【読書】スティーブン・キング/コロラド・キッド
久しぶりのキング作品です。本作は中編3つから構成されています。
浮かびゆく男
キングの有名な作品に「痩せゆく男」というのがありました。あちらは呪いでどんどん痩せていくようなどちらかというと怖い系でした。こちらの作品も似たようにある男がどんどん「体重が減っていく」のですが、決して痩せているわけではなく、ただひたすら軽くなるのです。おかしなことに重量のあるものも彼が身につけると重量が消えたかのようになくなります。
その状況を診察してもらった医者、そして街に越してきて、レストランを経営しているLGBT夫婦との関わり合いの日々が描かれます。そこで彼は自分の体重がいよいよ体重がZEROになるまでにやっておきたいことを敢行して、それまでのわだかまりを解き、成し遂げるまでを描いています。
最初から結論は変えずに書いたのかな?とか変えない方が良いと思ったのかな?とか考えましたがキング的には最初から結論・結末はあって、そこに至るストーリーテリングを考えたのだと思います。
意外と感動しました。
コロラド・キッド
本書のタイトルとなっている作品です。
まるでハードビルド小説。憧れていたのでしょうか、キングは。渋い爺さんたちと若い女性インターンからなる3人の新聞記者が未解決事件について語り合います。
脱線しそうになったり、いろんな話を混ぜながら真実に向かって突き進んでいくのかと思いきや…
なんじゃそれ〜って終わり方でした。ま、こういう小説もあるのかもしれません。シーズン途中で打ち切りとなったドラマを見せられたような、消化不良になるかもしれません。
んー、もやもやします。もしかするとこれがキングが我々に感じさせたかったおと?してやられている?そんな感覚にとらわれます。
ライディング・ザ・ブレット
大学生アランは離れて暮らす母親が脳卒中で倒れたと知らせを聞き、とにかく病院へ行こうとヒッチハイクをしながら病院に向かいます。
最初に乗った車はなんだかちょっといかれた爺さん。そこからなんとか2台目を捕まえようとしている中、墓地を通り過ぎ、ようやくつかまえて乗り込んだ車は今しがた墓地で見たのと同じ名前を名乗る、死者がドライバーだった!
というおどろおどろしい、キングらしい一品です。昔ダークタワーを読んでいた時に応募してもらった限定版で読んだことがありましたが、久しぶりに読み返しました。面白かったです。
おすすめ度:★★★(キング好きがつまむにはちょうど良い、おやつのような小作品ですね)