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毒の柿 #エッセイ、及び時代劇のこと

毒の柿

昭和ドラマ銭形平次のとある回。商家の主が殺された。柿に塗られた毒で。若い女中が疑われるが、証拠がない。包丁で柿を二つに切り、片方を更に二つに切り、皿に盛り、主が食すまでを人に見られているのだ。しかも、最初の片方は他人が食べて無事である。女中はいつ、主の柿だけに毒を塗ったのか。これまでその智慧で数々の悪党を挙げてきた。ここで逃しては銭形平次の名が折れる。煩悶する平次はドラマの終わりかけに閃く。人目のない所で包丁の片面に毒を塗っておき、柿を皆の前で切る。毒の付いた方だけ皮を剥き、更に二つに切る。果たして、その通りであった。見てて思った。毒が柿の汁と共に包丁の下を伝い、片方にも付いたりしないのかな?

投げ銭は柿を二つに割りもする


NHK俳句には、「季節往来」という読者のお便りコーナーがあります。その月のテーマに沿った300字程度のエッセイに、それに合う俳句を添え、題名も自分でつけます。テーマ:柿で出したお便りが没ったので、お亡くなりになったお便りをここにアップし弔うことといたします。


私が子供の頃に見ていた大川橋蔵の銭形平次(1966年~1984年放送)は全部で888回もあり、最長の連続ドラマとして世界記録ギネスブック認定だそうです。この記事を載せるにあたって揚出の柿の話がどの回だったかどうしても気になり、調べました。

世の中には銭形平次ファンがたくさんいらっしゃって、大川橋蔵版、北大路欣也版、村上弘明版など全ての放送回をデータベース化して下さっています。以下に引用させていただいた時代劇視聴記はそのうちの一つのサイトです。柳生一族の陰謀や大江戸捜査網のあらすじも読めます。ありがとうございます。

銭形平次のサイト全てのページを「柿」で検索して、私、ついに見つけました!


第839話 「片隅の殺意」 1983.2.2

 客を招いて庭自慢の骨董屋が殺され、客も浮気女房も疑われるが、平次は一晩中「凶器の柿」を前に思案しトリックを崩す。

ロケ地

  • 上州屋の池泉見える座敷、不明。何度か既出の、縁先に池が迫ったアレ。

  • 上州屋女中のおせいの回想、金無垢の鯉を詐取され縊死した父が吊った木、民家前。

*おせいは山本みどり、上州屋妻女は長内美那子、兄と恐喝に来るお手つき女中は岡本麗、客二人は永野辰弥と江幡高志。



上州屋女中のおせいの父親は金無垢の鯉を上州屋の主に詐取され縊死した。その復讐をすべくおせいは柿に毒を盛り、主を殺す。トリックはうろ覚えですが確か揚出に書いた通りです。殺しの手口を暴いたもののおせいに同情し、平次はものすごく悩みます。しかし岡っ引きの身、罪人を見逃すわけにはいかない。結局おせいを御縄にします。犯人にも人殺しをするそれなりの理由があると平次も視聴者も感じている、でも法を逸脱してはならない、そのへんの微妙な心理の揺れがこの回の肝だったと回想します。

Wikiによると、とある回では落ちてくる柿を投げ銭で真っ二つに割るシーンがあったようですが、果たしてそんなことが可能なのか笑。百円玉を投げられて体に当たったら痛いけど、倒れこむほど痛くはないよなあ……と今から思うとツッコミどころ満載なんですが、謎解きとこの柿の話のようにただの勧善懲悪ではないところがとにかく面白くて毎週見ていました。


柳生一族の陰謀のOPもめっちゃ好きでした。

裏柳生口伝に曰く、戦えば必ず勝つ。此れ兵法の第一義なり。人としての情けを断ちて、神に逢うては神を斬り、仏に逢うては仏を斬り、然る後、初めて極意を得ん。斯くの如くんば、行く手を阻む者、悪鬼羅刹の化身なりとも、豈に遅れを取る可けんや。

うー、かっちょええ~!


大江戸捜査網はやっぱり杉良太郎版が一番。杉さんの十文字小弥太は陰があるんです。このOPも死ぬほど好きでした。死して屍拾う者なし、死して屍拾う者なし、死して屍拾う者なしぃイイィィイ~~~~!


ED「江戸の夜明け」もすばらしい名曲です。そのむかし森進一と川内康範のトラブル(おふくろさん騒動)が報道された時、めんどくさいおじいちゃんやなと思ったんですけど、その後「江戸の夜明け」の作詞者と知って全力で謝りました。



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