比べることで、何が素敵かわかる
「デザインを構想する」という本で、祖父江慎がデザインをする上で重要なのは「うっとりする力」だそう。花だとか、シダの葉の規則性だとか、とにかくなんにでも自分を忘れて対象に感動してみることが大事なのだ。
なんにでもうっとりする...つまりなんでもあるがまま・肯定的・マインドフルに捉えることは、難しい。今画面に写っているフォントの美しさにうっとりするのは、今の自分では難しい。
そこで祖父江慎が提示してくれたヒントは「比較すること」だった。
「具体的にこういうスペックとは言えないんだけど、素敵ないい感じのフォントをなにか得たい」と思ったときにとりあえず見るのがGoogle Fontsというフォントライブラリ。たくさんのダウンロード可能なフォントが揃っており、自分の入力したテキストが表示されているフォントに自動的に反映されるシミュレーターが超便利。自分の思い描いた見た目かどうかを比較によって判断できるから、「ああ、これ、これが素敵!Atmaがイイ!」、みたいにして自分の好きなものがなんだったのかが見つかる。
フェリシモがキャンペーンでやっている「選ぶのに迷ったら ボトムス比べ」も、そもそも自分が何がほしいのかが言語化できない人にはありがたい。比較検討した結果、何がほしくないのか、この中だと何が一番か、なぜそれがいいのか、までは言語化できるようになるからだ。
何かをあるがまま肯定できなくなったら、似たような比較対象を持ち込んで、それらを並べることで、対象の良さに気づいてだんだん「うっとり」することができるし、それの何がイイのか・悪いのかを評価できる精神状態に持ち込むことができるはず。
デザイン提案も一つだけ持ち込むよりかは、複数案持ち込むほうがレビュアーをうっとりさせることができるかもしれないし、すくなくとも具体的な言語化をさせるチャンスは与えられるかもしれない。みたいなことを思ったのだった。