喜ばれる肉、嫌がられる肉、鹿の肉。
「お肉配り」をしていてつくづく思うのは、鹿肉って微妙な肉というか、価値の測りにくい肉だということ。人によって価値があったりなかったり、その振れ幅がものすごく大きい肉です。ある人にとっては、高タンパク低カロリーの希少な高級食材であり、ある人にとっては送られてくるだけで迷惑というほど無価値な(害にさえなる)肉です。こういうものを何百キロ、何百世帯という単位で「要りませんか〜?」と訊いて配っていくというのは、面白さがある反面、それなりに骨も心もポキポキ折れまくる経験で、日々いろんなことを考えさせられるわけです。
* もらって迷惑な肉
鹿肉要りませんか?って訊くと、たまに「やめて〜、送ってこないで〜!」といった拒絶反応が返ってくることがあります。地方に住んでいる、または田舎出身の人に多い反応ですが、え〜っとですね、私の感覚で言うとこの反応は割と普通。というのも私自身が三重県の出身で、親戚や母親の反応がまさにこんな感じだったから。田舎に住んでいる人間にとって、猪や鹿の肉というのは、「近所のおじさんや親戚のおじさんが、気まぐれで押し付けてくるちょっと迷惑な肉(毛や血や土にまみれた臭くて硬い、扱いにくい肉の塊)」程度の認識です。私は子どもながら獣は平気でしたしお肉が食べられるなら何だって嬉しかったので、「見るのも触るのも嫌!」っていう親戚の分まで肉をもらって食べていました。
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