孤独な散歩者の夢想(ルソーの本を譲り受けて)
少し前に、ご近所さんから大量の蔵書をいただいた。その家は、私たちが引っ越してきた時にはもう空き家になっていて、時々、私と同年代と思われる親戚の男性が黙々と中を片付けにきていた。ほとんど繋がりのなかった家の主人は、伴侶や子どもと死別し、施設に入っていると、別のご近所さんか聞いたことがあった。
ある時、紙ごみとして雪に濡れていく本たちをどうしても放っておけず、我が家で引き取れないか相談した。好きなだけ持って行っていいんですよと、男性は穏やかに言った。
回収車が来るまでほとんど