若々しさ

「若いね」「今が一番楽しい時だね」「まだまだなんでもできるよ」っていつまで言われるんだろうか?

20代の頃、1人で初めましてのコミュニティに飛び込み始めた時。
自己紹介の流れで年齢(当時は20代前半)を伝えると、「えー、すごい!」「若いのに行動的!」とよく褒められた。大学生の頃までは「同級生」が中心としたコミュニティで育ち、一般的な社会に出れば「同期」と呼ばれるおおよそ同い年が周りに揃う。

大学を卒業してすぐは同級生の同期がいたが、退職してフリーターになってからは異年齢の世界が当たり前になった。30代を超えた人たちが多く、20代前半でアクションしていた人は少なかった。「若いね」「今が一番楽しい時だね」と言われても当時はしっくりこなかった。「自分は自分なりに毎日しんどいんだ!」「明日死んじゃったら、未来とかないから」などと内心思いながら「ありがとうございますー!」と明るく振る舞っていた。

結果的に武器になり、それは相対的な武器だった。
「若い」というだけで武器なのである。

30歳の超えると「おっさん」と呼ばれることを自然と受け入れられるようになった。
それはつまり若さを捨てたと同じようなことだった。

思い返せば日常の中でも感じることがある。
小学生の子どもたちがスマホを見ていた。TikTokをスワイプ(めっちゃ早く)しながら動画を未漁っていた。その中の一つの動画を「これ面白くない?」と見せてきた。「ん、これは何が面白いん?」と思った。「え?知らんの?ダサ〜」と言われてカチンときた。

こちとら小説の面白さをわかるようになったし、
野菜の水々しさに感動することも増えた。
焼肉では鶏肉が美味しいし、魚のおいしさもわかるようになった。

年齢としての「若さ」は無くなってしまったけど、歳を重ねることで得られる良さもある。
質の悪い失敗をするのは億劫だし、色々な人のしがらみや背景を想像したり思い計りすぎて動きにくいなと思うことがある。それも一種の成長である。

涙もろくなる理由も、人生でいろんな経験をして過去の痛みを思い出したり、相手に自分を投影できてしまうからだと思う。

そこで。

生物学的な「若さ」は必ずなくなっていく。しかし「若々しさ」は年齢を重ねるほど差分が生まれるので、新しい武器に変わるのではないかと思った。

爆笑問題の太田さんは、笑うタイミングが誰よりも早いらしい。
若手芸人の新しい笑いにも、一番に手を叩いて笑ってるらしい。それは感性が若さを保っているからだと思う。だから新しい笑いや可笑しさに気づけて、面白いと理解できるのだと思う。

そのためには、若者の感性に触れたり、怒られる環境に飛び込んでみたり、やったことないことをやってみたり、周りに迷惑をかけない程度の質の悪い失敗を繰り返すことがいるのかなと思っている。

最近若い人たちと話をする機会が増えたからだと思う。
話をするというか、言動を感じるだけで学ぶことがある。

そこでこう言ってしまいそうになるのだ。
「若いね」「今が一番楽しい時だね」「なんでもできるよ」って。

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前田 彰
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