暗唱学習の断章



1. 部分に分けて、組み立て暗唱する


これまでの投稿で音読学習の重要性を軸に書き留めてきた。ここ最近、音読学習では未だ甘くて、言語学習における暗唱学習が大切なように思えてきた。暗唱というのは、要するに、文(sentence)や文章(text)を覚えて発音することである。これが音読と異なる点は、まず、両者のレベル(階層)で覚えてしまうという点、次に、両者のレベル(階層)で覚えたものをより鮮明に頭の中でイメージして演ずるという点である。この演ずるところに、声と(イメージによる)思いが伴う。

 暗唱はそんなに簡単ではない。じじつ、多くの場合が覚えられないという困難に直面する。しかし暗唱を可能にする方法がある。それは、まさしく、文を主語(主部)や述語動詞などに一つひとつ分解するというものである。たとえば、"Declining birthrates are threatening pension schemes in many countries."という文を

主語:declining birthrates

と捉えて、主語を繰り返し音読する。declining birthrates, declining birthrates, declining birthrates, etc. 次第に単語帳に書かれた文字を見ないで(書かれた言葉から離れてdeclining birthratesが言えるようになる。次に述語動詞のareを捉えて、その後の句を掴む。pension schemesは「年金計画」というよく使用される語の組み合わせであるから、このpension schemesを何度も音読する。pension schemes, pension schemes, pension schemes, etc. これも次第に書かれた言葉から離れて、この語の組み合わせが言えるようになる。pension schemes。

こうして単語帳の書かれた言葉から離れた言葉を組み合わせてみると

”Declining birthrates are threatening pension schemes…"

となる。そして、in many countiresを加え、この文を暗唱する。

Declining birthrates are threatening pension schemes in many countries."
(この例文は旺文社の『英検1級 出る順パス単』p. 95より)

英語の語順や文型を意識しながら
一つひとつ音読する。
主語と述語、その後の補語と目的語に分ける。
繰り返し音読しながら
次第に書かれた言葉から離れて
暗唱してみる。
最後には主語や述語動詞などを組み合わせて
文(sentence)を暗唱する。

 ある言語の文に主語とか述語動詞があるのは、ひょっとすると、我々が文を作りやすくするためなのかもしれない。暗唱の際、文をそのまま覚えようとすると、なかなか覚えられない。これを主語とか述語動詞に分解すると、さしあたり覚えなければならない箇所が少なくなる。そして覚えたら、部分と部分を組み合わせる。

2. 覚えたら気持ちを込めて暗唱する

 文を覚えたら、気持ちを込めて暗唱できるようになる。「気持ちを込める」というのは、具体的な文の使用場面をイメージしながら暗唱するということ。暗唱は、書かれた言葉から離れて私の記憶に、記録から記憶に移行することで、文の発話(speech)がより自由になる。この自由とゆとりが、暗唱をより魅力的なものにさせる。
 これまで、コロナウイルスが流行していたことを思い出しながら次の文(sentences)を、大きな声でイメージが鮮明になるまで暗唱する。

”Scientists began a frantic search for the pathogen that was causing the infection."「科学者たちはその感染症の原因となっている病原体を血眼になって探し始めた。」(同書 p. 93)
(ここでfor the pathogenがsearchの目的になっているからforが使われているのかな?と考える余地が生まれる。)

"One of the side effects of the IT revolution has been an increased reliance on electricity."「IT革命の副作用の1つは、電力への依存が増えていることだ。」(同書 p. 75)
(ここで繰り返し暗唱していて、発話者が現在の時点で継続的な問題点(副作用の1つ)を指摘していることから、has beenが使われていることを考えた。)

書かれた言葉の音読(記録)から暗唱(記憶)へ
大きな声で場面をイメージをしながら
さらに気付きが生じる。

3. 結語

 書かれた言葉(記録)から暗唱(記憶)へ。書かれた言葉から解放=自由化され、暗唱にゆとりが生まれる。文を覚えて、書かれた言葉の文を読む代わりに具体的な場面をイメージして言葉を発する。この具体的な場面のイメージが次第に私の身体と繋がる=一体化するまで、暗唱を繰り返すこと。


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