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「生きててよかった」がプレッシャーに ~第52話 パラグライダーで墜落 そして入院~

23年の夏、パラグライダーの大会で墜落し、死にかけました。事故から入院、治療、その後の事などずっとシリーズとして綴ってきました。そして、今回は踏み込んだ内容です。批判覚悟で書いてみようと思っています。

パラグライダーの墜落で死にかけてから11ヶ月が経ちました。色んなことを思い、色んなことを考えました。いっぱい傷付いてきたし、いっぱい涙も流してきました。

事故後、沢山の人に言われてきた言葉があります。

「生きててよかった。」

あんな大事故だったんですからね。生きていたこと自体が奇跡です。自分のことを思ってくれる人ほど、そう言ってくださるのも理解しています。

でも、、、本音をいうと、
実はこの言葉は自分にとってはプレッシャーになっていました。

「まだわかんないよ。。。。」
というのが、言われた時の自分の心の率直な反応です。

私がすごい自己中心的な人間なのかもしれません。周りの人の思いよりも自分の気持を優先しているから、そう思ってしまうのかもしれません。でもそう思ってしまっています。

あれだけの事故で深刻な後遺症はありませんでした。後遺症として残ったのは主に左足の表面の麻痺感覚だけで日常生活にはさほど影響はありません。体的には事故前の運動機能の95%を取り戻せるだろうと医者からは言われています。重い傷でした。でもほぼ戻すことができるわけです。修正は必要だけど、事故前の自分の延長線上の将来を描くことができる。これは本当にありがたいことです。本当に幸運でした。

それでも多くの物を失いました。そして取り戻していく日々は、、、毎日が戦いです。正直、、、辛い。死ぬほど苦しいことが沢山あります。

やっぱり追い込まれていくんだと思います。そんなつらい最中で「生きててよかった。」と言って頂けても、今の自分には必死すぎて、、、。言われる度に

「生きててよかったかなんて、そんなのまだわかんないよ、、、。とにかく今は必死なんだよ。。。生きてた喜びを噛みしめる余裕なんてない。」

そう思ってしまいます。
まだ自分が失ったものを取り戻す道の途中だからなんでしょうね。生きる喜びより、苦しみの方がまだまだ大きいからなんだと思います。

心底「生きててよかった!」と思えるような出来事がおきるまでは、ずっとこの思いと苦しみは続いていくんだろうなって思ってます。そして、心底生きててよかったと思えるような出来事が起きるのは、ずっと先になるだろうなという気もしています。

なんであの事故が自分に起きたんだ?なんでこんな不幸が自分にふりかかるんだ?
そういった葛藤もかなりあります。
でもそういったことも乗り越えて、

心底生きててよかったと思える出来事がおきるには?
どうしたらそれが早く起きるようになる?

今はそこにフォーカスして、必死に生きている、踏ん張っている、というのが現状です。そう思えているだけ、自分は幸運だし、恵まれています。だからこそ、必死に進み続けています。

そして、事故から11ヶ月。あとちょっとで1年となります。

つい最近、初めて「生きててよかった」と言われて、素直に受け入れることができました。

色んな痛み、苦労、将来への不安、そういったものを包みこんで、優しく、寄り添う言葉と共に言ってもらえたことで素直にそう思えたんだと思います。

また、自分の中で事故の事を少し消化できつつあるんだと思います。

誰から「生きててよかった」と言われても、素直にそう思えるようになるには、まだまだ時間のかかる事なんだろうなと思います。

もしかしたら、この投稿を読んでいるあなたの周りにも怪我や病気、様々な理由で私のように死にかけた人、困難に抗っている人がいるかもしれません。

そういう人には「生きててよかった」と言葉をかけたり、励まそうとしたりしないほうがいいかな、と私は思います。

何が正解かは分からないし、正解の形は人それぞれだと思います。間違っているかもしれませんが、自分の実体験として、私はそう考えています。

言われると、その人はたぶん、ありがたいと思いつつも、どこかでプレッシャーになってしまう部分があると思うんです。

ではどうするか?
ただシンプルに、その人の所へ遊びに行ってあげてください。なにも特別な事なんていらないです。他愛もない話やバカ話をするとか、一緒にゲームを楽しむとか、そういうのがいいです。今まで通りに、何か遊ぶのがいいと思います。

いつも通りに会いに行き、遊ぶ。
たぶんその人にとっては、それが一番救われると思います。

そしてもし、その人が何か大切なことを話しはじめたら、ゆっくり聞いて、受け止めてあけでください。一緒に涙してください。

それがその人にとって一番前へ進む力になるんじゃないかなと思います。

医療現場はまだまだコロナの影響があり、面会が難しいこともあるかと思いますが、もし面会できるのなら、シンプルに会い行く。遊びに行く。ただそうするだけで救われる人もいるんじゃないかと思っています。

もし可能なら、会いに行ってください。

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前島聡夫/空飛ぶ写真家
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