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変わりゆく日常と変わらない友情
「4月からこっちに引っ越してきたんだよ。」
久しぶりに会うナカジマくんは変わらず飄々としていて懐かしい気持ちになった。
札幌時代の友人3人との飲み会。
東京駅構内の中華料理屋で他の2人の到着を待っている間にナカジマくんとお互いの近況報告をした。
彼は大学時代にウイスキーの魅力にどっぷりハマって、一人暮らしの8畳間に自作のバーカウンターを作り、収集したウイスキーの瓶をずらりと並べていた。
当時よく一緒にいたメンバーで、バーカウンター目当てで家に押しかけてはナカジマくんが作ってくれた美味しいおつまみを食べながらウイスキーを飲んだ。
山崎、余市、イチローズモルト...
たくさん並んだ瓶の中から、私たちのリクエストに応じてナカジマくんは次々とドリンクを振る舞ってくれた。
帰り際に玄関に置いてあるカンカンに心づけの3,000円を入れて帰るのが定番だったな。
(今考えると絶対に少ない)
私はそこでウイスキーの何たるかを教えてもらい、ハイボールが大好きになったし、ピート香のウイスキーに黒胡椒を入れると美味しいということも覚えた。
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ナカジマくんは4月から社会人になり、こっちに引っ越してきて、ウイスキーの蒸留所立ち上げのプロジェクトに携わっているそう。
スコットランドに視察にも行ったらしい。
まさに天職。
仕事が楽しくて仕方がない、という感じだった。
「ゴールデンウィークも働きたいんだけど、休みなんだよね。」
万年休みたい病の私からしたら信じられん。
そんな話をしていると、仕事終わりの友人が1人合流。
「いやあ、東京駅で迷っちゃって遅くなっちゃったよ〜。」
にこにこ笑いながらテーブルに近づいてくる彼女を、一瞬誰だか認識できなかった。
金髪になっていた。
「社会人辞めたんか!?」
思わずツッコんでしまった。
五条悟に憧れて白髪にするべく、2回目のブリーチを終えたところらしい。
5月中旬には3回目のブリーチをして、ついに白色を入れる予定だそう。
会社的には髪色の制限があるけど、会社の上司にはなぜか髪色を褒められたと言っていた。(本当か?)
帆立、牡蠣、シソ、レモンの餃子とビールを頼んで飲み会開始。
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最後の1人が合流。
彼女も東京駅の迷路に迷い込んで、しばらくウロウロしたらしい。
「1週間前に彼氏と別れました!!」
高らかに宣言してビールをゴクゴク飲んでいた。
人間として強い。
年下の医学部生と付き合っていたけれど、彼がベトナムに研修に行くことになって、一方的に別れを告げられた、と。
長かった髪をバッサリ切ってショートカットになっていた。
「別れたこととは関係ないよ〜」
これはきっと本当。
フラれたから髪を切る、という行動をとるタイプではないことは私達が一番良く分かっているよ。
声を張り上げないと会話ができないくらい騒がしい店内で、久しぶりに4人で飲んで話して楽しかった。
みんな外見や住む場所や社会的立場が変わったけど、中身は変わらなくて最高に良かった。
22時30分ごろ中華料理屋を出てナカジマくんと別れ、女3人で銭湯に寄って帰ることになった。
ひとまず東京駅八重洲口のマックに入り、どうせ終電で帰れなさそうだし泊まれるところがいいよね〜と言いながら近隣銭湯の情報収集開始。
「お風呂入れて泊まれるところなら、ラブホでも良いんじゃない?」
誰からともなくそういう話になって、錦糸町へ移動。
飛び込みで入った一軒目で幸い女子会ルームが空いていた。私たちは運が良い。
カラオケ付きルームで1人3,000円。安い。
ひとしきりカラオケをした後、順番にお風呂に入って、キングサイズのベッドに3人で寝転がった。
1人は即寝落ち。
金髪にした子が彼氏が欲しいと言い出したので、その場でアプリをダウンロードして一緒に自己紹介文を考えた。
平日深夜2時にアプリにログイン中のやつにロクな人いないよね、と自分達のことを棚の上にぶん投げながら、イイネを付けて回った。
(相手がログイン中かどうか分かるようになっている仕組み)
そして私たちも寝落ち。
次の日も仕事なので、早朝の錦糸町駅で別れてそれぞれ家路についた。
最寄り駅のトイレで鏡を見た瞬間に、ラブホにお気に入りのアクセサリーを忘れてきたことに気づいて絶望した。
すぐに電話したら取り置いてくれていて、来週取りに行かなきゃいけない。
忘れ物ないよね、ってみんなで確認し合ったのに。やっちまった。
まあ、かなり楽しい夜だったのでオールオッケー。
私もヘアスタイル変えてみようかな。