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ベンチャーにおける女性リーダー育成

こんにちは、多胡(@Akino1004)です。
本日はベンチャーにおいて女性リーダーを育成するにあたり、どういった環境整備が必要なのか、について書いていきたいと思います。

「女性活躍」が日本の重要アジェンダとして設定され、様々な取り組みが行われていますが、家庭と仕事の両立の難しさ、女性自身の意欲不足、男性中心の組織風土、など複数の要因により、なかなか進捗していないという現状があります。

私自身「女性リーダー育成」は非常に関心のあるテーマであり、現在様々な人にサポートいただき執行役員というリーダーとしての役割を担わせていただいていますが、自分自身の「能力」×「やる気」だけではなく、そこに「環境」の掛け合わせは必要だと強く感じております。

私が勤めているランサーズでは女性従業員比率が40.1%で、女性管理職比率が37.8%と、女性の従業員比率と管理職比率がほぼ同水準になっています。 内閣府の『男女共同参画白書(令和4年版)』によると、就業者における女性比率は約45%、女性管理職比率(係長級)が約20%と女性従業員比率と管理職比率の間に大きく差分がある中で、ランサーズではこの数値が表しているように、女性リーダーが多数活躍しております。そこで本日は、ランサーズにおける取り組みも踏まえて、女性リーダー育成において、「どういった環境整備が必要なのか」、について書きたいと思います。

令和5年6月26日、「ランサーズ有価証券報告書」

日本のジェンダーギャップと対応方針

改めてですが、日本は世界各国と比較しても、経済・政治の両面においてジェンダーギャップが大きく残っていると言えます。2022年の世界経済フォーラムの「The Global Gender Gap Report」によると、日本の総合スコアは0.650で、146か国中116位の順位でした。前回と比較して、スコアや順位はほぼ横ばいとなりましたが、先進国の中では最低レベルとなり、アジア諸国の中でも韓国や中国、ASEAN諸国よりも低い結果となりました。

そのような中、日本政府は「女性の活躍促進」を重要アジェンダとして掲げ、今年の6月に公表された「女性版骨太の方針2023」では、プライム市場上場企業を対象として2030年までに女性役員の比率を30%以上とすることを目指す、などが盛り込まれています。

ベンチャーにおける女性活躍推進の課題

このように女性活躍推進は日本全体においても大きな課題でありますが、特に大企業ほど制度等の環境が整備されていないベンチャーにおいては、より「目指すもの」と「現状」の差分は大きいと考えています。結果として、日本のベンチャー企業における女性管理職の比率は全企業の女性管理職比率と比較して低い傾向があり、それにはいくつか要因があります。

  1. 男性中心の組織文化や人間関係:ベンチャーに限らず日本企業全般に当てはまることですが、ベンチャー企業はとりわけ少人数の創業メンバーからスタートし、その際に類似した環境で育った(例:男子校)メンバーでチームが組まれやすいと言われており、結果として男性中心の業界・組織になりやすいと考えられています。男性中心の組織そのため、リーダーシップ層のカルチャーだったりマインドが男性中心の目線であるため、なかなか女性育成のための視点が会社として持ちにくい、というものがあります。

  2. ワークライフバランスが崩れやすい: ベンチャー企業は成長に向けた努力や時間の圧力が高く、長時間労働やストレスのある環境が一般的です。そういった環境だからこそ、チャレンジングな仕事ができ、スピード感を持って成長できるというのがベンチャーで働く面白さだと考えておりますが、裏を返すと、女性が管理職のポジションに進む意欲を減退させる要因となる場合があります。

  3. サポートやメンタリングの不足 :女性が経営陣や上級管理職に進むためには、「期待を伝え続ける」など、メンタリングやコーチングなどの適切なサポートが重要だと考えます。しかし、ベンチャー企業においては、大企業と比較し、人事制度・研修制度含めたサポート体制が不十分な場合があり、女性の成長や昇進を制限する要因となることがあります。

ベンチャーにおける女性活躍に必要なこと

繰り返しになりますが、ランサーズでは女性従業員比率が40.1%で、女性管理職比率が37.8%と、女性活躍が進んでおります。2013年のマッキンゼーの調査によると、「組織のあらゆる階層で、女性の昇進率の方が男性の昇進率より低い」ということが明らかになっております。例えば、一般社員から中間管理職へ昇進する確率は男性が女性の3倍です。中間管理職から上級管理職への昇進率は男性が2倍、上級管理職から経営メンバーへの昇進率はそれぞれ男性が2倍というデータがあります。こういったデータと比較すると、女性リーダーが男性と同水準で育成できている当社の数値は非常に先進的なものだと考えております。

また、ダイバーシティを実現する上で、比率が30~35%を超えることで、多数派や少数派という意識がなくなり、性別という属性を気にせず、1個人としてお互いを見れるようになると言われており、その閾値を超える値となっております。

このようなランサーズにおいて、どのようなカルチャー・人事制度が女性活躍に寄与しているのか、について3点にまとめてみました。結論としては、何か飛び道具的な施策があるわけではなく、各所で「重要」と言われていることを着実に対応していく、ということが大事だと考えています。実際に、ランサーズでは女性にフォーカスした研修や制度等が特にあるわけではなく、「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる(※こちらは旧ビジョンで2021年にアップデートしています)」というビジョンを掲げて会社運営をしている中で、誰もが活躍しやすいカルチャーになったのだと考えています。

  1. フラットな組織:「女性だから・・・(活躍できない)」という見方は社内には全くなく、性別関係なく仕事の品質は手加減せず要求され、重要な仕事についても任される環境です。よく当人には意識はないが無意識のうちに性別で差をつけてしまっている「アンコンシャスバイアス」が女性活躍を阻害する要因として挙げられておりますが、CEOをはじめ、経営層が非常にフラットな考え方をし、行動・発言をしているため、属性に関係なく活躍しやすい土台がつくられております。

  2. 成果主義:直近ハイブリットワークに切り替えておりますが、基本的にリモートワークOKな職場であり、何時間働いているか、(雰囲気として)頑張っているかより、どんな成果を出しているかにフォーカスして評価されます。その結果、家事・育児・介護などによって稼働時間に制限のある女性も、勤務時間で会社への貢献度を測られることなく、適切に評価されています。

  3. 柔軟に働ける環境リモートワークOKスーパーフレックス(1日のうちにどこかでXh働けばok)というように勤務体系については非常に柔軟です。家事や育児、介護などの個人の状況に合わせて勤務時間を自由に設定することができるのは、ランサーズの働きやすさをつくっています。

最後に

冒頭記載しましたが、活躍する女性の総量を一段あげるためには、個人の「能力」×「やる気」だけではなく、会社としての「環境整備」は必要だと考えています。本日はランサーズを一例として、どういった環境が女性リーダー育成に寄与しているのか記載しましたが、ベンチャーだと「社内の優先順位によって女性活躍推進の促進まで手が回らない」、という企業も多いかと思います。但し、上述したように、何か特別なことをするというよりも経営層の意識、適切な評価、柔軟に働ける勤務体系などによっても女性の働きやすさの促進はでき、結果としての女性リーダー育成は十分推進できると考えます。

女性活躍推進については、引き続き様々な角度から発信していきたいと考えています。


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