もうすぐ適応障害から復職する
2024年の秋、「適応障害」と診断を受け休職した。
まさか自分がなるなんてというのが正直な感想だった。
診断を受けた時は「あぁ…そうなんだ」と他人事に思えた。
診断が出る半年くらい前から「なんか体調が変だ」と感じてはいたが、疲れすぎてしまっていてなかなか疲労が抜けないだけだと思っていた。
具体的な異変は「ほぼ毎日の頭痛、耳の閉塞感、音が頭の中で響く、何をするにも今まで以上に疲れやすい、なかなか集中できない、コントロールできないくらいイライラして、時には息苦しい」だ。
実は耳については音が聞こえにくいのが気になっていたので、心療内科に行く少し前になんとなく耳鼻科に行って調べてたところ、「低音性難聴」と診断された。
これもまた驚いた。
進行すればメニエール病につながる可能性があり、
対処方法はストレスが原因なのでストレスを解消するしかないとのこと。
以上のことを踏まえて心療内科の先生には、
「明日から休職にしたほうがいいのでは?」
と助言を受けたが、その場で判断することができず、血液検査の結果をみるためにも回答は保留にして2週間後に再診にしてもらった。
保留にする場合は「次の出社で診断が出ていることは必ず会社に伝えるように」と念を押されて診察室を出た。
受診の翌日、さっそく上司に伝えた。
病院に行く直前に上司には体調の異変を報告はしていた。
報告内容からこうなることは察していたみたいで、
「体を壊してまで働くことはない。もちろん、休職してもいい。異動もすぐにでもが必要ならすぐにでも検討に入る。ただ、どの選択を選ぶかは自分次第にはなる・・・。」
ここでも判断が求められるが、何も言えなかった。
休職するか環境を変えて働き続けるか、どっちをとるのか選べないまま1週間がたった頃、仕事を終えて自宅最寄り駅についた時、事件が起きた。
今、思い返してもどう表現したらいいのかわからないが、自分の家の場所も帰り道もわかるのに帰れなくなったのだ。
同時に聞こえてくる雑音すべてが頭の中で響いて、さらにパニックになる。
とにかく怖くて不安で頭がいっぱい・・・。
なんとか同居人に連絡をしてすぐに駅まで迎えに来てくれた。
無事に帰路についた瞬間、突然涙が溢れてきた。
泣いてしまった理由はわからない。
自分史上で1番の異常事態とは思いつつ、翌日は出社した。
それから1週間後、心療内科に再び訪れ、「休職したい」と先生に伝えた。
すぐに診断書を発行してくれて翌々日からお休みに入った。
休職した時は職歴に「休職」がつくことにとても嫌悪感を感じていたし、よくある食欲が落ちたり、眠れなくなったり、よく泣いてしまうという自覚は無いが、本当に自分は適応障害なんだろうか?
自分で言うのもなんだがいつも通りにふるまうことも今もできる・・・。
休職をして体調は治るのだろうか・・・。
そんなことを考えながら過ごしていた。
それから二ヶ月程たった今日、復職の準備に入っている。
今ならはっきり言える、あの時、休職にして本当によかったと思う。
今は体に感じていた異変はほとんど消え、難聴についても先週くらいにやっと回復が認められた。
恋人や友人と過ごす時間も心から楽しいと思えるし、晴れた日に部屋の中の窓辺や、外で感じる太陽の光が心地よくて好きだ。
意欲も戻ってきてずっと気になっていたアニメや映画、読みたかった本なども少しずつ楽しんでいる。
思い返すと今年の春頃から、集中することが困難ゆえに気になるアニメ1本(約20分)ですら見れなかった・・・。
なんで調子悪いのに無理していたのだ自分は・・・と素直に思う。
この休職期間は、「そういえば自分、こんなこと好きだな、興味があるな。こんなことをしてみたいな。これからはどんな人生にしようかなあ。」と、
何年ぶりに自分のことについて考えた気がする。
こうやって回復に至ったのは友人や恋人、家族、先生の支えのおかげだ。
みんなが優しく私に接してくれた。そして定期的に一緒に過ごしてくれた。
「(友人の)職場にも適応障害になった人はそれなりにいる。 無理して働きたいなんて思わなくていい、ゆっくり一緒に休もう。」
担当してくれた心療内科の先生は、
「ゆっくり人生考えよう?転職しな。」とよく言ってくれた。(「転職しな。」には笑ってしまう)
人の優しさに助けられて元気になっていったといっても過言ではない。
私の適応障害の発症原因は不詳ではあるが、職場の物理的環境(音)が原因だった可能性が高いといわれている。仕事柄、絶えず不特定多数の人が出入りして、時には工事現場のような大きな音や人の奇声が何時間も響き渡る場所で、それなりに神経を使う仕事をしていた。
今も騒がしい場所に行くと体が構えるような反応をするので、その環境はトラウマなのだろうと思う。このトラウマから自分を守るには、これから上手に向き合っていかなくてはいけない。
会社には症状を強く自覚する前に、一度だけ職場環境に関して相談したが特に動きはなかった。
復職準備にあたって人事と何回かお話して思ったのだが、「適応障害」はなかなか理解されないものなだと改めて感じる。
自分自身もなるまで分かっていなかったので、理解し難いのはわかる。
人は自分ごとになってやっと相手の立場が分かるものだ。
すごく当たり前なことだが、自分のことは自分で守るしかない。
自分を大切にする選択肢ですら判断ができなくなってからでは遅いのだ。
復職するのは楽しみではあるが、社会から自分を守ることを忘れずに、自分の辛いという気持ちを隠すことなく受け止めてあげたいと思う。
今回の適応障害はとてもいい勉強になった。