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〝平成の改革派勢力〟が令和の時代にたどり着いた空虚な景色「石丸新党」~都議選2025
いつものごとくXのタイムラインを眺めていたら、おすすめに恐ろしいポストが流れてきた。都民ファーストの会所属の現職都議会議員である(2月8日削除確認)。
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問題提起:杉並が共産主義に向かっている!これはまずいです!!
低所得者(子育て家庭)に年間30万+引越し代まで出していくということ。
杉並区に低所得層が集まってきますよね。
資本主義経済の原則では、住む場所は各自の経済力の範囲で自由に決めるものです。それを崩して、低所得者が杉並に住むための家賃を、納税する杉並区民が、代わりに払うという制度になります。
家賃に終らず、保育料などの公金が入っている福祉全般に影響が出るはずです。
区政は区民の住民税を財源とし運営されています。
非課税、低所得世帯を増やすような政策誘導は杉並区の財政を圧迫していくでしょう。その穴埋めは、担税力のある区民に上乗せで負担になります。
杉並区民は黙っていてよいのでしょうか!?
背筋がぞーっとする。こんなに低所得者に対する憎悪をあからさまにした政治家を初めて見たからだ。いきり立ったネトウヨ政治家たちですら、こうは言わない。あの石原慎太郎ですら、こんなことは言わなかった。低所得者を外国人に置き換えて読むと、このポストの異常さに気づく。「多文化共生」を進めると外国人が増えて治安が悪くなるというヘイトと同じだ。
もちろん、杉並区が打ち出した子育て家庭向けの施策が適切かどうかは、予算議会でさまざまな意見が出るだろう。しかし、「低所得者を増やすな」「私たちの納めた税金が低所得者に回る」みたいな議論を本気でするのだとしたら、うすら寒い。日本もついに、そこまで逝ってしまったかと。
国にせよ自治体にせよ、税金や保険料の応能負担の原則は当たり前で、よりお金を持っている人がよりお金を持たない人を支える構造を変えることはできない。そこを否定したら、民間サービスと同じで、役所が存在する意義がない。税金や保険料など納めるのをやめて、お金を持っている分だけ民間サービスを買えばいいのだ。
ただ、冷静になって考えて見れば、小池百合子が育ててきた都政人の姿が正直に表れていると言えないだろうか。「都民ファースト」といういかがわしい言葉の本質は、「お金持ちの都民ファースト」なのであり、貧乏人を行政の隅っこに追いやり、お金を持っている人たちだけが輝ける首都・東京を謳歌することなのだ。
もう、そんな絶望的なストーリーを拒否すべきである。
〝平成の改革派勢力〟が最後に見た景色
小池百合子と都民ファーストの会、小池都政とは、細川護熙、小泉純一郎から始まる〝平成の改革派勢力〟の最後に行き着いた荒野である。つまるところ、ただ呆然とするしかない。国民的熱狂で改革、改革と騒いできた最後の景色が、低所得者の排除なのだから、体の力が抜けてしまう。
〝平成の改革派勢力〟とは、〝失われた30年〟を自民党政権と一緒につくりあげてきた共犯者たちのことである。その本質は二つあった。第一に、新自由主義の立場から公の破壊と民への市場開放を進めることが、彼らの政策の基本だった。第二に、より多くの支持を得ようとするために、右派ポピュリズムへと走り、戦前の国家の暴走を正当化する歴史修正主義の罠にはまり、今日の日本の右傾化へとつながったということである。
ここでそれらを長々と論じるつもりはないが、時代が令和に移り、ずっと都政を見つめてきた一人として、今、東京から日本を見渡せば、〝失われた30年〟という日本の広大な焼け野原しか残っていない。
何より、日本維新の会の没落ぶりがそれを象徴している。
民主党政権の体たらくのなかで、颯爽と大阪から爆誕した維新は、新自由主義と歴史修正主義という、〝平成の改革派勢力〟の二つの流れをそのまま飲み込んいる。自民党や民主党では政治家になれなかったり、排除されたり、先行きの人生が見通せなかった人たちが、維新という受け皿に集まっている。言ってみれば、〝平成の改革派勢力〟にとっての最後のとりでだったのだ。
しかし、元々橋下徹の個人政党だったことや、彼自身の排除とハラスメントの論理が組織の体質として根深く残ってしまったこともあって、大阪という特殊な政治地図のなかでしか存在意義が発揮されることはなく、全国政党としての広がりには限界があった。東京はその最たるもので、都議選に党幹部が応援に来ても、大阪の自慢話しか聞かされず、東京の手厚い福祉政策にどっぷりと漬かった都民にはさっぱりウケなかったのだ。しかも、他党と比べて不祥事が多い。これはさまざまな政党では受け入れられないキワモノを受け入れているからだ。
昨年、兵庫県知事選を契機にそういう維新の限界がとことんまで底を抜けた感じがする。ブレーンである上山信一を筆頭に維新の支持者らが、ハラスメントの疑惑のある斎藤元彦を擁護し、N国の立花孝志の〝二馬力選挙〟をも擁護する。対立する勢力を「既得権益」などとレッテル張りし、批判するメディアを「オールドメディア」とたたき、〝無垢の信者〟らによるSNSの誹謗中傷をあおり、ついには自殺者まで出してしまった。
思えば、N国の立花孝志のルーツは橋下徹でもある。維新のN国化は必然だったのかもしれない。
維新が鳴り物入りで誘致した大阪・関西万博は、誰もチケットを買おうとせず、興味を持ってももっぱら企業の無料チケットの流出待ちである。あれほど永田町政治を呪い、既得権益の打破を訴えてきた維新が、2度の都構想に負け、結局のところ昭和のノスタルジーにしかすがることができなかったのは、ただひたすら白けるしかない。
兵庫県での一連の騒動と大阪・関西万博の失敗は、衆院選での維新の惨敗と重なっている。今や保守・中道の改革派勢力といえば国民民主党が担っていて、おそらく参院選で維新が大阪以外で生き残る道はほとんどなくなったといえる。都議選の獲得議席もおそらくゼロに近いのではないか。
日本維新の会は3日、党内に設置予定の「ガバナンス委員会」のメンバーに竹中平蔵・慶応義塾大名誉教授、野村修也・中央大法科大学院教授、原英史・株式会社政策工房代表取締役社長の3氏を起用すると発表した。
そして、党の「ガバナンス委員会」に〝失われた30年〟の立役者ともいえる竹中平蔵を起用するというセンスの無さ。
維新の終わりの始まり。その模倣で始まった都民ファーストの会も、遠くなく消える運命にあるのだろう。
バブル崩壊の日本で若い政治家を中心に始まった「改革」ブームは、ここに終焉のときを迎える。なんとも寂しい景色である。
では「石丸新党」は〝令和の改革派勢力〟になれるのか
そんな絶望的な景色を前にして、政治に新しい風を吹き込む勢力はないものかと、多くの国民が模索しているなか、颯爽と登場したのが石丸伸二であり、石丸が新たに設立する新党「再生の道」である。
この「再生の道」の評価はすでに書いた。
最初に断っておくが、私は石丸新党にまったく期待していない。彼もまた、〝平成の改革派勢力〟の延長戦上にしかいないからだ。6日に記者会見し、都議選候補者の応募状況を公表している。この会見は、石丸氏の意思とは関係なく、文春砲の釈明ばかりが焦点になっているが、それに埋もれて肝心な情報が伝わっていない気がする。
応募した490人の内訳は男女比が9対1で、40代が最多。区議や市長経験者からの応募もあったという。
応募者のうち女性は1割。いやいや、1割って…(苦笑)
ジェンダーバランス悪すぎ。これでは、じいさんばっかの国会と変わらないではないか。選考後の候補者たちの大半は男性になる。政治家をめざす女性はいくらでも転がっている。なぜ石丸新党は、女性から敬遠されているのか。
やはり、石丸伸二のキャラクターなのではないか。
しゃべり口がいかにもヲタクなのだ。自分を強者に見せようと、弱者にマントをかける姿は、女性にとってはうっとおしいことこの上ない。コミュニケーションが成立しない男の相手は時間の無駄だ。人生の無駄だ。しかも、選考過程を透明化するのはいいが、こりゃどう見ても見世物小屋でしかない。
「被選挙権のない方にも当事者になってもらう」として、16~24歳を対象に「面接官」の募集も呼びかけた。面接官は候補者を決める採点には関与せず、面接に同席して議論の盛り上げる役割を担う。
面接官はあくまでガヤでしかない。決めるのはあくまで石丸だ。面接といってもYouTubeで配信し、配信に群がる〝無垢の信者〟たちと一緒に石を投げるコロシアムみたいなものだろう。そんなさらし者になってまで都議会議員になりたい女性は少ないのではないか。
普通、政治家になりたいなら、自分の考える政策を実現してくれる政党を選ぶものだ。しかし、石丸新党にその政策はない。当選後の党議拘束もない。新党の公認を得ながら、実質的に無所属と同じで、自分の政策を都政に反映させるには、同じ志の議員や会派を巻き込んで、都庁官僚を相手にネゴシエーションしなければならない。
そもそも、この新党は石丸自身の自己実現とブランディングのツールでしかない。
これでは、真面目な女性は応募できない。
なぜ女性が乗ってこないのか。それは石丸新党が中身がなくて、すっかすかの空洞だからである。ただただひたすら、石丸伸二のヲタクっぽいキャラクターがすべてで、それ以上でもそれ以下でもない。ただひたすら空虚だからである。
しかし、一方でそういう空虚さはこれまで〝平成の改革派勢力〟が歩んできた、その終着地から眺めれば、必然なのかもしれないと思う。改革だ、改革だ、既得権益だ、既得権益だと大騒ぎして、その最終形態が維新や都民ファーストなのだから、それも仕方あるまい。
そもそも、都議選で都政が争点になったことなどほとんどない。2025年都議選なら、おそらく自民党の裏金問題が最も大きな争点だろう。参院選の前哨戦なので、政権交代の風も吹くかもしれない。
各党が掲げる都政の公約は、都政新報くらいしか報じない。いや、それすら危ういかもしれない。
ならば、新党は空虚でいい。政策も、当選後の党議拘束も、あるだけめんどくさい。任期を2期までに限定するというのは、ほぼ空手形である。石丸新党自体、8年続くかどうかわからないうえに、別の政党から3選すればみそぎは済んでしまう。
つまるところ、石丸新党は必然的にすっかすかの空っぽ政党なのである。
1月31日付の都政新報が、藤川選挙戦略研究所の藤川晋之助にインタビューしている。
ーー都議選で「再生の道」を支援しますか。
地域政党は、全ての既成政党を敵に回して戦わなければならない。(藤川選挙戦略研究所のスタッフであった)西岡(直人氏)を「再生の道」の事務局長として断腸の思いで推挙し、移籍させた。
ーー地域政党は短命で終わるのでしょうか。
地域政党はだいたい5年以内に滅んでいるが、唯一、日本維新の会が結党から10年を超えた。維新は結党当初、ベンチャー政党だったが、いつの間にか既成政党に変わってしまった。
石丸新党は今、ベンチャー政党で、新鮮に見えるが、歴史を振り返ると地域政党は空中分解しているので、石丸さんには深謀遠慮が必要だ。
藤川の指摘におおむね相づちを打つが、短命で終わるのは地域政党だけではない。この間、〝平成の改革勢力〟として多くの新党が誕生しては消えてしまった。民主党しかり、民進党しかり、希望の党しかり、次世代の党しかり。そして、10年を超えた維新も今、既成政党化し、解党的出直しか、終焉かを迫られている。国民民主党も、玉木雄一郎の失脚とともに消える運命にあるのだろう。
石丸新党は都議選で、それなりの議席を得ると思う。日本新党は20議席だったが、その前後くらいが妥当な線だ。4年後は霧散していると考えていいのではないか。
自民党の没落と公明党の弱体化
自民党東京都連は31日、次期都議選(6月13日告示、22日投開票)に向け、現職や新人ら計26人を1次公認したと発表した。都議会会派の政治資金パーティーを巡る裏金問題で、パーティー券の売り上げの一部を収支報告書に記載していなかった現職都議16人のうち10人が公認された。
公認漏れとなった現職都議は、おそらく無所属で立候補することになるだろう。当選すれば、追加公認されるのは、昨年の衆院選と同様だ。地元の自民党支部は当然、無所属か、党公認かは関係なく、支援することになる。これらに加えて、新人で公認申請していて漏れてしまった人が、これからどう振る舞うのかも興味深い。
実質的に与党入りした小池百合子の支援を得られるかどうかもカギを握るだろう。3期目に入った小池閣下にとっては、その後の身の振り方は考えているのではないか。初の女性総理の座を諦めたとも思えない。自民党にしっかり恩を売ることは十分に考えられる。
以前にも書いたことだが、自民党の衆院比例票は小泉郵政選挙以来、有権者比で20%弱を獲得していた。それが昨年衆院選で、14%まで激減した。つまり、支持基盤の底が抜けてしまっているのである。離れた票は、国民民主党や参政党、日本保守党などへと流れている。
都議選は投票率が低い一方で、無党派層の得票が選挙情勢を大きく左右する。自民党にとっては相当きつい選挙戦になる。
自民党都連は、統一協会&裏金の萩生田光一が牛耳っている。石原都政時代の自民党を支えてきた内田茂、髙島直樹、山崎孝明は鬼籍に入り、今はもういない。若手の都議を見ていると、SNSのタイムラインを見ながら仕事をしているのがわかる。自民党の弱体化が伺える。一方で、自分のテリトリーでコツコツ仕事している都議もいるから、こういう体たらくはかわいそうでもある。
都知事選で小池百合子に負け、敗走した果てに与党入り。そして、裏金問題でとどめをさされる。残念ながら、負ける兆ししかない。
かつて都議会自民党は昭和30年代には70議席以上を有していた時代がある。自民党が昭和の末期、リクルート疑惑や消費税導入などで国民の信頼を失い、支持基盤をどんどんすり減らした。しかし、細川内閣時代、〝平成の改革派勢力〟と結託して衆院に小選挙区制を導入し、少ない得票率で圧倒的多数の議席を得るしくみで、野党を分断さえすれば比較第1党を得られるようになった。一方で、都議会は平成以降、幾度も大敗を繰り返し、2009年の都議選では民主党に第1党の座を譲った。2017年には都民ファーストに大敗し、22議席まで後退。2021年も失地の大半を回復できず、33議席に終わっている。
公明党も、そろそろ常勝の看板がきつくなってきた。定数3の目黒区からの撤退がそれを象徴している。定数8の世田谷区で1人しか立てられないことも、支持基盤の弱体化を示している。
自公勢力が弱体化し、〝平成の改革派勢力〟が政治の表舞台から消え、令和の空虚な石丸新党は政策もない、ただ風頼みの選挙。
もう、何が起こるのかわからない。
私は、これでいいではないかと思う。これまで幾度も「改革」「既得権益の打破」を掲げた勢力が都議選で躍進し、そのたび霧散し、最後の改革派勢力たる都民ファーストは低所得者を敵対視し、杉並区でリベラルいじめをやっている。そして、次に躍進が来される石丸新党は、中身すっかすかの空虚な集団である。
一人でも多く、欺瞞(ぎまん)に気づいていただきたい。
そして、自民党の没落も歓迎したい。石原慎太郎にも小池百合子にも対峙できず、与党入りし、ポピュリズム都政の台頭を許した責任は重い。心ある保守政治家が筋を通して、今の都政とたたかうべきである。
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