akiko

イタリア・ローマ在住。実務翻訳者&通訳者。 でもその実態は、きっと自由業を謳歌しているただの人。 「日々のことに丁寧に向き合って、シンプルで素朴な暮らしをしたい」という理想はあるものの、性格や傾向が全く正反対なのが玉に瑕。

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イタリア・ローマ在住。実務翻訳者&通訳者。 でもその実態は、きっと自由業を謳歌しているただの人。 「日々のことに丁寧に向き合って、シンプルで素朴な暮らしをしたい」という理想はあるものの、性格や傾向が全く正反対なのが玉に瑕。

最近の記事

続・イタリアでディズニー映画を見て、世界の多様性に思いを馳せる件

娘のおかげでディズニー映画の奥深さを知るようになった…ということを、以前さらっと書いてみた。 わたしは幼いときから既にかなり「スレた」人間であり、夢のあるファンタジーの世界に憧れるよりロックを聴くのを好む、可愛らしさなど微塵もない子どもだった。 そのため、平然と「プリンセスになりたい」と語って憚らない自分の娘をある意味すごいなと思っているのだが、やはり国境に関係なくありとあらゆる子どもはもちろん大人をも惹きつけ魅了して止まず、時代を超えて愛されるディズニー映画には、言語や民

    • Paoloのこと ― 「自然な生活」を教えてくれた人【ローマでちょっとグレタさん生活】

      わたしがまだ駆け出しのフリーランス実務翻訳・通訳者だった頃 ― もう、10年くらい前だと思う ― あるプロジェクトでとても印象的な人に出会った。 Paoloはわたしより2歳ほど年上の靴の職人さんで、自分の作る靴をより多くの人に知ってもらおうと来日した際、わたしが通訳を担当したのだ。 フィレンツェのあるトスカーナ州のお隣、マルケ州の南の小さな町に工房を構え、奥さんと2人のお嬢さんと暮らすPaoloは、カスタムオーダー(またはビスポーク)で靴、正確に言えば主にメンズのドレスシュー

      • ローマに日本の風を運んでくれるもの、そして慣れ

        9月からScuola d'Infanzia(イタリアでは、3~5歳の子どもが通う学校はこう呼ばれている)に通い始めた娘は、日に日にイタリア人らしくなっている。イタリア人の先生とお友達に囲まれてイタリア語でお話しし、イタリア語の歌を歌ったあとは「学校のレストラン(←食堂のことを娘はこう呼んでいる)」でイタリアスタイルのお昼ごはんを食べているのだから、ごくごく当たりまえの話である。 ↓ 少し前に、娘の価値観についてこんな話を書いたことがあったんだった しかし、大人のわたしでも

        • 毎日にイライラしたら、パスタを打てばいいじゃない【ローマでちょっとグレタさん生活】

          小学生の頃から仲よくしている夫の友達(♀)が晩ごはんにやって来る、というので、トロフィエというパスタを打った。 できたパスタの写真を撮って、夫が友達に「現在進行中」と送ったところ、彼女から「…工房?」というメッセージが帰ってきた。 工房というか、不格好な白魚に見えるから例えるならば「魚屋」のほうが正しかったのでは…と思ったけれど、確かにこんな風景を家で見ることはあまり多くないかもしれない。 イタリアのノンナ(おばあちゃん)の味…といえば、日曜日、みんなが集まるお昼ごはんの

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          イタリアでディズニー映画を見て、世界の多様性に思いを馳せる件

          少し前に、こんな話を書いた。 このとき、娘(現在3歳8か月、半分イタリア人、半分日本人)とディズニーの映画鑑賞をするようになったことに触れたのだが、わたしは「あること」をすっかり忘れていた。 イタリアで見たディズニー作品が、それはそれはおもしろかったのである。 とはいえ、ン十年ぶりに童心を取り戻したからでもなければ、大人になって物語を違う形で解釈できるようになったからでもない。 実はイタリア版のディズニー映画は、日本でお馴染みのものとは一味も二味も違うのだ。 ところ変われば

          イタリアでディズニー映画を見て、世界の多様性に思いを馳せる件

          全く参考にならない、わたしたちのイタリア式夏休み(の序章)

          イタリアの夏は、長い。 とにかく、長い。 サマータイムで太陽の出ている時間が長いのはともかく、夏休みが長すぎるのだ。 日本やアメリカのように「有給休暇=ないと思ったほうがいい」という環境と比べると、ものすごく贅沢な悩みだろうと思う。 だって、正社員で働いていれば、有給休暇が4週間は保証されるのだ。 わたしも遠い昔、フィレンツェで悠々自適なシングルライフを送っていた頃は「休んで好きなことして、お給料も出るなんて最高!」と思っていたことがあった。 だが、しかし。 イタリアで家

          全く参考にならない、わたしたちのイタリア式夏休み(の序章)

          ところで【ローマでちょっとグレタさん生活】とは何ぞや…について

          ものを大切に、とか、自然に優しく、とか、わずかなことをここで書いているけれど、実はわたしはミレニアル世代でもなければ意識高い系でもなく、恥ずかしながら環境や生態系や地球に関して気を配ろうなんて思ったことは正直な話、あまりなかった。 世の中のありとあらゆる要素がバブリーで、人々の認識の中に「エコ」とか「サステナブル」という観念が全くなかった1980年代に生まれたわたしは、日本とアメリカで思春期を過ごした。 どんなものでも個別包装は当たりまえ、スーパーの棚にはきれいにカットされ

          ところで【ローマでちょっとグレタさん生活】とは何ぞや…について

          半分イタリア人の娘の恋愛観が、ある意味かなり達観していた件

          普段は「イタリアで、ローマで、シンプルで素朴で豊かな毎日を送るには」ということをなんとなーく頭に想い浮かべながら日々を過ごしつつ、わかったこと、やってみたこと、感じたこと…などなどをここに綴ろうと思っている。 しかし最近、イタリア人の父と日本人の母から生まれた娘(間もなく3歳6か月)を見ていると、とにかくおもしろくてしょうがない。 どんな子にも「こういう部分はお父さん譲りなのかな」「そんなところはお母さんに似ているね」ということがあると思うのだが、我が家の娘の場合は両親の性格

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          ローマで野菜を育ててみた…からのその後【ローマでちょっとグレタさん生活】

          目下、我が家で無駄に闘志が爆発している、ファミリー農園。 「観察する」という課題など存在しないイタリアの小学校を卒業し、中学校→高校→音楽院を経て、何かを植える際に根元に土をかける必要があるということすら知らないのでは?…という疑惑が持たれていたローマ生まれローマ育ちの夫も、虫もミミズも苦手だったのに今では「…だから何?」とあしらえるレベルになり、これまでのふてぶてしさに一段と磨きがかかった東京生まれ東京育ちのわたしも、見当外れも甚だしいほど意気込んだ両親に「野いちごを見に行

          ローマで野菜を育ててみた…からのその後【ローマでちょっとグレタさん生活】

          なぜかローマで野菜を育てることになった話・その3【ローマでちょっとグレタさん生活】

          そんなこんなで、いつの間にかわたしたちの生活の一部となった、家庭菜園。 わたしの華麗なる変貌もちろん1年目だし、趣味のレベルだし、夫もわたしも何かを栽培することは(ほぼ)未経験なので、きちんとできているのかどうか見当すらつかない。 でも、とりあえず、楽しい。 本当に楽しくて楽しくて、思わずやらないといけないことを放棄して通いたくなるくらい、楽しい。 明るく燦々と輝く太陽を浴びて、お水をぐんぐん吸収して、苗が少しずつ大きくなっているのを見ると幸せな気持ちになるし、どこかに小さ

          なぜかローマで野菜を育てることになった話・その3【ローマでちょっとグレタさん生活】

          なぜかローマで野菜を育てることになった話・その2【ローマでちょっとグレタさん生活】

          前回からの引き続き。 夫の長年の夢が願ってもない形で実現することが判明したその日から、我が家の空気は一変した。 非常にわかりやすい性格で、全てが見事に表情となって現れる夫の存在感は絶大で、セカンドハウス購入の話が流れたときはお通夜のようだった我が家は、現在進行形でリオのカーニバルが絶賛通過中のようなノリに様変わりした。 何をするにも暴走する傾向のある夫は、5秒後にでも農作業用ルックを7セットくらい買ってきそうなほどうずうずしており、何かしらのアクションを起こさずにはいられ

          なぜかローマで野菜を育てることになった話・その2【ローマでちょっとグレタさん生活】

          なぜかローマで野菜を育てることになった話【ローマでちょっとグレタさん生活】

          わたしは、夫と出会ってローマに来るまで、限りなく自然や緑とは縁がない生活をしていた。 生まれも育ちも限りなく神奈川に近い東京の住宅地で、近くで木々に囲まれた環境といえば学校にひっそりと設けられていたスペース(確かうさぎがいた)や児童遊園(人為的にしっかり管理されていそうだった)、そうでなければ週末に両親と出かけた都内のお寺や庭園(仰々しい名前がついていた)、または特別なお休みにこれまた両親に連れて行ってもらったアスレチックや海(車での移動が必須だった)くらいしか記憶にない。

          なぜかローマで野菜を育てることになった話【ローマでちょっとグレタさん生活】

          夫の趣味が、我が家を救う【ローマでちょっとグレタさん生活】

          芸術を生業としている夫はとても優しく、ときどきちょっと面倒なくらい繊細な心の持ち主だ。 もともと料理がものすごく上手なうえ、掃除や洗濯もそつなくこなす人であり、ここ1年ほどは、娘の専属スタイリスト業にも本格的に精を出すようになった。 そういった意味では、かなりベータ寄りの男性である。 本人もそのことは自覚していて、トラックの運転手さんや建築現場の作業員さんなどなど、野性味あふれた男性が集うバールに入ってしまうと、自分がその場に全く馴染んでいないことを実感するようだし、それをネ

          夫の趣味が、我が家を救う【ローマでちょっとグレタさん生活】

          アンティークマーケットは偉大だ【ローマでちょっとグレタさん生活】

          わたしたちがどうして、そして、どのようにリフォームに挑んだかの話 全く関係ないエピソードのほうが多いのでは…という疑惑はともかく、わたしはさらっと、夫がキッチンに取り付けたアンティークランプの写真を載せた。 このランプは、ある日曜日に「天気がいいから、何となく」という意欲はもちろん説得力のかけらもない理由で、我が家から車で7分ほどのところにあるセカンドハンドのマーケット(というと少し洗練された気がするが、その実態はいわゆる「蚤の市」)に行った際に見つけたものだ。 夫

          アンティークマーケットは偉大だ【ローマでちょっとグレタさん生活】

          友人・知人、タイミングと勢いに乗っかってみた【ローマでちょっとグレタさん生活】

          夫のハンドメイド感が満載のDIYリフォームから月日は流れ、このマンションにはいつの間にか「妻、と言うらしい」人物(それは、わたしだ)が居座るようになり、2人で少しずつ何かを手放したり、何かを迎えたり、何かを変えたりしていたのだが、あるとき、我が家はプロが介入する本気のリフォームの必然性に直面することとなった。 よくよく考えてみると、わたしたちがいつも食事するときに使っているキッチンのテーブルに、娘のStokkeのハイチェア(もちろん、夫の叔母から譲ってもらった)を置くスペー

          友人・知人、タイミングと勢いに乗っかってみた【ローマでちょっとグレタさん生活】

          ミニマリストになれない人から学ぶ、ちょっと素敵なこと【ローマでちょっとグレタさん生活】

          わたしたち家族が住んでいるマンションは、ローマの北側、至って普通の住宅密集エリアにある。 夫の話によると、1940年代に建てられたものらしい。 ヨーロッパではごくごくメジャーなセントラルヒーティング搭載のマンションはお湯を流して建物全体を暖めるシステムなのだが、今年の冬にスイッチを入れる際、そのお湯を沸かす給湯器があまりにも老朽化して全く機能しなくなり、2週間ほど「ここはヒマラヤですか?」と思いながら過ごすことを強いられたほどの物件である。 そりゃあそうだ、八十路だもの。 む

          ミニマリストになれない人から学ぶ、ちょっと素敵なこと【ローマでちょっとグレタさん生活】