「アクセシビリティの実践と学び」Design Dontaku vol.4 イベントレポート
2024年9月12日に、株式会社マネーフォワード・株式会社ふくおかフィナンシャルグループが主催、株式会社ヌーラボ・株式会社ディーゼロが共催として、Design Dontaku(デザインドンタク)第4回目を開催しました!
この記事では、マネーフォワードのプロダクトデザイナーである出井から、運営目線でDesign Dontaku vol.4 イベントの様子をお送りいたします!
Design Dontaku(デザドン)っどんなイベント?
Design Dontaku(以後、デザドン)は、福岡デザイナー業界を盛り上げるべくスタートした、地方密着型のデザイナーイベントです。
福岡在住デザイナーは、まだまだインプットやデザイナー同士の交流ができる場が少なく、オフラインのデザインイベントになると関東や関西での開催が中心でなかなか参加する機会がありません。
しかし、福岡にはたくさんのデザイナーが働いています。また、デザインに関心があるエンジニアや経営者も多く、「もっとデザインについて知りたい、語りたい」というニーズをひしひしと感じていました。
デザインノウハウを、ワイワイお祭りみたいに語り合って、福岡のデザイン界隈を盛り上げたい!そんな思いからスタートしたイベントです。
おかげさまで過去3回開催したイベントも大好評でした!過去の様子をレポートした記事も、ぜひ読んでみてください。
テーマ:“アクセシビリティの実践と学び”
第4回目のテーマは、昨今注目の高まっているアクセシビリティについてです!4社がLightning Talk形式とパネルディスカッションで、取り組みやナレッジをシェアしました。
LT1: 銀行のアクセシビリティってどうなの?
最初のLTは、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)DX推進本部内製開発グループの川島歩美さんと竹田津良祐さんによる"銀行のアクセシビリティってどうなの?"という発表でした。銀行アプリのアクセシビリティに関する課題や現在リリース中の機能について、実際のデモを交えながら解説されました。
内製開発グループでは、「正しいビジネスを正しく」というビジョンのもと、アクセシビリティのルール策定活動が進められています。デザイナーやエンジニアなど多様な専門性を持つメンバーが集まり、ユーザー体験の向上と包括的なサービス提供を目指して議論を重ねています。
発表で特に印象的だったのは、音声読み上げ機能のデモンストレーションです。この機能は、視覚障がいを持つお客さまからのフィードバックをきっかけに開発されました。
FFGの取り組みは、ユーザーの声に耳を傾け、小さな一歩から始めて実際に機能をリリースするという点で非常に印象的でした。アクセシビリティの改善は、こうした積み重ねが、より多くの人々にとって使いやすい銀行サービスにつながっていくのだと感じました。
LT2: 悪い実装例から学ぶ ウェブアクセシビリティ改善のヒント
2番目のLTは、ヌーラボの榎本麗さんによる"悪い実装例から学ぶ ウェブアクセシビリティ改善のヒント"という発表でした。榎本さんは自身の経験から得た「過去の失敗談」を共有し、アクセシビリティの観点から各事例の問題点を分析。さらに、改善策を具体的に解説しました。
発表では、デザイナーやエンジニアが陥りがちな落とし穴に焦点を当てました。例えば、色だけで情報を伝えることは色覚多様性のあるユーザーにとって問題となり、自動で動くコンテンツを置くことは集中力や認知に課題を抱えるユーザーの利用を困難にする可能性があります。榎本さんは、これらの事例について、具体的な問題点と実践的な改善策を提示しました。
発表の締めくくりでは、紹介された内容はアクセシビリティ改善の一部に過ぎず、継続的な学習と改善の必要性を強調されました!
この発表を通じて、アクセシビリティの重要性を再認識し、日常的なデザイン業務での具体的な問題と解決策を学ぶことができたのではないかと思います。明日から実践できる実用的な視点を数多く得られ、大変勉強になりました!
LT3: ユーザのためだけじゃない!エンジニアも嬉しいアクセシビリティ改善のための自動テスト
3番目のLTは、弊社マネーフォワードの樫福による“ユーザのためだけじゃない!エンジニアも嬉しいアクセシビリティ改善のための自動テスト”という発表でした。この発表では、エンジニア視点でのアクセシビリティ改善のための自動テストツールの活用について語られました。
多くの場合、アクセシビリティ改善は開発プロセスの後半に位置付けられ、実際には後回しにされてしまいます。しかし、アクセシビリティを改善しなきゃいけないものと捉えるのではなく、そもそもアクセシビリティが高い実装をすることがエンジニアにとっても有益であることを強調しました。
testing-library、 Playwright のようなテストツールを利用することでマシンリーダブルないい実装が促されるので、結果としてアクセシビリティ改善につながる。またMarkuplintやeslint-plugin-jsx-a11y といったLinterを活用すると実装がより楽になる、とのことです。
ただ、テストを通すためにユーザーが価値を得られない実装は本末転倒であり、アクセシビリティを無理に頑張りすぎるのではなく、簡潔で分かりやすい実装を心がける重要性を話されました。
アクセシビリティ向上のための自動テストという、エンジニア視点の発表は、デザイナーの私にとって新鮮でした。特に、アクセシビリティを「やらなければならないこと」ではなく、「良い実装のための指標」と捉える考え方は、日々の業務にも応用できそうで、非常に勉強になりました。
LT4: 「代替」のデザイン
最後のLTは、ディーゼロの平尾ゆうてんさんによる“「代替」のデザイン”という発表でした。この発表では、視覚的または聴覚的な情報をどのように「代替」するか、具体的な方法の提案だけでなく、私たちが今後考えるべき問いかけもしてくださいました。
冒頭では、Netflixの字幕対応を例に挙げました。当初はろう者のためだった機能が、結果的に多くの視聴者に便利さをもたらしたという興味深い事例を紹介しています。
アクセシビリティにおける代替と呼べるものとして、字幕、音声ガイド、グラフと表、マウスとキーボード操作、代替テキストなどを挙げました。特に代替テキストに関しては、その重要性と課題を詳細に解説し、目的や文脈に応じて適切な代替を提供する必要性が強調されました。
最後に、「代替」のデザインはデザイナーの重要なスキルの一つであり、これまで意識が不足していた場合は、今後積極的に磨いていく必要があると結論づけられました。
発表中の「こんな時あなたはどうしますか?」という問いかけが、単に答えを提示するのではなく、深く考えさせる内容でした。この経験から、私自身もプロダクトデザインにおいて「代替」の概念を積極的に意識していこうと思いました!
パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、LTで登壇した4名のスピーカーで、アクセシビリティに関する深い議論が交わされました。各スピーカーの専門性や経験を活かした意見交換が行われ、参加者からの質問にも丁寧に回答されていました。特に印象的だったのは、「アクセシビリティをいかに組織全体へ浸透させていくか」についての議論でした。
よくある失敗例として「アクセシビリティ警察」になってしまうことが挙げられました。あれもこれもダメと指摘し過ぎると、アクセシビリティそのものが面倒で嫌いになってしまう可能性があります。
ゆうてんさんは社内での実践例を共有してくださいました。「アクセシビリティ浸透のために、会社のSlackでアクセシビリティのチャンネルをあえて作らなかった」とのこと。これは、アクセシビリティに関心がある人とない人の分断を防ぐための配慮でした。この方法は意外に感じましたが、アクセシビリティをチーム全体で考えていく上で非常に重要な視点だと気づかされました!アクセシビリティは特定のチームや個人だけの課題ではなく、組織全体で取り組むべき課題であり、その浸透には慎重なアプローチが必要ということですね。
アクセシビリティの改善には強制や指摘よりも、チーム全体での理解と協力が欠かせないということでした。
その他にもたくさんの質問が行き交い、予定時間を超えるほどの盛り上がりでした!
懇親会
イベント終了後の懇親会では、参加者同士が和やかな雰囲気の中で交流を深めました。LTスピーカーを囲んでの質問タイムや、参加者同士でのアイデア交換など、活発な交流時間となりました。
まとめ
今回のデザドンを通じて、アクセシビリティの重要性が改めて認識され、参加者のみなさま1人1人が自身の役割を再考する貴重な機会となったと思います!関係者のみなさまありがとうございました!
そして、Design Dontaku vol.5が早くも企画進行中です!ぜひご期待ください!
アクセシビリティに限らず、デザインに関する様々なテーマで、福岡のデザインコミュニティを盛り上げていきたいと思います。詳細が決まり次第、またご案内させていただきますので、お楽しみに!
カジュアル面談募集のお知らせ
マネーフォワード福岡開発拠点では、プロダクトデザイナーを募集しています!福岡開発拠点は、マネーフォワードにとって初の地方拠点。福岡開発拠点は7年目をむかえ、社内でも重要な開発を任された拠点のひとつです。
福岡でのデザイナーの働き方に興味がある!プロダクトデザイナーとして、ユーザーの課題解決に貢献したい!そんな方はぜひ、まずはカジュアル面談・カジュアル会食から気軽にお話ししましょう 🙌