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上場ベンチャーの予算策定

こんにちは、ランサーズで経営企画・IR管掌の執行役員をしている多胡(@Akino1004)です。本日は上場ベンチャーにおける予算のつくり方ついて書きたいと思います。

特に「誰に向けた~」という内容ではないのですが、経営企画の仕事について情報交換をする機会があまりないので、まずは当社の共有をさせていただき、色々な会社の経営企画の方と知見を深めていければと考えています!

予算とは?

改めて予算とは、経営としての道筋を立てるための非常に重要なツールです。これがないと、何を目指したら良いかが分からないですし、組織としてまとまりのない動きになってしまいます。新卒時代には、「どうせ計画通りにいかないのになぜこんなに時間かけて予算議論をするんだろう?」と予算策定を軽視していた自分もいますが、今では予算の重要性を身に染みています。予算は経営としての道筋であり、全社の共通言語として、各チームPDCAを回しながら達成を目指していきます。

予算策定のステップ

予算策定の大まかなステップは以下になります。

❶トップダウンで目指す姿を設定
❷各事業責任者に計画のガイドラインを示す
❸各事業責任者と予算計画をつくりこむ
❹計画を取りまとめて取締役会で承認を得る
❺承認された計画を社内で共有する
❻外部のステークホルダーに説明する

このようにトップダウン⇔ボトムアップ、経営⇔現場を行き来する中で、
予算を固めていき、その数値に想いを込めていきます。

特にステップ❷と❸においては、事業責任者とひざを付き合わせて議論をしていきます。事業責任者からボトムアップで出てくる予算を足しあげると、ステップ❶で掲げた「目指す姿」から大きく乖離した数値に往々にしてなります。そのためステップ2~3を繰り返す中で、どうやったら目指す姿を達成できるのか、その場合のリスクはあるのか?などの議論を詰めていきます。

ステップ❷~❸を繰り返す、と書くとシンプルですが、経営企画も事業責任者もやりたいことは一緒で「会社の成長であり、その先にあるミッション・ビジョンの実現」であるものの、総論賛成・各論反対という状況になることが多々あります。特に、何に投資をし、何を筋肉質化(削減)するのかなどは議論を重ねることが多いです。その場合は経営企画としてのスタンス(立場)を明確にしつつ、事業責任者と議論をし、落としどころを見つけていくしかありません。

余談ですが、ランサーズの経営企画の予算策定スタートは年末からです。毎年年始の3連休(成人の日)に社外取締役を含めた合宿をし、そこで1年の振り返り、課題の明確化、解決に向けた道筋などを議論した上で、予算議論が本格化していきます。

予算策定をする上で重要なこと

会社によって思考・議論のスタイルが異なり予算策定の進め方も異なると思いますが、私がランサーズで予算策定をする上でやっていて、今後も継続しようと考えていることが以下3つです。

  • 複数シナリオを検討した上で、計画を絞る

  • 事業計画と実行体制を合わせて計画をつくりこむ

  • 過去対比、事業対比、経営⇔事業部の視点対比で計画を適正化していく

〈 複数シナリオを検討した上で、計画を絞る 
予算策定において成長性・収益性を軸に複数シナリオを検討し、その中で制約条件に当てはめて検討できる幅を明確にした上で、予算策定を開始しています。最初にシナリオを全て並べて目指す姿の方向性を合意することで、その後の数値計画作成にあたり、思考の幅を明確に示すことができます。さらに予算策定終盤に「そもそも~」など土台がひっくり変えることは回避でき、スムーズに予算策定をすることができます。

〈 事業計画と実行体制を合わせて計画をつくりこむ 〉
計画を絵に描いた餅にせずきちんと達成するために、実行する組織のケイパビリティやリソースが充分かについてはセットで議論していきます。HCが充分かについての議論は頻繁にあると思うのですが、そもそもケイパビリティが不足していないか?については見落としがちなので、そこについても問題ないか、目線を合わせていきます。その中で不足しているケイパビリティが明らかになった場合には、どう埋めていくかを決めていきます。

 〈 過去対比、事業対比、経営⇔事業部の視点対比で計画を適正化する 
事業計画の蓋然性について、過去対比で違和感ないか、事業間で偏りがないか、経営⇔事業部の目線があっているか、の視点で確認をするなかで、予算を適正化していっています。

最後に

予算計画は、その会社の1年の動きを決めるため非常に重要であり、さらに利害関係者も多く、難易度が高い仕事だと考えています。単純に数値を扱うだけではなく、随所で洞察力や意思決定力、人間力が求められており、その中で関係者と合意にもっていくというのは、なかなか骨の折れる時間です。
ただし、真剣な議論の中で、事業責任者と目線がすりあっていき、最終的に「やるぞ!」という計画に仕上げていくのは、純粋に楽しくもあります。

よく事業計画・予算計画づくりは「総合格闘技みたいなもの」と言われますが、まさにそうだな、と常々思います!

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