森地 明

元業界紙記者。1968年7月27日生まれ。神奈川県在住。愛知県名古屋市出身。立命館大学…

森地 明

元業界紙記者。1968年7月27日生まれ。神奈川県在住。愛知県名古屋市出身。立命館大学産業社会学部卒業。とりあえず、「ライター」という肩書きでその場をしのいでいます。共著に電子書籍『都構想の罠』。お問い合わせは、 morichi@mbi.nifty.こむ まで。

マガジン

  • 自治トピックス~ニュースの寄せ集めのようなもの~

    週1回程度、1週間の地方自治関連のニュースから気になった話題をピックアップしています。時間が過ぎると記事のリンク先が切れている場合もありますので、ご了承ください。ヤフコメ的な意識高い系と思い込んでいる人たちの石の投げ合いから距離を置いて、情報を整理しながら視点を提示していきます。

  • 都知事の虚像~ドヤ顔自治体の孤独なボス~

    この連載は、私が都政の専門紙で四半世紀にわたって取材してきた歴代都知事の振る舞いから、なぜ東京都政においてポピュリズムが台頭するのか、そして、広域自治体としての東京都がどうあるべきなのかを考察しています。劇場型政治が都政にもたらした負の遺産を明らかにすることによって、東京の新しい統治機構と首長の在り方を提案します。なお、この連載は、弁護士の宇都宮健児氏の主宰する「うつけんスクール」での講義内容(2021年)を大幅に加筆したものです。

  • 【阪神・淡路大震災】オーラル・ヒストリーから紐解く1・17

    人と防災未来センター震災資料室で「阪神・淡路大震災オーラル・ヒストリー」が公開されています。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の当事者にインタビューした口述記録です。このマガジンでは、オーラルヒストリーに登場する人たちの証言から震災の教訓を紐解いています。震災から既に四半世紀以上が過ぎましたが、薄れゆく記憶を文字に残し、近い将来起きるであろう首都直下地震の対策につなげることができれば幸いです。

  • 都構想の罠~大阪の都区制度は失敗する

    大阪市を廃止し、特別区を設置する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が11月1日に行われます。特別区とは一般の基礎的自治体とは異なり、財源の一部を「都」が課税するという特殊な大都市制度です。都心から豊富な財源が湧き出ている東京と違い、大阪で都区制度を導入すれば、特別区は非常に厳しい〝身を切る改革〟を迫られることになります。都政の専門紙で25年間も東京の都区制度を取材し続けてきた筆者が極めてマニアックな視点から都構想の課題を書いていきます。

最近の記事

動画屋ポピュリズムと民主主義の帰路~衆院選を終えて

 2013年の梅雨、私は都議選の取材で、北区の現職都議と大衆酒場で待ち合わせしていた。夕方、満員の埼京線快速を降りると、駅前に若者がハンドマイクを片手にポツリと立っていた。チラシを配る支援者もいない、本当にたった一人である。そこでチラシを受け取り、名刺交換し、軽く会話を交わした覚えがある。  まだ20代だった音喜多駿くんである。 音喜多駿くんの落選について  彼はみんなの党の公認を得ていたが、組織としては脆弱(ぜいじゃく)で、実質、渡辺喜美の個人政党みたいなものだった。

    • 自公政権も民主党政権も「悪夢」でしかない~衆院選終盤

       玉木雄一郎が躍動している。演説を見ていても、勢いを感じる。これは国民民主党が増えるなと思っていたら、案の定、報道各社の情勢調査で躍進する数字が出ている。この分だと目標としていた21議席には届くのではないか。  思えば、玉木雄一郎は旧大蔵省出身だ。そのことを隠そうともしない。演説を聞いていると、ポロッと口にすることがある。彼は、今の財務省の官僚はデフレ時代の税制改革しか知らない。インフレ時代を知らない。自分ならインフレ時代の税制改革ができると言う。デフレだろうが、インフレだ

      • 衆院選公示~「神」のいない選挙はつまらない

         齋藤元彦前兵庫県知事が抵抗勢力の陰謀によって失脚させられてしまったみたいな与太話を信じている人は意外に多い。真面目なジャーナリストでさえそうなんだから、かなり深刻な病理である。公益通報はぜんぶうそ、ハラスメントもなかった。Xの中でしか成立しない別の世界線にそのまま飲み込まれてしまった人たちを見ると哀れでしかない。ただ、これが哀れんでいるだけでもいられないのは、そういう人たちがまるで孤独なヒーローを支えんがとごく街頭に出かけたりして、それはそれで世論づくりに影響を与えているの

        • 右と左の真ん中ら辺で歩み寄ると、右になる~石破茂と野田佳彦

           石破茂が自民党新総裁に決まって、テレビの生中継を観ながら思わず手をたたいた。石破がどれだけリベラルなのかは知らないが、どちらにしても自民党を支持しようとは思わない。ただ高市早苗みたいな極右政治家が僅差で負けたのはすこぶる気持ち良かったし、2年前の安倍晋三銃撃事件から前にも後ろにも進めずにあべがー!あべがー!と言っているネトウヨ軍団が政権を握るのは、どうにも気味が悪かった。  とはいえ、石破も高市も自民党である。総裁選に立憲民主党や日本維新の会、日本共産党の候補者が出ていた

        動画屋ポピュリズムと民主主義の帰路~衆院選を終えて

        マガジン

        • 自治トピックス~ニュースの寄せ集めのようなもの~
          65本
        • 都知事の虚像~ドヤ顔自治体の孤独なボス~
          11本
        • 【阪神・淡路大震災】オーラル・ヒストリーから紐解く1・17
          4本
        • 都構想の罠~大阪の都区制度は失敗する
          23本

        記事

          「南海トラフ地震臨時情報」の滑稽さ~大本営発表に振り回される日本人たち

           長崎の「原爆の日」のことも、都知事選の総括も書きたいのだが、なかなか筆が進まない。まずはこれだけは書いておかねばと思った。8月8日に日向灘を震源とするM7.1の地震が発生し、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。 「臨時情報」は壮大な空振りに  残念ながら…いや、幸いにも今回の「南海トラフ地震臨時情報」は壮大な空振りになることは間違いない。明日から一斉に帰省ラッシュが始まると思うが、帰省を控える必要などまったくない。南海トラフ沿いの沿岸にいれば地

          「南海トラフ地震臨時情報」の滑稽さ~大本営発表に振り回される日本人たち

          名実ともに自民党政権となった小池都政3期目は4年続くのか【都知事選2024】

           深夜のフジテレビのバラエティー番組に石丸伸二が生出演していた。扱い方としては、これが正しい。石丸はあくまで色物であって、堅実な報道番組には似合わない。本来、収まるべきところに収まったのだ。彼をキャスティングしようとしたプロデューサーの感性は的確だ。次は吉本新喜劇だろうか。ならば、自ら断った維新路線への布石になるだろう。  一方、テレビ朝日はいただけない。朝から昼まで半日、石丸祭り。番組を制作する本人たち的には「報道」をやってるつもりなのが絶望的だ。救いがない。石丸をスタジオ

          名実ともに自民党政権となった小池都政3期目は4年続くのか【都知事選2024】

          蓮舫さん3位で、とりあえず共産党のせいにしておけば幸せになれる世界線【都知事選2024】

           とにかく6月くらいから耳鳴りが止まらない。深夜、耳鳴りで目が覚めるくらいだ。地元の耳鼻咽喉科を受診したのだが、右耳が聞こえにくくなっているのはわかったものの、原因は究明できず。とりあえず、2種類の疾患を前提に薬を出してもらったが、あまり効果はない。ようやく都知事選が終わったのだから、耳鳴りも治まってほしいものだが。  いや、いいのだよ。共産党のせいにしたければ、それでいい。党派色が強い。左翼っぽい。共産党との連携が失速の原因だ…。SNSに限らず、報道機関もそんなことを言っ

          蓮舫さん3位で、とりあえず共産党のせいにしておけば幸せになれる世界線【都知事選2024】

          選挙ポスターをめぐるバカ騒ぎを放置すれば、日本の民主主義は〝詰む〟【都知事選2024】

           衆院東京15区補選で、輩が大暴れして醜態をさらしたのは、まさに都知事選の前哨戦だったといえる。都知事選は、掲示板をジャックして選挙とは無縁なポスターを張りまくるという暴挙によって、いったい都知事選がなにをやっているのか有権者にわからなくなってしまった。せっかくの主要3候補の論戦は、そういう醜態のなかに溶けて消えている。泡沫候補の分際でメディアの勝手な〝推し〟により「有力候補」入りした石丸伸二がやけにまともに見えてくるから不思議だ。  当初YouTubeで遊んでいた石丸が都

          選挙ポスターをめぐるバカ騒ぎを放置すれば、日本の民主主義は〝詰む〟【都知事選2024】

          小池百合子がすがった市区町村長「有志」の〝出馬要請〟こそ自民党政治の真髄【都知事選2024】

           最初に都知事選に絡んだのは1995年。青島幸男が酔っ払いながら都知事選への挑戦を表明し、オール与党が推す石原信雄をぶっちぎって初当選を果たした。保守でも革新でもない無党派旋風。自民党が擁立した石原が惨敗し、共産党が推した黒木三郎は30万票という撃沈。時代が変わるという昂揚感と、政党政治がぶっ壊れた無力感の両方を味わった。  都知事選において、あれからずっと政党は無力である。とりわけ自民党の存在感の薄さは尋常ではない。いくら「勝てる候補」を探して奔走しても勝てない。たまたま

          小池百合子がすがった市区町村長「有志」の〝出馬要請〟こそ自民党政治の真髄【都知事選2024】

          右派ポピュリズムと歴史修正主義を克服し、良識ある都民が選択した候補を支持する~都知事選告示に際して

           都知事選告示の前夜、石丸伸二の信者がSNSにアップした「デマ」に対する回答が「石丸閣下はネトウヨが嫌うようなことはしませんよ」という趣旨にしか読めなくて、思わず笑ってしまった。YouTubeで泡沫候補やネトウヨと対談しているのを見て、やはりこの人はさまざまな面で〝ヲタク〟がリアル化した偶像なのであって、都知事選には100年早い人物なのだと痛感する。政策に具体性はなく、まだ東京のことをほとんど知らない。「多摩格差」という言葉だけは覚えたんだなと、そこだけは褒めてあげたい。

          右派ポピュリズムと歴史修正主義を克服し、良識ある都民が選択した候補を支持する~都知事選告示に際して

          泡沫候補の石丸伸二を有力候補にしたのはだれか?【2024都知事選】

           ところで、広島県安芸高田市ってどこ?(爆)  広島市の外れにある、町が合併してできた人口25000人弱の田舎町。本来、「市」にふさわしいのかどうかも怪しい。「平成の大合併」で無理やり「市」にしてしまった典型的な衰退する地方都市である。  そんな市の首長が1期で仕事を放り出して、7月7日投票の都知事選に立候補するというのだから、笑っちゃうよりほかない。  本来なら即刻、「泡沫候補」扱いだ。ところが、ネットを中心にメディアがまるで小池百合子を追い落とすくらいの勢いの「有力

          泡沫候補の石丸伸二を有力候補にしたのはだれか?【2024都知事選】

          胸くその悪かった衆院東京15区補選と、小池3選が都政にもたらす失望

           候補者が他の候補者の街頭演説に突撃し、大暴れするという、悪夢のような光景を眺めながら、日本もついに逝くところまで逝ってしまったと天を仰ぐしかなかった。こんな光景を見るために、我々は戦後、民主主義を守ってきたのだろうかと思うと虚しくなる。こんなに胸くその悪い選挙は生まれて初めてだ。かつて、共産党の不破哲三委員長(当時)が党公認候補者の応援で街頭演説をしている場所に、公明党の選挙カーがボリュームを一杯にして叫んで通り過ぎたことがあった。当然、不破委員長は激怒したが、当時の都議会

          胸くその悪かった衆院東京15区補選と、小池3選が都政にもたらす失望

          反岸田の空気を軽々と乙武洋匡に奪われた立憲民主党~衆院東京15区補選

           ね、先月書いた通りになってきたでしょ。  そのうえで、である。 自民、公明、ファーストの野合共闘  『五体不満足』の…いや、作家と及びしたほうがいいのかな、乙武洋匡さんが政治家を目指しているのは、例の文春のスキャンダルが炸裂した当時からわかっていたことだ。だから、ここで名前が出るのは不思議ではない。ただ、彼ほどのネームバリューがあれば都知事選狙いなのかと思っていた。  よもや、東京の片隅の補選だとは、世の中はなかなか見通せないものである。  前回、私が書いた通り、

          反岸田の空気を軽々と乙武洋匡に奪われた立憲民主党~衆院東京15区補選

          小池百合子東京都知事が衆院東京15区補選に出る可能性なんて20000%ない

           いったいだれがそんな無責任な観測を広げているのだろうか。小池閣下がそんな下劣な衆院補選などに立候補するわけがない。彼女がなぜ「女帝」とまで言われているのか、まったく理解していないのではないか。  衆院東京15区は、2021年衆院選でにわか自民党の柿沢未途くんが、自民党主流派の候補を破って当選した選挙区だ。民主党であろうが、無所属であろうが、野党共闘であろうが、彼は小選挙区で勝ち続けてきた。言ってみれば、柿沢家の御料地であり、そこで未途くんを相手にたたかいを挑むのではあれば

          小池百合子東京都知事が衆院東京15区補選に出る可能性なんて20000%ない

          【能登半島地震】「自粛警察」から「視察警察」へ。SNSと政治家がたどり着いたディストピアの笑えない景色

           「震度7」「大津波警報」という言葉だけで、この先の惨状は察知できた。仕事柄、現地に入るかもしれない。そんな覚悟もあった。3.11以来の武者震いである。  結局、正月休みが明けても、地元と東京を通勤する毎日である。必然的に旧Twitter(X)のタイムラインを追ってしまった。これが失敗だった。  コロナ禍では「自粛警察」があちこちに出没して、SNSの投稿が緊急事態宣言などの社会的要請に相応しいのかどうか、自分たちで勝手にジャッジし、〝ギルティ〟ならみんなで炎上させ、思う存

          【能登半島地震】「自粛警察」から「視察警察」へ。SNSと政治家がたどり着いたディストピアの笑えない景色

          埼玉県議会の自民党はなぜ「子ども放置禁止」条例なんてばかげた条例案をつくったのか?

           埼玉県議会は10月13日の本会議で、自民党が提出していた児童虐待防止条例改正案を正式に取り下げました。いわゆる「子ども放置禁止」条例案です。以下が条例案の抜粋です。 埼玉県の「こども放置禁止」条例は史上最悪 罰則規定こそないものの、子どもを放置することを児童虐待と位置付けて禁止しています。しかも、県民には通報義務を課しています。さまざまな自治体の議員提出条例を見てきましたが、記憶の限りでは、史上最悪の条例案です。  第一に、現代の家庭における子育て環境をまったく理解せず

          埼玉県議会の自民党はなぜ「子ども放置禁止」条例なんてばかげた条例案をつくったのか?