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命を奪うためのファッションデザイン / 軍装・服飾史 カラー図鑑

軍服のデザインに込められた生きる知恵

戦争は嫌いだ。しかし、命を守るなど、強い目的意識をもった衣服には興味を持たざるを得ない。配色や装飾など、文化的側面を持つものにはいつだって生きる知恵が備わっており、強い個性を持つブランドを目にしたとき、文化や言語的背景を知りたいという気持ちに駆られる。

この本では、そういった命を守る・命を奪う 強い目的意識を持った衣服が美しいビジュアルで表現され、歴史的経緯についてもざっくりと触れてくれている。

なるほどと唸った衣服の創意工夫 5つ

- 1.コッドピース(股袋)は急所撃ちを緩和するためにつけられていた

- 2.馬の操縦をするための先のとがった剣の根本付近には二手に刃がわかれたような交し取っ手という細工があり、相手の剣の矛先を反らす目的があった。

- 3.甲冑のつなぎ目を狙って突き刺せるよう、先端が細く鋭利な剣が使われていた。フェンシングで用いられる刺突剣は軽量なため護身用として用いられることも。

- 4.獣の皮でできたマントは、方方からくる弓矢の威力を緩和させる目的で使われていた


- 5.ドイツ軍が世界大戦中、迷彩研究の末に軍服に迷彩柄を採用。季節に応じて色が変わるらしい。

いろんな知恵が散りばめられていてとても興味深かった。ナポレオン時代以後(歴史は詳しくないので本当にざっくり)はかなり現代的な衣服に近づいている。体を守るための目立った装備がごっそり減ってしまっていて少しつまらない。とはいえ、明確なビジュアルパターン設計・戦意向上や人事管理などを目的としたデザインが続々と出現。時代が新しいのもあって、さまざまな文献が残っていたのだろうか、ブランディング目的の装飾に対する説明が事細かにされており、とても興味深い。


本を読み終えて、ふと思い出したのが時代考証が精密になされていると評判のアニメ「シュヴァリエ」。歴史ものが好きな人にもおすすめの一作だ。もういちど見返して再解釈を楽しみたい。

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