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ゆっくり、着実にマイナスからゼロへ ~第55話 パラグライダーで墜落 そして入院~

事故から1年と3ヶ月。
退院して丁度1年となりました。

この1年、
・どう怪我を治して体を戻していくか
・フリーランスフォトグラファーとしての仕事をどう戻していくか
この2つをテーマに日々を送ってきました。

「体も仕事も1日でも早く事故前の状態に戻したい。いや、戻すべき。
 むしろ、事故のことすら糧にしてやる。」

そう思って、必死にやってきたつもりです。
でも残念ながら、、、、ちょっと疲れてきてしまいました。

思い通りに行かないことだらけ。
ここ最近では生きていくのが辛いなと思ってしまうことも。。。

体が不自由な頃は基本的に体と向き合うことがメインで、仕事のことなどは当然限界があり、やれる範囲のことをすることしかできなかった。なのでその時期は自分の意識は主に体に向いていました。ゆっくりでも着実に戻っていく体の変化を感じていられました。それなりに自分の頑張りに結果がついてきていたので、進んでいる実感を感じられて励みになっていた。だからまだ心を保つことができた。

でも体がそこそこ戻ってきて、日常生活に支障がないくらいレベルになってからはちょっと状況が変わってきました。
体より仕事のことに意識がいくようになっていく。体が戻ったらやろうと思っていたことに着手していく。いざやり始めると視野が広がってくる。あれもやろう、これもやろうと思うようになる。でも多くのことは結果が出るのに時間がかかる。

頭ではわかっていても、自分の頑張りに見合った結果が出せていない事に心はどんどん辛くなっていく。追い込まれていく。。。。

なるべく明るく振る舞っていたけれど、精神的にかなり追い込まれた状態になってきていました。

そんな状態になっていることをある人に話したら言われました。
「仕事を早く戻したい気持ちはすごくわかる。でもあなたはまだ体を戻すことを最優先にするべき状況だと思う。そんな怪我したら、体を戻すのに3年くらいかかるのが普通だよ。ここまで戻しただけでも驚異的スピードだよ。すごく頑張ってるよ。焦る気持ちもわかるけど、時間をかけて戻して行けばいい。時間をかけるしかない。」

実はその人は以前病気で日常生活がまともに送れないくらいになった経験のある人なんです。そんな人にそう言われてハッとしました。

マイナスをゼロに戻すのはそんな簡単な話ではないんだなと。
改めて死にかけた代償はそんなに小さなものではないんだと痛感しました。

「なるべく早く」と考えていると、色んなこと期待したり、上手くいかない自分にイラついたり、落ち込んだりしてしまう。自分で自分を追い込んでしまい、どんどんつらくなる。

結局のところ、自分の理想や思いが強すぎたみたいです。どう体を戻し、仕事を戻していくかをなんとなく考えていた計画はペースが早すぎたみたいです。言い方を変えると、見積もりが甘すぎたという事なんだと思います。色々と修正が必要だなと痛感しています。

退院した時に漠然と「1年で仕事はマイナスからゼロに戻そう。体も含めてたら1年半くらいでゼロに戻したいな。」と思っていました。
正直言うと、これだけ大変なことを経験したんだし、どこかでボーナス期間というか、一気に前に進めるブースト期間みたいなのが来るんじゃないかとと思ってたんですよね。

実際にはそんなもの、、、、ない。
仮にあったとしても、来るのはゼロまで戻った後になんだろうと思います。多分ないけど。。。

理不尽に降り掛かったマイナスは地道に一歩一歩ゼロに戻す以外の方法なんてないんだなって改めて痛感しています。

今の私の体の戻るペース、仕事の動きを考えると、ゼロ地点に戻るにはもう1年くらいかかるなと感じています。時間をかけて戻していくしかないみたい。

改めて、
まずは体を戻せるだけ戻すことを最優先に。
仕事はその次に考えて動いて行くべきなんだなと思います。

焦る気持ちもあり。悔しい気持ちもある。
認めたくないと思ってしまう部分もある。

でも、現実を受け入れるしかないかな。

ゆっくり、着実にマイナスからゼロへ。




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前島聡夫/空飛ぶ写真家
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