「人生肯定」全文公開【第3章 一生懸命に駆り立てられる人生の根っこにあるもの】
初の著書「人生肯定」出版から1年。毎月14日に1章ずつ全文公開しています。
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はじめに
第1章 人生にはおやすみも必要
第2章 足りないものを埋める為に人生を使っていないか
カウンセリングコラム①②
第3章 一生懸命に駆り立てられる人生の根っこにあるもの
第4章 固定概念を手放して、人生をデザインしよう
第5章 パートナーシップと人生の深い関係
カウンセリングコラム③
第6章 「人生肯定」を、今ここからはじめるエッセンス
特別対談
あとがき
巻末付録(本プロジェクトについて)
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第三章は、この本を書くことを決めた時に一番最初に着手した章です。私自身の生い立ち、私の価値観にある原体験、今に至るまでの旅路について赤裸々に語りました。
自分の好きな部分も嫌いな部分も全て曝け出して、当時の私自身の葛藤や、そこから物事の捉え方を変えながらどう変化していったのか。私なりの「人生とは?」という考え、哲学を言語化しています。
これを読みながら、ぜひ改めて思い出してみてほしいです。
あなたの価値観の根っこにある原体験はなんですか?
自分にも他人にも厳しい、そ れ は 出 来 な い 自 分 への 恐 れ か ら
「 忙しいことがいいこと 」「 限界まで追い込んで、最大の成果を出す 」そう信じて全力で走っている状態が、ビジネスパーソンとしてカッコいい姿だと正当化しているところってありませんか?でも、そういう思考の根底には「常に走っていないと不安」「必要とされるためには、頑張り続けなければならない 」といった、出来ない自分への不安や恐れがあるように感じています。
私はまさにその人でした。いつだって自分にも周りにも、高い基準とストイックに追い込むことを求める。チームとして成果を出すため、メンバーに成功体験を積んでもらうため、上に立つ自分が厳しく接することが彼らに対する愛情だと信じていました。でも今思えば、弱さを見せるのが怖かったのかもしれません。「ギリギリを追求することでしか良いものは生まれないでしょ」という厳しいスタンスを周りに見せることで、自分を奮い立たせていたように思います。社会に出た頃から「 仕事は出来ないことを出来るようになること。そのためには、がむしゃらにやるしかないのよ !」と先輩たちに言われ続けてきたこともあってか、それが正だと信じて疑いませんでした。だからどこか私のやり方を押しつけていたような気もします。でも、それが「だって仕事ってそういうものでしょ」 と自分の行動の正当化であると気付いたのは、ニュージーランドでの3ヶ月を経て、これまでのやり方や思考の癖など、あらゆるものを手放した時でした。
帰国後 、「 明奈さん、表情が見違えるように穏やかになりましたね 」といろんな人に驚かれました。確かに話すペースや使う言葉 、話を聴く時の表情 、そして誰かと接する時の心持ちが以前と全く違っていることを私自身も感じていました。例えば、誰かの人生のストーリーをヒアリングしながら、その人の価値観を言語化していくことは、以前から好きで得意なことではありました。でも、それが心から楽しい!と感じるようになったのはここ最近です。以前は「 本音を引き出そう !」「 要素を抽出しよう !」とヒアリングに向かっていたところがありましたが、今では話を聴きながらその人が感情を場に出してくれるのをガイドしつつ、一緒に本音を紐解いて、その人の人生を伴走するようなスタンスに変わったような気がします。
人は、未来への不安や、何者にもなれない恐れから、駆り立てられるように生きてしまう。私が自分にも他人にも厳しかったのは、出来ない自分への恐れや、自分を大きくみせたいというプライドからだったんだ、と実感した出来事でした。
承 認 欲 求 の 根 っ こ に あ る 原 体 験
自分を認めてほしい、必要とされたいという自己承認欲求や、駆り立てられるような焦燥感はなぜ起きるのか。そして、いつからその感情に囚われてしまっているのか、自分の心の深い部分に目を向けて、問いかけてみたことはありますか ?
私がこれまで結婚式を担当したカップルや、企業イベントをお任せくださった経営者の方々など、その人のことをより深く知るために人生の話を聴かせて頂く中で、人の価値観には必ず「 原体験 」があることを実感しました。原体験とは、その人の生き方や考え方に大きな影響を与えた体験のこと。生い立ちやご両親との関係 、学生時代の挫折 、時には人との出会いや成功体験かもしれません。そうした原体験が感性の礎となって、その人の価値観を形づくるのだと思います。では、私自身がいつも一生懸命に駆り立てられてきた、その欲求の根っこには何があったのか? ここで少し、わたしの生い立ちについてお話させて下さい。
私の兄は、私が生まれる1年前に病気で他界をしました。「 明奈 」という名前は「 明るかった大輔を示す 」という兄への想いを込めてつけたと、両親から聞いていました。幼い頃 、「 明奈ちゃんはお兄ちゃんの生まれ変わりだね 」と言われることもあって、その度に私は勝手に不安を感じて自問自答していました。なぜ私は生まれてきたんだろう。なぜ兄じゃなくて私なんだろう。その理由が欲しくて、生まれてきたことに納得したくて、いい子でいなきゃ、お兄ちゃんの分まで頑張って生きなきゃ、そんな風に思っていたのかもしれません。小中学校では、両親に心配をかけまいと、いじめられていたことは話せずにいました。「 大輔はとっても優秀だった 」そう語る厳しい父に褒められたくて、勉強も運動も頑張りました。生徒会に立候補したり、夏休みの読書感想文では賞をもらえるように懸命に努力をしました。それは、「さすが俺の娘だ !」と言ってもらいたかったのかもしれません。
そんな「デキる人だと思われたい 」という意識は社会人になってからも顕著で、なるべく失敗しない仕事を選んだり、出来ない自分 、弱い自分を露呈しないように、さも自信が あるかのように振る舞いながら、裏では寝る時間を惜しんで1人で努力をするようなタイプでした。
新卒1年目の仕事は、フランチャイズ加盟店の業績改善をサポートするスーパーバイザーという役割でした。「スーパーバイザー」なんてかっこいい名前はついていますが、 やっていたことは、右も左もわからない中で、店舗スタッフさんと共に接客をして、時には炎天下で 日中通行人に声がけをしたり、手作りの看板を持って朝のラジオ体操が開催されている公園に突撃してフィットネスクラブ無料体験のご案内をしたりと、非常に泥臭い仕事でした。これが社会なんだと受け入れ、必要とされたい、成長したい、という一心でどんな仕事も「やります !」と勢いよく引き受けていました。ですが、本当はプレッ シャーで足が震えてその場から動けなくなったり、ご飯が喉を通らなかったり、不安な気持ちを誰にも相談できず公園で1人ぼーっと空を見上げながら1日を過ごしたこともありました。きっとその頃から私が駆り立てられている焦燥感の根っこには、「 自分がこの世に生まれた意味を感じたい 」という生い立ちからの原体験があったのだと思います。
今となっては懸命に頑張っていた日々も愛おしいし、何も出来ない自分に絶望しながら、 地道に目の前のことや、与えられたことを泥臭くやり続けた自分を褒めてあげたいと思っています。でも、当時はそんな風に前向きには捉えられなかったし、ましてや笑い話にできる日が来るなんて想像も出来なかった。それくらいその時自分が置かれている状況が世界の全てでした。人生の難しさやもどかしさはそこにあるなと思うんです。一段跳びに成長したり、光が差し込むように状況が好転したり、「これだ !」というものが見つかって視界が急に開けていく、そんなドラマみたいな展開は滅多になくて、幸せな瞬間は一瞬で、 辛くて苦しい孤独な時間は永遠のように感じるんですよね。
新卒3年目くらいの頃 、仕事で結果が出ないことが続いて、先が見えず辛かった時期に、上司から「マドルスルー」という言葉を教えてもらったことがありました。マドルスルーとは「 泥の中を手探り状態で出口を探し求め進んで行く 」ということを言います。 私は、人生の多くはマドルスルーを繰り返して進んでいくしかないと思っています。泥の中では右も左もわからない。でも立ち止まっていてはどんどん泥にハマってしまう。手探りでも光を信じて進むしかなくて、進んでいるうちに出口が見えてくることがある。出口までどれくらい時間がかかるかわからない、それでも進むしかないのが人生だと思うんです。この本を読んでいる人にも、今まさに焦燥感や危機感から自分を追い込んで頑張っている人がいると思います。どこか満たされない気持ちを感じ、承認欲求を抱えたまま先が見えない日々を過ごしている人もいるかもしれません。そんな人に私の経験からお伝えできることは、「 今起きていることを、あれがあったから今があると思えるようになるのはもうちょっと先 」ということです。
スティーブ・ジョブズのあまりにも有名な伝説のスピーチに、“Connecting the dots” というお話が出てきます。
私はこのスピーチが大好きです。自分の人生で起きた点を線で繋ぐことは、過去を振り 返ることでしかできないということです。だからこそ、今自分が出来ることは、現在の点が未来に繋がるとただ信じて進むこと。これまでの人生のすべてがあって今がある。そうやって人生肯定をしていくためには欠かせない人生の原体験 、あなたのその駆り立てられる気持ちの裏にあるストーリーに、ぜひ一度目を向けてみて下さい。
光 も 闇 も 。人 生 は 見 え て い る も の が 全 て で は な い
私のライフログスクールで、原体験を振り返ってこれまでの人生での出来事や感情を書き出すワークをする際に、「ネガティブな出来事は振り返らないほうが良いですか ?」と 相談されることがよくあります。辛い出来事や傷ついたことには蓋をしたくなるし、これ まであえて目を向けないようにしてきたこともありますよね。その際 、私からは「 辛かった出来事やトラウマに向き合ったり、その要因を深堀りすることを無理にする必要はありません。でもそれを不自然に避けなくてもいいと思います。その出来事を経験したこともまるっと含めて今の自分だから。その出来事があったことで得られたことや学んだこと、その出来事を通じて自分は人生をどう捉えるようになったのか、自分の変化に光を当てられるといいですね 」とお伝えするようにしています。
これまでの仕事を通じて、どの人生にも光と闇が存在しているということを実感してい ます。キラキラ輝いている人が羨ましくなったり、闇の中にいる自分が嫌いになったりするものですが、人生が常に光の中なんてことはありませんし、闇を知っているから光が見えた時の喜びがわかるんだと思います。辛い時があったから、何気ない幸せに感動することも出来ます。キラキラしている人 、幸せそうに見える人も、実は色んな悲しみや葛藤を抱えているかもしれません。見えているものがすべてではないから、私はその人の人生 の奥にあるもの、言葉や価値観の裏にあるストーリーを知りたいと思ってしまうのです。人生の出来事をどう捉えるかは、その人次第。順風満帆な人生じゃなくて、山とか谷とか、感情の浮き沈み、喜びや悲しみ、いろんな葛藤をするからこそ、それが深みや味わいとなって、自分の糧や人格になっていくんだと思います。焦らず、気張らず、抗わず、流れに身を任せる。それも時に大切ではありませんか? 光も闇もある、それでいいのです。闇にいると感じる時は特に、無理して踏ん張る、頑張るという行為が一番自分を苦しめるから、力を抜いているぐらいがちょうどいい。そうしたらいろんなものがすり抜けて、風向きは変わっていくと私は信じています。辛い出来事 、ネガティブな感情も、これがあったから今があると肯定できたらいいですよね。
いよいよ2022年上半期ラスト1ヶ月。どうこの半年を締め括りますか?
年末に1年を振り返るものの、その頃には上半期のことはほぼ忘れてるってことありませんか?(私は、ある。笑)だから6月末に、2022年上半期振り返りワークショップを行います。
https://2022kamihanki.peatix.com/
みんな大好きしいたけ占い(笑)が、「上半期」「下半期」 と分かれているように、中間地点で一度立ち止まって次の半年を見据える時間を取ると、下半期の過ごし方もグッと変わるのでオススメです🌿
もっと成長したい、もっと期待に応えたい。その想いは大事。でも定期的に自分が踏んできた点を線で繋げることは、バーンアウトしたり、目的を見失って身を削ることを回避して、自己実現しながら組織の成長に貢献できるようになるコツだと思う。振り返りは自分と仲良くなるためのツールなので、型を覚えたら、楽しくできるようになります。
少し足を止めて半年を振り返り、年始に立てた目標の軌道修正をする時間を、私と一緒に取りませんか?振り返りで大切なのは、ハウツーよりも向かうマインド。一度参加したら「振り返りってこんなに楽しんだ!」ってびっくりするはずです^^
<日程>
◎6月25日(土)13:00-15:00 / 19:00-21:00
◎6月29日(水)20:00-22:00
※全て同じ内容です。ご予定が合う回にご参加ください。
<こんな人にオススメ>
・2022年上半期で様々な環境変化があった人
・今年中に新たなチャレンジをしたいと思っている人
・自分自身の成長や変化を認識したい人
・振り返りが大事だと分かっていながらも習慣化ができない人
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