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【ペット産業と保護犬をめぐる闇(前編)】

今夏、我が家には野犬のお母さんから生まれたという保護犬が1匹やってきた。徳島だったか香川だったか、いずれにせよ野犬の多い地域で捕獲され、しばらくは四国の施設にいたそうだが生後2ヶ月を過ぎても譲渡先が決まっていなかったことから、より譲渡確率の高い大阪の保護団体に移ってきたところだった。そこから正式譲渡に至るまでのプロセスは、別の記事(読書メモ)内でも少し触れた通り、なかなかに骨の折れるものだった。

先住犬(5代目の雑種犬)が5歳になった頃から2匹目の検討を始めて約一年。現在の譲渡方式・規約のややこしさに一時は諦めかけたこともあったし、どうしても犬が欲しいならペットショップで買った方がマシなのでは、と思ったことさえあった。保護犬と、その背後にあるペット産業をめぐる闇は、コロナ禍という空前のペットブームを経てより一層複雑化したように見える。

「保護犬の背後にペット産業」と書いたが、かつて保護犬の背後にあったのは野犬の問題だった。外飼いが一般的であり、避妊や去勢手術も今ほどは浸透していなかった30〜40年前、ほとんどの人が「犬を適当に飼っていた」当時は、迷い犬や捨て犬、逃走した犬などがたくさんいて、それらが勝手に交配しては子犬が生まれて野良犬化する・・というパターンがあった。その多くは捕獲後に保健所に送られて殺処分されてきた。そうした状況から生まれてきたのが各地の保護団体であり、殺処分0を目指す保健所の取り組みであり、保護犬猫の譲渡サイトであり、動物愛護管理法の改正だった。

上記のような努力によって、保護犬をめぐる状況は部分的には大幅に改善されてきた。保護犬の存在が広く知られるようになり、アクセスのしやすい譲渡システムが作られたことで、多くの保護犬が殺処分を免れて新しい飼い主を見つけることができるようになった。また年々厳しさを増す譲渡規約や審査のおかげで、保護犬たちの第二の人生はより安定的なものとなりつつある。

ただし、保護犬をめぐる状況は今、別の局面を迎えているように思う。かつて保護犬の多くを占めた「野犬の問題」が改善されつつある一方で、過剰化するペット産業が新たな問題を生み出しているのではないか。我が家に6代目の犬を迎えるまでのこの一年間の経験から、私は保護犬を巻き込んだペット産業の新たな闇を見たと感じる。


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