学生である主人公が日常でのできごとに対し、どう選択するかに迫られる……なんて想像していた。
しかし方向性は間違いではなかったが、より専門的というか考察が深く、大人の私が読んでも考えさせられる内容であった。
最初はコペル君の体験をおじさん(叔父さん)に語り、それをおじさんがノートに残すという形で、より深く解説して、読者を考察に巻き込むという形で進行。
その後、学校でのコペル君のできごとが事件に発展し、コペル君自身が悩む。
それをおじさんに相談して解決に励み、やがてコペル君自身がノートを付けるようになり、どう生きるか考える。
しかしその展開は読者を誘い、飽きさせず、読んでいて涙することもあった。
本の中で、特に心に刺さった文章を引用する。
四 貧しき友
五 ナポレオンと四人の友人
七 石段の思い出
最初は1935年(昭和10年)に書かれたとのこと。
それから言葉使いなどを多少現代風に手直ししたのが本書。
少し古い感じはするが、その内容は、得ること、考えさせられることが多く、噂に違わず良書だった。
私としては「人間の根幹」というか、「人としての心構え」を気付かされた気がする。
ぜひ、漫画として発売もしているので、そちらから入ってもいいだろう。
本書のコペル君とおじさん・お母さん・友人達とのつながりが、宮崎駿のインスピレーションを刺激して、同名の映画が制作されたのだと、感じ取れた気がする。
別冊100分de名著 読書の学校 池上彰 特別授業 君たちはどう生きるか
〈読書後の感想〉
宮崎駿の「君たちはどう生きるか」の映画を観ると、同名の本が登場する。
映画の制作で影響を受けたことを裏付けており、さりげなく敬意を表していて、その登場の仕方がなかなかよい。
映画を観た後、これはぜひ読んでみたいと本を買い求めた。
同時に、より深く知るため、その解説本的な期待をしつつ、この「池上彰 特別授業」の本も一緒に購入し、読むに至った。
その内容は、
目 次
という内容で中学生を対象に、吉野源三郎の著書「君たちはどう生きるか」をもとにした池上彰の特別授業。
2017年7月7日に、東京の武蔵野高等中学校で行われた「君たちはどう生きるか」を使用した「池上彰 特別授業」を、加筆を施したうえで構成し、一冊の本にまとめたもの。
ただし、番組(100分de名著)として放送はされていない。
内容的には、小説の重要点を池上彰が説明しながら進行する。
小説を読んだ直後だったので、知っているというか、私が小説の感想を書いた際に心に響いた箇所と重なり、まさに思い出すことが多かった。
それでも小説が世に出た時期(1937年。その4年後に真珠湾攻撃)の日本の情勢や、文章に込められた「静かなる戦争批判」といったバックグラウンドも知ることができ、「著者の想い」を客観的な視点から垣間見ることができた。
さらに、要所で「池上流」の解説を聴くことができ、より深い小説の理解と、その延長線にある、広い観点で物事を考えることの重要性を感じた。
例えば
第2講 お母さんの石段の思い出より
第4講 読み方を深めるスキルより
「君たちはどう生きるか」という作品のよさと、あらためて「よい本との出会いは、人生の宝物」という豊かな読書体験の価値を学んだ。
今後の参考にしたい。
今回小説を読んだ後にこの本を読んだが、この本を先に読んで、小説を読むきっかけとしてもよいだろう。
まとめ 私たちはどう生きるか
「後編」の「君たちはどう生きるか」特集、予想以上に長文となったが、いかがだったろうか。
池上先生も「よい本との出会いは、人生の宝物」と述べている。
一冊の本が、ときに心の支えとなり、あるいは道しるべとなって、人生を大きく変えることもある。
「前編」と合わせて、今回紹介した本をまだ読んでいない方がいたら、ぜひこの機会に読んでみようと、思い立つきっかけになれば幸いである。
そのときは気づかなくても、豊かな読書体験は、悩んだり迷ったりしたときに効いてくるものなのだから。
そして、長い長い投稿も、ひとまずこれで終わりです。
そこで、最後に皆さんにお尋ねしたいと思います。
私たちは、どう生きるか。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
今後も有益な情報発信をしてまいります。
ぜひ、読んでやってください <(_ _)>
追伸 「前編」で「次回は人気映画の原作を紹介したい」と書いてしまいましたが、正しい表現ではなかったことをお詫びします。