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[MUSIC] 今年の10曲、2022年版。
1 - The Irons "God I Hope My Buddy's Not A Spy"
Netflixで異常犯罪者やカルト集団についてのドキュメンタリー番組を観て、心のなかをわざわざザラザラにすることをやめられないのと同様、あまり大きな声じゃ薦められないし、薦めたくない。ただ、このバンドを好きになってくれた人とは一生、仲良くしたい。
2 - Felbm "Root"
彼みたく日本の文化……とりわけ電子音楽やアンビエント・ミュージックに深い敬意を持っている外国人の作品を聴くと、逆に今の日本のシーンからはこういうまっすぐな音ってなかなか生まれてこないだろうな、と思います。
3 - orchid mantis "how long will it take"
みんな大好きティアーズ・フォー・フィアーズ的、2拍3連のシャッフルビートが気持ちいい。orchid mantisのことは、ここ数年ずっと推し続けてるけど、まったくブレイクする気配はなく、どんな面をしているか気になって、うっかり検索したら、美しいけど、薄気味悪いカマキリの画像がたくさん表示されます(虫が苦手な人は要注意)。
4 - Thad Kopec "In A Life"
アンディ・シャウフやホイットニーが人気あるのに、オーキッド・マンティス同様、この人もまったくそうなる気配がない。どうしてなんだろうね? ───なーんて言いながら、そうならない理由が6個くらい思いつきます。
5 - RYUTist "うらぎりもの"
これだけ楽譜を見たくなったアイドルソングは初めて。すごいです。で、どんな売り出し方をしているアイドルも、商品として考えるとき「アイドルとしての実存>楽曲」というパワーバランスからは逃れられません。でも、RYUTistに関しては、リリースを重ねるごとに楽曲が第五のメンバーと言って差し支えないほどパワフルになっている。いったいこの先どうなっちゃうのか? 自爆か? それとも大爆発か? 皮肉ではなく、ほんとうに楽しみですが、今年M-1を獲ったウエストランドが象徴するように、スタイルやシステムの革新性より、表現者が表現内容に対していかに責任感と説得力を有しているか───簡単に言えば、放ったパンチにちゃんと体重が載っているか否か───という部分が評価される時代になってきた。メンバーはもちろん、スタッフも実力ある人たちなので、きっと未来は明るい(はず)です。
6 - Marker Sterling "Silk Rock"
ぼくと同い年で、日本映画に精通したメル友。アルバムも素敵でした。
7 - PREP "Back To You"
今年の秋、マニラで開催されたライヴのオーディエンス・ショットがYouTubeに上がっていて、会場を埋め尽くしたフィリピンの観客たちが演奏に合わせてこの曲を合唱していたのにはぶったまげました。たしかに口ずさみたくなるいい曲だけどね。
8 - Pastel Blank "Cellophane Clocks"
カナダのヴィクトリアを拠点にしているアンガス・ワットという人のソロプロジェクト。とにかくミックスがすばらしくて、つい「こういう音、もっとちょうだいよ!」って思っちゃう。2022年のベスト・オブ・AOIR。
9 - Sam Wilkes & Jacob Mann "Jakarta"
盟友サム・ゲンダル、ひさしぶりにアルバムを出したルイス・コールなど、この人たちのまわりにうじゃうじゃいる天才の新譜ならどれを選んでもよかったんだけど、とりわけこの曲が入っているアルバムは何度も聴いたので。
10 - Westerman "Idol; RE-run"
これだけ歌声が魅惑的だと、あとはおいしい塩を少々とオリーブオイルさえかければよい。
総括(……の、ようなもの)
大量の外国産、ほんのちょっぴり国内産(しかもほとんど旧譜)───という傾向は相変わらずの2022年でした。
とはいえ、日本の音楽がレベルが低くてダメ、なんて上から目線の話ではなく(そもそも聴いてないから批評できない)、ラジオやお笑い番組や読書から得られる栄養だけで〈他人のつかう日本語〉がじゅうぶん満たされていて、歌をとおしてわざわざ摂取する必要が無くなってるせいだな、と自己分析してます。
というわけで、上記10曲以外のベストソングもSpotifyのプレイリストにまとめました。約5時間分くらい登録してますので、豪雪で立ち往生しても安心です。ぜひお聴きください。
そして、全体的な今年のふりかえりですが、まずは今年はじめに『ゆりこたいじゅんはな』の続刊を出しました。予想以上の反響をいただいたほか、いくつかの場所でトークイヴェントも再開できてよかった。来年は武田百合子さんの没後30年にあたるので、第3巻(次で完結します)の発売を計画していて、しこしこと執筆を続けています。
10月はDOMMUNEで特集番組を組んでもらったり、11月には1ヶ月限定ですが、FMの帯番組のパーソナリティも務めました。これに関してもポジティヴな反応をたくさんもらえたので励みになりました。
ここ数年はどちらかといえば「動」より「静」の仕事中心で、それはそれで、現在のぼくのペースには合ってたんですが、来年はちょっとだけギアをハイに入れて、「動」方面の仕事を楽しんでもらえる機会が増やせれば、と。その皮切りとして、年明け早々に面白いアナウンスができるはずです。期待しててくださいね。
というわけで、今年も残り10日ほどになりました。どんな形ある財産よりも健康に価値がある時代です。心身ともに健やかに、ぜひ良いお年をお迎えください。
シャローム!
水本アキラ
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