「人生肯定」全文公開 【 目次 / はじめに】
この本は、世の中にまだ言語化、浸透していない「人生肯定」 という考え方を、まずは自分たちの手が届く範囲の必要としている人たちへ届けたい。そしてその輪が人から人へ広がることで一つの温かいムーブメントになってほしいという願いを込めて、あえて出版社を通してではなく、プロジェクトメンバーを募り、クラウドファンディングでの自費出版 / 数量限定の予約販売の形を取らせて頂きました。
あれから1年。クラファンリターンで約800冊をお届けし、その後は個別でご希望を頂いた方にのみ直接販売を行うことで、2021年12月末をもって「人生肯定本」は発刊した1000冊が完売しました。
私の手元にも私がメモ書きしているものも含めて、あと数冊しかありません。オンライン書籍化のリクエストも多数頂いたのですが、プロジェクト本来の目的と純度を保ってこの本は完結させたいという私の意思でそれはしないことに決めました。
とはいえ、せっかくならただ公開するだけではなく、この「人生肯定プロジェクト」1年の節目を祝う企画にしたい。著者として、当時の想いや温度を宿した新しい企画にトライしてみたいなと。
実は当時、クラウドファンディングをスタートは、大切な人に気持ちを伝える、2月14日「バレンタインデー」にしました。そして、4月23日「世界本の日/サン・ジョルディの日」に合わせて、この本を届けました。
月1回の雑誌発売のように、noteで定期配信していきます。ぜひ毎月の楽しみにしてもらえたら嬉しいです。
元々、去年の出版時にオフラインの出版記念イベントを企画していましたがコロナで延期にした経緯もあり、私から直接、本に込めた想いや、執筆プロセスをシェアする場が持てずにいたこと、この本を熱望してくれたオンラインサロンのメンバーや支援してくれた人たちと交流する場が持てずにいたことが心残りでもありました。でも、1年経った今だからこそできることがある気がしています。
「人生肯定」を届けた先に何があったのか?
その問いを、自分なりにこの2ヶ月で探求してみたいと思います。そしてこれは不特定多数に向けたイベントではなく、あくまでこの本を読んでくれた人がよりこの「人生肯定」の世界に浸れるような、改めて自分に問いが生まれるような、そんな一人でじっくり楽しんでもらえる小さな個展がいいなと思っています。私も終日在廊して、読んでくれた感想を直接聞かせてもらえる、そんな時間になったら幸せです。(プロジェクトとしてではなく、あくまで私個人の新たな創作活動として企画する予定です。)
なお、ここから公開する原稿やリンク内容は当時のままを踏襲しており、すでに非公開になっているリンク先などがあるかもしれません。そのあたりは出版時点のものだということでご理解をお願いいたします。
改めて、この本の制作に関ってくれたプロジェクトメンバーとご支援頂いた皆様に心から感謝を込めて。
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目次
はじめに
第1章 人生にはおやすみも必要
第2章 足りないものを埋める為に人生を使っていないか
第3章 一生懸命に駆り立てられる人生の根っこにあるもの
第4章 固定概念を手放して、人生をデザインしよう
第5章 パートナーシップと人生の深い関係
第6章 「人生肯定」を、今ここからはじめるエッセンス
特別対談
あとがき
巻末付録(本プロジェクトについて)
はじめに
人生には、時折というかかなり頻繁に「 自分 」がわからなくなる時が来る。
自分のことなのに、「 何をしたいか 」わからない。「どんな強みがあるのか 」わからない。 自分の人生なのに、「どこを目指して進めばいいのか 」わからない。「これからどんな風に 生きていきたいのか 」わからない。人生に「 正解 」なんてないってわかっているのに、 正解探しをしてしまう。
今の時代 、SNS によっていつでも他人との比較が出来てしまいます。どれだけ見つめても、その人になれるわけはないのに、SNSの向こうにいる「 誰か 」の人生が羨ましく思える。自分だってもっとできるはずだと期待したいけど、胸を張れるような結果は残していないから、悩んでいる自分と、キラキラした人たちとのギャップに焦ってしまう。そしてふと、私はいつになったらあの「 向こう側 」にいけるのだろうと不安になる。そんな風に、自分の人生を誰かと比較してちっぽけに感じてしまうこと、ありませんか ?
さらに、昔 、仲が良かった友達とは今や置かれている状況も違うし、同じ歳でも仕事 やライフスタイルの違う人には、今の気持ちを共感してもらえないかもしれない。そもそも「 人生 」なんて深くて重い話 、誰としたらいいんだろう。夢を語ったら笑われるかもしれない。もっと現実見なよ、なんて言われたら落ち込んじゃうから言いたくない。そし てこんな人生の不安を感じているのは自分だけかもと思ったりもする。そんな風に、人生の話ができる存在が近くにいなくて、1人で悩んでしまうこと、ありませんか ?
自己啓発の類の本はたくさんあるけど、心の奥にある本音を引き出してくれたり、自分の人生に寄り添って伴走してくれる存在は、なかなかいないんですよね。私自身代 、30 代でこの「 自分で自分がわからない 」という壁に何度もぶつかってきました。そしてそ の壁を乗り越える1つの方法として見えてきたのが、「 人生肯定 」という考え方です。
人は未来に期待をして、これからのことばかり考えてしまうものです。だから理想の未来から見ると、現在の自分はいつも、まだそこに到達していない不完全な存在に映ってしまう。他人との比較だけでなく、未来の自分と比較して、今の自分がちっぽけに感じて自信を失っている人も多い気がします。
一方で、過去を振り返って、これまで積み重ねてきたことを見つめてみると、意外と自分が頑張ってきたことに気付くものです。私はそれこそが、その人のリアルな「 今の自分 」だと思っています。こうしたい、ああしたいと未来にばかり目を向けて、欠乏感や危機感から頑張るのを終えて、もう十分にここまでやってきた過去を受け入れて今に集中すれば、もっと穏やかな気持ちで、心豊かに生きることができるのではないでしょうか
私が人の「 人生 」に深く興味を持ち始めたのは、 29歳の時。結婚式をプロデュースす る仕事に就いたことがきっかけでした。誕生日や結婚式、企業イベントなどをプロデュースする際 、その人や会社を深く知るために、これまでどんな人生を送ってこられたのか、どんな決断をしてこられたのか、印象的な出来事とその時の感情や思考について、 時間をかけて対話させて頂きます。人生を一緒に紐解きながら、その人が大切にされてい る価値観を明らかにして、言葉(コンセプト)として表現したり、イベントという形で体感する機会を創らせて頂くのが、私のお仕事です。
これまで数百人の人生ストーリーをヒアリングさせて頂いた中で感じたことは、「 人生はすべて違って、すべて美しい 」ということです。人生はどれ一つとして同じものはないと思います。いろんな人に出会い、あらゆる経験をして変化してきたこと。悩み、葛藤し、 ひたむきに生きてきたこと。 1人ひとりの人生ストーリーを伺う度に、その情景が目に浮かんで、心が揺さぶられます。そしてストーリーの裏にある考え方や想いを知ると、その人のことがもっと愛おしくなります。ですが、私自身を含め、多くの人たちは、自分の人生を過小評価してしまうもの。「 私なんて......」と謙遜したり、周りと比較して落ち込ん だり。ましてや「 自分の人生が美しい 」とは、自分では思えないものですよね。だからこそ、どうしたらもっと多くの人たちにそのことに気づいてもらえるのかな、と考えてい ました
そんな中 、2019 年 1月 、自分で 13年以上続けてきた人生を見つめる振り返りを「ライフログ」と名付け、初めて会社の全社員研修で実施しました。私のガイダンスのもと、 数時間かけて自分の人生を棚卸しして、その後全社員でお互いの人生ストーリーを共有する時間をとりました。共に働く仲間同士パーソナルストーリーを共有することで、心理的安全性や絆が深まり、「その人の性格や言動の背景がわかって、チームワークが良く なった 」という声をもらったことが印象に残っています。同年12 月、初めて一般向けに ライフログ講座を実施。 30人以上の方にご参加頂き、「 振り返りを続けられずに悩んでいる人 」「 自己内省の良い方法が見つからず学びたいと思っている人 」「 振り返りをしても、 反省の要素だけが露呈して落ち込んでしまう人 」がこんなにもいることを知りました。 自分のために続けてきた振り返りが、誰かのためになるということを実体験し、深く感動 したことを今でも覚えています。そして 2020年、新型コロナウィルスの影響で強制的に立ち止まることになった日々の中で、「このままでいいのだろうか 」「これからの キャリアはどうしていこう 」と人生の不安や、自分のやりたいことを言語化出来ないこ とへの焦りを感じている人から、相談を受けることが増えました。「 人生を前向きに考え るきっかけに、ライフログと私の経験がお役に立てるかもしれない 」と、外出自粛によって自宅時間が増えたタイミングの 2020 年 4月から、ライフログをオンラインで教え始めたのです。
その後 、ミレニアル世代の女性に向けたスクール事業を行う、 SHElikesさんで も 特別講義を行うことになり、気付けばキャリアやこれからの人生を考える 20代 、30 代 の女性を中心に、 9ヶ月でのべ 1000名以上に「ライフログ」を体験して頂きました。 講座を受けた人たちから、「 私 、なにもない人生だと思っていたけど、結構頑張ってきた んですね。初めて自分を褒めてあげようと思ったし、自分の人生が好きになりました 」という声をたくさん頂きました。自信がなさそうに自分のことを語っていた人が、スッキリと穏やかな笑顔で前を向いて、自分の人生の手綱を握った姿がそこにありました。
振り返りは、私の趣味です。自分が好きで続けてきたことだからこそ、何時間でも、どんな質問が来ても、いくらでもお答えすることができました。私自身が好きで好きで仕方ないことを教えて、こんなにも人が喜んでくれること、私のこれまでのすべてが人のお役に立てる喜びを、講座に参加してくれた人たちから教えて頂いたように思います。人生をポジティブに捉え直す「 問い 」を渡すこと、人生を肯定できるマインドシフトの機会を届けることが、私のIKIGAI(いきがい)になりました。ずっと「 自分探し 」をし ていた私が、必死に何者かになるのをやめた先に、ありのままの自分で幸せで、世の中に 提供できる価値があると知ることが出来ました。
巷では「自己肯定感」を高めるために、あらゆるハウツーが語られています。ただ、 私はこの「 自己肯定 」という言葉に代わって、「 人生肯定 」という言葉を伝えたい、と 思っています。一見近しい言葉に感じますが、「自分」のことがよくわからない中で、自分を認めなきゃ、と焦るのではなくて、これまで積み重ねてきた1 日1 日 、いろんな人との出会い、関わりまでを含めた「 自分の人生 」を肯定することであれば、なんだかできそうな気がしませんか ?
そして私は 2018 年から、「人間の感情 」と「 幸せであること(ウェルビーイング)」の関係に興味を持ち、ポジティブ心理学を学びはじめました。その中で「 学習性楽観主義 」という考え方を知ったのです。これは、ポジティブ思考は後天的に身に付けられるという考え方のこと。一般的に、振り返りはできなかったことや自分の課題を見つけて、 PDCA を回すために行うものという固定概念があるように思います。だから課題ばか り目につきやすいものです。でも、私はいつも「 振り返りは、まず自分を褒めることか らはじめる 」ということをルールの 1つにしています。人生肯定は「ポジティブメガネを かけて自分の人生を見つめること 」です。ちっぽけでも、涙しても、失敗ばかりでも。 自分の人生を肯定してあげられるのは自分だけ。ありのままの自分を受けとめる勇気と許しをもって、自分がここまで積み重ねてきた人生 、努力 、成果に、胸を張って誇れるようになると、ふっと肩の力が抜けるようになります。こうしてポジティブ思考は、後天的に身に付けられるものなのです。
人生を肯定できた時 、人は初めて当たり前の日常や、目の前の小さな幸せに感謝でき るようになるものだと、経験を通して知りました。自分を好きになれなくても、自分の人 生を好きになれたら、ありのままを自然と受け入れられて、「 周りの誰か 」や「 正解 」が それほど気にならなくなりました。でも、それは 回できたとしても、またいつのまにか 忘れてしまうもの。だから定期的に人生を振り返り、見つめなおして、肯定する時間が大切だと思っています。
この本では、私がこれまでヒアリングした実例やご相談を受けた内容を中心に、多くの 人が抱えやすい「お悩み 」「 本音 」を紐解きながら、人生を肯定していくキーワードをお 届けしていきます。大切な選択をする時に、この本に書かれた言葉が、自分の人生を愛して前に進むための灯りになることを願って、目の前にいるあなたに、わたしからの「 問 い 」をお渡しするつもりで書かせて頂きました。人生に正解がないように、この本でお伝 えしていることが「 答え 」でもありませんし、「 人生肯定 」をすべての人に勧めるもので もありません。ただ「 自分を知り、人生の手綱を握る 」ための 1つの選択肢として、心の引き出しに入れて頂けたら嬉しいです。どうぞ今のあなたの気持ちにすっと入るところから、読んでみて下さい。
巻末付録:本プロジェクトについて
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