「普通がいい」という病
講談社現代新書の同タイトルの本を読みました。筆者は若いころ精神科医の職を離れ、自分の人生を「未知の運命に向かって開いてみたい」という思いで、パリに音楽留学生として渡仏した経験をもちます。そこで、日仏の人生観の違いを感じたとのこと。
10章の小編から成っており、古今東西の様々な哲学者、神学者、童話等からの引用が含まれ、難解な個所がいくつかあります。ただし、9章(小路を行く~マイノリティを生きる)、および10章(螺旋の旅路~自分を求め、自分を手放す)はこの本のハイライトであり、ここまで到達すると一気に滑り落ちるように引き込まれます。ぜひ、最終章までに脱落せずに、一気に滑空する読了感を味わってください。
初版は2006年ですが、現在のwith コロナの生活において、さらにこの本の意味するところが大きくなっているように感じます。