【2023年4月~】HPVワクチンの定期接種まわりを解説する
2023年4月から、ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対象に9価ワクチンが加わります。
同時に、9価ワクチンの接種回数について、1回目を9~14歳のうちに接種すると2回の接種で完了できることになります。
ややこしくなるので、定期接種まわりの状況をまとめつつ、今後の課題にも触れていきます。
なお、定期接種とは、費用を公費で負担し、国として接種を勧奨するものと位置づけられている予防接種であり、定期接種の対象者(またはその親)は予防接種を受ける(受けさせる)努力義務があります。「強制」ではありません。
●HPVワクチンの定期接種の諸条件
年齢:12~16歳相当(小6~高1の学年)
性別:女性
種類:2価、4価、9価
回数:3回
上記の条件のうち、9価ワクチンの1回目を15歳未満(14歳まで)で接種し、少なくとも5ヶ月以上(標準は6ヶ月)空けて2回目を接種した場合に、2回で完了できることになります。
図示するとこんな感じ。
図からは読み取れませんが、15歳未満で1回目を終えれば、5ヶ月以上空けたときの2回目に15歳の誕生日を迎えていてもOKです。
また、薬事承認上の適応年齢は誕生日ベースであるのに対して、定期接種の対象期間は、12歳~16歳の「学年」であり、誕生日ベースでないことに留意が必要です。
参考:令和5年3月7日開催 第45回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料(連番05、06)
●今後の課題(個人的な感想)
・9価ワクチンの男性適応を追加する(2価は不要かも?)
・4価ワクチンと9価ワクチンの男性の定期接種化
・接種回数について、ワクチンの種類に関わらず運用を統一する
・PRにより力を入れて接種率を高める
積極的勧奨の中止が廃止され、やっとスタートラインに立ったHPVワクチン行政。
"子宮頸がんを歴史的書物の疾病にする"(10万人あたり4人を下回る)目標を考えると、道半ばです。
●子宮頸がんとHPVワクチンについての参考情報
・厚生労働省
・日本産科婦人科学会
・CDC(英語)
●(20231123追記)専門家による解説
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