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作曲家・名曲よもやま話

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作曲家や名曲にまつわる知られざるエピソードをご紹介します。お馴染みのあの曲も、まったく違った意味をもって聴こえてくるかもしれません。
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#ピアノ

クララ・シューマンの弟子たち

クララ・シューマンの弟子たち

音楽之友社から、ブラームス演奏にかんする論文集「ブラームスを演奏する」の邦訳が出た。

​自分は曽我大介先生に勧められ、ベーレンライター社の原書で読んでいたが、初めて読んだ時は衝撃を受けたものだ。クララ・シューマン門下のピアニストたちにブラームスがレッスンをし、その人たちの録音が残っているとは!作曲家に直接指導を受けた人たちの録音を聴くと、その作曲家特有の音楽観や美意識が朧げに見えてくるのである。

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名曲よもやま話(1)ショパンの初恋

名曲よもやま話(1)ショパンの初恋

ノクターン 遺作/A.ワイセンベルク(ピアノ)

 ショパンが1830年(20歳)に書いた名曲ノクターン 嬰ハ短調(遺作)には、同時期に作曲したピアノ協奏曲第2番 へ短調 Op.21の各楽章の旋律の断片がパッチワークのように組み込まれています。その二番煎じ的な構成が、違和感なく新たな世界観を獲得しているのは、ショパンの天才たる所以でしょう。「第2協奏曲の練習用として姉に贈られた」という説が有力です

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