見出し画像

ISS(国際宇宙ステーション)は次のステージへ、『ゲートウェイ』、の話

こんにちは。あきまるです。皆さんはISS(国際宇宙ステーション)って知っていますか?地球の周りを時速約7km/sでびゅんびゅん飛んでいる、サッカー場くらいの大きさの宇宙ステーションです。最後のHTV(こうのとり)がつい先日打ちあがったこともあり、結構ISSはご存知なんじゃないでしょうか?

でも皆さん、今ISSのその次の計画が進行中って知っていましたか?今回はその次、通称ゲートウェイについて解説していきたいと思います。難しい話は一切ないので、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。

見出し画像出典:NASA

ゲートウェイってなに?

ばくっと言ってしまえば、2022以降に構築される月近傍を周回する有人拠点になります。正式名称は月軌道プラットフォームゲートウェイ(Lunar Orbital Platform-Gateway)のはずですが、NASAもJAXAも通称のゲートウェイ(Gateway)と呼ぶことが多く、あまり正式名称を見かけません。2026年ごろまでに完成させることを目標としている計画で、ついに月近傍に人類の拠点ができるとなると、わくわくしますよね。

画像1

画像出典:JAXA


ISSとはここが違う

ISSと何が違うのかと思われる方も多いかと思いますので、まずはISSとの違いを説明していこうと思います。

図1

出典:文科省資料NASA HPをもとに著者作成

大きさ
ISSと比べて、ざっくりと1/3くらいになります。NASAによれば、ISSは6個のベッドルームのある家よりも大きく、ゲートウェイはほぼワンルーム程度の広さ、となるようです。おもしろい表現です。

The Gateway is much smaller, too. Its interior is about the size of a studio apartment (whereas the space station is larger than a six-bedroom house).
- NASA HPより引用

宇宙飛行士の滞在日数と人数
また、大きな違いは宇宙飛行士の滞在日数と滞在可能な人数が少ないことです。これは、ISSと比べて宇宙飛行士や物資の輸送コストが相対的に高く、また、あくまでも宇宙探査のための拠点であるため、人を大人数かつ常駐させるような思想ではないということでしょう。なお、宇宙飛行士がいない間もけっしてサボるわけではなく、最先端のロボットとコンピュータによって宇宙船内外で実験・地球へのデータ送信を行うようです。まるで宇宙を漂う不夜城ですね。

利用目的
利用目的も全く違います。ISSはざっくり言ってしまえば、「地球のため、人類のため、成果を地上へ還元させる」ということでした。しかし、ゲートウェイは、「宇宙の謎を解き明かすための宇宙探査の拠点とする」という人類の本格的な宇宙進出をその前面に押し出しているのです。

ゲートウェイでできること

図2

引用:文科省資料

図はあくまでもJAXA検討案ですので、最終的には違う部分も出てくることもあるかもしれませんが、おおよそこの図でゲートウェイでできることが網羅されています。

ここで、注目すべきは①基本機能④月以遠に向けた準備です。基本機能にあるように月面探査の支援・効率化が役割の一つにあります。そして気づきましたか?”有人”月面探査とはっきりと書いてあることを!そうです、人類はまた月に行くんですよ!1972年以降人類は月に降りていないので、実に半世紀ぶりになります。ちなみに、ゲートウェイから月面までの到達時間は約12時間になるといわれています。そうなると、ちょっくら月まで行ってくるわ、みたいな感じで、人類の月への到達回数が一気に上がることも考えられますね。まぁ、そんなことないと思いますが。

また、月以遠に向けた準備にあるように、ゲートウェイを拠点として火星への探査機あるいは補給機を組立・点検という役割もあります。JAXAはMMX(Martian Moon eXploration)と呼ばれる火星探査・サンプルリターンミッションを2024年度打ち上げに向けて着々と進めています。現状、MMXがゲートウェイを経由するかは定かではありませんが、もしかしたらゲートウェイ経由火星行きの初号機になるかもしれませんね。

なぜ、地球から直接火星にいかずに、月近傍を経由するのかについては、結構、軌道力学的には面白い話なんですが、あまりにも説明が長くなるので、それはまたの機会に記事にしたいと思います。先にキモだけ書いておくと、宇宙には目に見えない川の流れのようなものがあって、月近傍からだとその川に乗れて燃料をあんまり使わずに楽に他天体に行けるんです。この解説はまた今度。

まとめ

今回はISSの次、ゲートウェイについてまとめてみました。ISSとゲートウェイでは利用目的がまったく違い、特にゲートウェイは月や他天体の探査を目的としており、人類の活動領域がもはや地球にとどまらなくなることを予感させるものとなっています。僕の専門である軌道の話を持ち出すと長くなるので、今回はざっくりとした説明にしましたが、いつかは記事にしたいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!

あきまる@宇宙の研究者
よろしければサポートいただけると励みになります。いただいたサポートで何か記事にできるような面白いことができればと思っています。よろしくお願いいたします。

この記事が参加している募集