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【森の家⑩】〜「天長地久」をそのままに〜

庭の片付けと並行して、古家の解体が始まった。長年空き家として放置されてきた家は、床が沈み、壁が崩れて穴があき、苔むした屋根瓦から雨が漏れ、割れた土間の隙間からはワラビがわさわさ生えている。元の持ち主さんも正確な築年数は分からないということだったが、コンクリート瓦であることから、90年ほど前の建築ではないかと言われていた。


残置物が詰まった空き家

この家を初めて見た時、とてもじゃないが住めないと思った。残置物も多く荒れ放題で、干からびた動物の死骸や糞尿が散乱し、白蟻に喰われたり腐っている柱も目についた。もしもここを買うことになっても、この家は物置きや作業場としてしか使えないだろう。生活の場は別棟で必要になるだろう、というのが購入前の見立てだった。

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