毎日毎日メロンを食べ続けた高2の夏とおじいちゃんの思い出
有り難いことに、お裾分けのお裾分けで完熟メロンをマルッといただいた。
切ったら果肉がドロっとしていてめちゃくちゃ甘くて贅沢なひととき…。
メロンを食べると、
大好きだったおじいちゃんと過ごした夏を思い出す。
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私が高2の5月のこと。同居の祖父母の住居スペースを建て替えることになり、祖父母は近所のアパートへ一時的に引っ越した。
その引越し先での最初の晩に、いままであんなに元気だった祖父が急に倒れて入院することになった。
膵臓癌が見つかったのだが、決して本人には知らせなかった。そういう時代だった。
たとえ元気になっても「帰る自宅」が取り壊されてしまった後だったので、とにかく大急ぎで家を建ててもらった。
入院している祖父は(家はどうなった?)と毎日必ず聞くので私は逐一様子を伝えていた。
夏が過ぎて秋になり11月になるとようやく住める状況になり、私は祖父に「お仏壇が家に入ったよ。ようやく住めるようになったよ」と伝えた。信心深い祖父はお仏壇を一番心配していたと私が勝手に感じていたゆえの発言だった。
(陰でこっそりと、そんな縁起の悪いこと言うものじゃありません!と祖母に叱られた)
祖父は小さな声で、
「明日、家に帰る」
とだけ言った。
それが祖父との最期の会話となった。
次の日の朝、祖父は棺に入れられて無言の帰宅をした。
新居はまだ家具も何にも無くて、お仏壇と棺のみ。そのような状態でまず行ったのは祖父の葬儀だった。
夏のお見舞いの定番と言えばメロンだ。あの夏、
入院中の祖父を訪ねて来る人はみな手にメロンを下げていた。
私たち家族は毎日毎日メロンのお下がりを持ち帰り、家族総出で毎日毎日メロンを4分の1ずつ頂いた。
時にはお腹が冷えて痛くなったり。時にはお腹をくだしてしまったり。それでも毎日毎日メロンを4分の1づつ食べまくった。
これから先ももう、あんなにメロンをバクバクと食べ続ける事は無いと思う。
完熟メロンは、ほんの少しだけいただくのが美味しい。
7月20日、忘れていないよ、
祖父の誕生日。
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