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界のカケラ 〜49〜

 「市ヶ谷さんは、いつからそういう考え方になったのかね? 小さい頃からそのような考え方をしていたのですか?」

 生野さんが話したこと私もちょうど考えていたところだ。さすがに小さい頃からこんな考え方をする人はいまい。いたとしたらそれはそれで不気味だ。なかなか可愛がりづらい。想像しただけでも私は受け付けない。

 「たぶん小さい頃だと思います。中学生の時はすでに今の考え方になっていたと思います」

 「小さい頃からか・・・」

 私はつい心の声が口から出てしまった。幸い残念そうな口調ではなかったので助かったが無意識で言葉が出てしまうのは反省しなくてはいけないし、意識して気をつけないと今後の社会生活に影響が出てしまいそうだ。心の声をごまかすように話を続けるしかなかったが、言葉が出てくるか心配だった。

 「中学生より前ってことは、小学校の高学年ですか?」

 「高学年・・・ その辺は曖昧です。小学生の頃のことをほとんど覚えていないのですよね。それが普通かもしれませんけど」

 私も小学校の頃の記憶は曖昧だ。覚えているのは夏休みに海に行ったり、昼寝したり、冬休みはお年玉をもらったことくらいしか記憶がない。その頃の記憶を思い出せという方が無茶だ。でもその無茶をさせたい衝動が湧いてしまっている。ここで話を終わらせてしまうと、二度とこの機会は巡ってこないことを感じていた。そうしたらまた市ヶ谷さんは自殺を試みてしまうだろう。そうさせないためには、無茶をさせてでも原因を見つけなければいけない使命感でいっぱいだった。

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akira
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