奄美大島における新型コロナウイルスの感染者発生と、GW中の格安航空会社Peach Aviation(ピーチ・アビエーション)の運航中止について。
前回、前々回の記事を読んでくださった皆様、シェアしてくださった皆様、本当にありがとうございます。
奄美大島より船で20分の加計呂麻島に住む三谷晶子です。
とりあえず、ひとまず、なんですが、Peach Aviation(ピーチ・アビエーション)が奄美大島への5/1~5/6の運航を休止することを発表してくれました。
Peach Aviation(ピーチアビエーション)プレスリリース(2020年4月24日)
https://corporate.flypeach.com/cms/wp-content/uploads/2020/04/200424-Press-Release-J.pdf
また、奄美大島と同様に、前回の記事でも新聞記事を引用させていただいた石垣島の運休が決定しました。
Peach Aviation(ピーチ・アビエーション)※以下、ピーチと略します※の賢明なご判断に本当に感謝しております。
Twitterでは、この運休を決めてくれたピーチへの感謝のリプライが相次いでいました。
奄美大島住民も、ピーチが嫌いなわけではありません。
LCCの就航で東京、関西へのアクセスが格段にしやすくなり、前身のバニラエアの時代から含めると島に及ぼした経済効果は100億円以上とも言われています。
離島という立地柄、島内だけの経済では立ち行かない部分が多くあります。
交流人口を増やして、外から来た人にお金を落としてもらうのはとても大切なことだし、島在住者にも恩恵をもたらします。
けれど、そういった観光業や飲食業に従事している方も、今回の件に声をあげていました。
平時なら島にいらしてくださるのはとてもありがたいことだけれど、今はそれより島の人の命と健康を守りたいと思っているという声が多く聞かれました。
ですが、当然、ピーチも現在、苦境に立たされていると思います。
4月から5月まで、ほぼ運休せざるを得ない状態は、本当に会社の存続の危機かと。
運休の要望を聞いてくれたピーチに感謝とともに、少しでも路線存続の力になれるよう、ピーチのショップでピーチの商品を買おうという動きも島内では出ています。
Peach公式オンラインショップ PEACH SHOP ONLINE
奄美発のチョコレートブランド、NESARI CHOCOLATEとコラボしたモバイルバッテリーとかかわいいですよ!
よろしければ、ぜひ皆さまご覧くださいませ。
現状、奄美大島では、5/1~5/6の間、鹿児島、羽田、伊丹、福岡と奄美大島を結ぶJAL、奄美大島と周辺離島である喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島を結ぶJACしか運航しません。ちなみに、JALも大幅に減便してます。
JALは郵便、航空貨物、医療用品、検体、血液の空輸も担っています。
こちらを止めることは、島の人間の命にもかかわることです。
また、JACは奄美群島の離島間を繋いでいる飛行機。
奄美大島も医療体制は万全と言えませんが、ほかの離島はさらに医療リソースが貧弱です。
内地から奄美へ、奄美からほかの離島へ、定期的に診療のために来てくださっているお医者様、医療関係者がいます。
こちらの便を止めることも、島の人間の命にかかわることです。
逆に、離島では対応ができないご病気をお持ちの方は、周辺離島から奄美大島、また奄美大島から鹿児島などへ通院する人もいます。
ですので、飛行機を全便止める、と言うのは無理な話です。
ピーチは幸いにも、島民の危機感を汲み、5/1~5/6の運航を休止してくださいましたが、止めようのない飛行機がある以上、それに乗ってきてしまう観光客がいるのではないか、と島内ではまだ危機感が続いています。
実際、ピーチが運休中の現在も、「今日、レンタカーを見た」と近所の方から聞きました。
狭い島なので、本当に、見知らぬ人、見知らぬ車があったらすぐにわかるんです。
ていうか、単純に、奄美の感染症病床は4つしかないんですね。
で、家→空港→飛行機→島って当然、行くまでに人が集まる場所に行かなきゃいけないから感染リスクが高まります。
でも、もし島で発症しても行くところがない可能性、全然ある。だって、周り、海だし。その上、鹿児島まで300km近く離れてるし。
もう、本当に、
島に来るより、家にいたほうが安全よ???
あと、現在、島内のお店はほとんど閉めています。やっていても島内の方のみ、と限定して店頭に張り紙をしています。
奄美市役所からは、こういった啓発画像も出ています。
私が住む加計呂麻島が住む瀬戸内町では、加計呂麻島に渡るフェリーに島外者が乗ることを控えていただくよう要請する内容の張り紙があちこちに張られています。
こちらと同内容のメッセージが、あちこちにいっぱいよ。
普通に考えて、そんな状況で来ても、
全然、楽しめないと思うよ???
今日は、Zoomで「現在の来島を控えてほしい」というメッセージを発する奄美群島の人びとの集まりがありました。
『夫とちょっと離れて島暮らし』著者のイラストレーターちゃずさんもInstagramでこういったイラストを出しています。
私が住む加計呂麻島の瀬戸内町長は、YouTubeで強い来島自粛要請を出しています。
ここまで、現在、奄美群島では、官民そろって「現在の来島を控えてほしい」と言う要請をしています。
空港で、水際対策で検温、来島理由チェック、任意ですが行動予定を確認されて、滞在期間中の体調確認もされて、
で、その上、飲食店にも商店にも来店を断られちゃうんだよ???
(そう言う人を選ぶようなこと本当はしたくないけど……ってお店の人は口々に言うけど今は仕方ないですよ……。断る方も悲しいし辛いんですよ……)
いや、本当、単純に、
まじで今の状況で来ても楽しくないよ。
と、南の島の現状でした。
ただ、同時にいつまで観光や来島を制限するのかって問題もあって。
今は、島内で、これから先どうするのか知恵を絞っているところでもあるんです。
内地で失業した島出身者が帰らざるを得なくなること、この記事にもあるように、今年初めて島を出た学生が、学校もなくバイトもない中で帰ってこざるを得なくなること、これからいっぱいあるだろうし。
※さまざまな島の状況がよくわかる良記事だから、是非読んでね!※
そういうことも考えていかなきゃってみんなで知恵を絞っているところ。
このコロナウイルスのおかげで、小さい範囲だけど、まさかの官民連携が出来ちゃったりしているのが今の奄美大島でもあったりします。
島外に住む友達や家族や親せきに会いたい、会いたいけど今は会えないのは、島内の人も同じ。そして、その状況を何とかしたいのも、同じなんです。
だから、今は来るのを待って、
皆さま、それぞれの場所でお体ご自愛くださいませ。
いつか、この美しい島で再会できたなら、
それはきっと夢のように幸せな時間だよ。
心は、いつでも加計呂麻島へ飛ばしていいからね!
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前回、前々回とシェアしているchange.orgの「奄美大島への観光ストップ!!島を守りたい!!」は、空港、港での水際対策強化と、やむを得ない場合の来島者の二週間強制隔離を徹底させてほしいという内容です。
ピーチの運航の話が始まる前からあった署名だから、ピーチの運航を止めることだけが目的ではありません(結果的に人の流入が減ったことはよかったのですが)。
とりあえず、この騒動は長引きそうだし、明確な来島ルールを定めることは、島にとって必要なことだとは私は思っています。
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作家/『ILAND identity』プロデューサー。2013年より奄美群島・加計呂麻島に在住。著書に『ろくでなし6TEEN』(小学館)、『腹黒い11人の女』(yours-store)。Web小説『こうげ帖』、『海の上に浮かぶ森のような島は』。