親の介護の経験から、この本をどうしても作りたかった
本書の企画を立ち上げた、主婦と生活社の編集担当・新井、1965年生まれです。
この本の企画を考えたきっかけは、自分の親が高齢となり、心身ともに衰えが進んだことです。
「年を重ねることが楽しく感じられる」本を出したい!
そう考えたところから、この企画は始まりました。
親の「老い」を、前向きに受け止めるのは難しい……
二十歳前後で実家を出て東京で暮らすようになり、
親との付き合いは盆暮れの帰省時のみ。
そんな生活を何十年も続けてきたのですが、両親が80代になった十年ほど前からはさすがに心配事が増えて帰省する回数も多くなり、ここ最近では父母ともに要介護認定を受けるまでに衰えてしまいました。
現在は、ふたりとも介護保険サービスを活用しており、いわゆる「遠距離介護」が始まっています。
遠距離介護が始まる前は、
「まだまだ大丈夫。がんばれ。老いに負けるな!」
というスタンスで接していて、親も賛同してくれていたように思います。
ですが、今思えばそれは、親のためというより、自分が親の介護に向き合う時期を少しでも後ろに延ばすため、だったかもしれません。
また親も、その息子の気持ちを汲んで、賛同する姿勢を見せてくれていたのかもしれません……。
その後、認知能力も衰え、足腰も弱くなっていく親に向けて、いくらがんばれと励まして「老いにあらがう」方向でサポートをしても、無理なこと・無駄なことが増えていき、親との気持ちのすれ違いも増えていきました。
実家に帰る足取りが重くなり、「老いていく親との時間」は、戸惑い、イラつくことばかりになっていったのです。
そんなある日、親と激しく口ゲンカをしました。
東京へ戻る電車の中で冷静さをようやく取り戻し、老いた親に罵声を浴びせたことを後悔しつつ、考えたのです。
「結局、親との関係がいまうまくいかないのは、根っこの部分で、親が老いている現実や、自分も老いていく将来を、受け入れられてないからなんだ……」
都内に帰る電車の中で、そう思う私でした。
三浦雄一郎さんの事務所へ、本企画の依頼へ!
その後、「老いに親しむレシピ」という出版シリーズを立ち上げることとなり、その中の目玉の一冊として、今回の企画<三浦雄一郎さん・豪太さん親子から、老いへの向き合い方を学ぶ本>を思いつくことになります。
三浦雄一郎さんは70歳・75歳・80歳のときにエベレスト登頂に成功した
“高齢者の希望の星”。
その雄一郎さんが病に倒れて「要介護4」の寝たきり状態にまでなったけれど、豪太さんをはじめとする家族の支えでリハビリ生活を送っているらしい、そして2023年の夏にはなんと90歳で「富士登山」に挑戦するらしい――そんな情報が入ってきました。
親の介護に悩む私は、ぜひそんなおふたりから話を聞きたい。切実にそう思いました。今回の本の具体的な展開は、そこから始まりました。
今回、noteで「制作チームの記録」としての記事を書くことになり、最初に三浦雄一郎さんの事務所にアプローチしたときはどんな依頼内容だったんだろうと、自分のノートパソコンの中にある書類を探してみたら、見つかりました。
せっかくの機会なので、一部省略・編集整理をしていますが、紹介します。
そんな依頼をしたのが、早いもので、6か月前の2023年2月のことでした。制作作業は順調に進み、10月13日には本が発売となります。
制作側の自分がいうのもなんですが、読み応えのある、とてもよい本になりました。
3年前、老いた親に罵声を浴びせた自分のような境遇の人たちに、つまりは、老いた親との付き合い方に悩んでいる人たちに、そして、そんな子どもたちとの付き合い方に苦労されている「老親」の皆さんに、ぜひ本書を読んでいただきたいと思っています。
三浦雄一郎・三浦豪太著『諦めない力、ゆだねる勇気』(主婦と生活社刊)
2023年10月13日発売:1500円(税別)
販売サイト
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