「今度こそ、諦めたくない」リベンジを叶えた勉強法とは
年金、またここか。
ダメだ、全然イメージできない。
「また」諦めるのか――
2016年、1級FP技能士資格の勉強を始めたものの、早々に挫折しました。「結局続けられない自分」を突きつけられ自信喪失。ところがそれから7年後、晴れてその資格を取得することができたのです。本腰を入れて勉強したわずか2か月間で合格率10%を突破。今はFPサテライト株式会社に所属し、ファイナンシャルプランナーとして活動しています。
「今度こそ、諦めたくない」。人生をかけて再チャレンジを決意した2022年、数年前と同じパートでつまずいたときにたどりついた勉強法がありました。この記事では経緯やその勉強法を実施するポイントをまとめています。
「やろうと思ったのに、続かなかった経験がある」
「今回こそはやり遂げたい」
そんな風に考える人にお読みいただけましたら嬉しいです。
リベンジまでの紆余曲折
結婚とともに退職し、夫の住む東京に引っ越したのが2016年の春。夫の転勤に左右されず仕事を続けていくには、資格を取れたらよいなぁと考えていました。
分厚いテキストを買い込んだものの、早々に挫折。長女の妊娠も言い訳になりました。そのときつまずいたのは年金パート。「イメージできない」「何が分からないかわからない」そんな状態でした。
それから6年後の2022年。米国駐在帯同を経て帰国した私は再び資格挑戦を決意。断絶したキャリアと向き合い、「仕事復帰するには資格しかない」と人生をかける思いでした。
ところが、またしても年金の壁が立ちはだかったのです。今思うと、テキストの文章だけ読んで机上の勉強になっていたことが原因だったなと感じます。よく聞く「〇時間勉強すれば合格する」ということを信じて、とにかく机に向かえば良いとも思ってしまっていました。
状況打開のきっかけ
状況を打開したきっかけは、実家の母との会話でした。母は、パートで年金関係の事務手続きをする仕事をしています。そこで「今年金のどんな仕事をしてるの?」と聞いてみました。すると母は「亡くなった人の年金の手続きをしている」と教えてくれたのです。
その瞬間。読んでいたテキストのページや、見ていた動画が頭の中に現れ、脳内で必死にその知識がある場所を探しました。
「未支給年金のことだね」
私がそう答えると、母は驚いた顔をして
「よく勉強してるね」
と言ってくれました。
このとき、私が勉強していることは、”生きている知識”だと強く感じたのです。必死に暗記しているのはただテキストに書いてあることではない。実際に社会に存在している生きた現実を学んでいるのだということが分かり、このことをきっかけに一気に年金への興味が湧きました。
「学んだ知識を人に話すことで理解が深まる」ということを体感し、これを勉強に組み入れようと思案。そこでたどり着いたのが、今回ご紹介する「家庭内セミナー」を開催するという勉強法です。
問題演習をするかたわら、夫相手に随時ミニセミナーを開催しました。結果、本腰を入れた勉強期間は2ヶ月で学科試験一発合格。「結局続けられない自分」を乗り越えた瞬間でした。
家庭内セミナーとは
「学んだ知識を人に話す」ということだけを考えれば、わざわざセミナー形式にせずただ話題にさえすればよいのでは、と思われるかもしれません。でも、知識を整理したいテーマを自然と話題にすることは案外難しいものです。
実はあるときママ友に、「FPの勉強しているから何か質問してよ」と言ってみたところ「そんなこと急に言われても……」と困らせてしまったことがありました。そういったことを経て、あらかじめ知識をレクチャーし、その後質問タイムを設けるというセミナー形式に行きついたのです。
家庭内セミナーといっても、1時間も2時間も喋るわけではありません。特に知識を整理したいテーマについて、シンプルにまとめて説明。説明後には決まって「質問して」とお願いします。何よりも、人に話すことでテキストの内容が自分の周りの現実に関係しているということを意識できます。これがこの勉強法のメリットです。
家庭内セミナー開催のポイント
ここからは、家庭内セミナーを実際に開催するにあたってのポイントをまとめたいと思います。
セミナー対象者選定
対象者としてふさわしいのは、何よりも頻繁に話せる人でしょう。勉強をしていると「今この知識を誰かに伝えたい」という瞬間が出てきます。旬を逃さず伝えることができる相手を選ぶことをお勧めします。
知識レベル的には、”そこまで詳しくない“くらいの人の方がよいと考えています。そういう人の方が「厚生年金ってなんだっけ?」というようなそもそも質問をしてくれる可能性が高い。これがまた、とてもよい勉強になるからです。
セミナートークスクリプト作成
簡単にでいいので、トークスクリプトを作成することもお勧めします。一言一句決める必要はありませんが、経験上「聞く相手を意識して、説明をする順番を考える」という作業は知識の定着にとても役に立ちます。全体像が分からないと分かりやすい順番で説明できないものです。
人に説明しようと思うと、テキストだけでは分からないことがゴロゴロ出てくるということがよくあります。そんなときに情報収集する方法もご紹介します。
情報収集のコツ
①検索する
大体のことは検索すると出てきます。自分が沢山検索するようになって以来、他の人から質問を受けるときに「それ検索すればすぐ分かるのに」と感じることが増えました。まずは検索してみましょう。
②動画を見る
検索しても分からないときは、経験上全体像を分かっていない場合が多いです。全体像を把握するには、よく分かっている人の解説動画を視聴することが一番。YouTubeでなるべく広いテーマで検索し動画を見ていきます。
③書籍を読む
検索&動画で理解しきれなかったら、書籍に頼っています。結局は書籍が一番詳しく体系的にまとまっていると感じるからです。私自身「これは苦手だ」というテーマについては本を買っていました。例えば年金だとこの本。
基礎的なことを網羅的にまとめてある書籍は、全体像を把握することにとても役立ちました。
番外編:AIに聞く
私が資格勉強をしていた2022年当時は今ほどAIも流行っていなかった印象ですが、資格取得後も仕事で日々勉強している今、知識のインプットにもAIを使うことがあります。
特に、「この単語とこの単語の関係性を説明して」というような質問をよくしています。「どう検索していいか分からないくらい分からない」というフェーズのときにとても有効な印象です。
トークスクリプトができたら、いよいよ家庭内セミナーを開催しましょう。セミナー開催の注意点もお伝えします。
セミナー開催の注意点
①ちゃんと話を聞いてもらう態勢を整える。
セミナーを子どもに中断されると気が散るので、1対1で話せる環境を作ります。勉強の一環であることを念頭に、集中できる環境にするとよいでしょう。
②感謝の念を伝える。
セミナー対象として選定した人には手厚く感謝の気持ちを伝えましょう。基本的に本人は興味がないことをうんうんと聞いて、あげく質問もひねり出さないといけないのですから。本当にありがたいことです。
AI活用時代に「人に話す」ということ
「学んだ知識を人に話す」ということを考えたときに、話し相手はAIでもよいのでは、と思われるかもしれません。実際に「○○を理解しているか確認する質問をして」と言えば、的確な質問をしてくれるでしょう。
でも個人的にはあえて「人に話す」ことをお勧めしたい。机上で学んでいたことが”生きている知識”だということが分かると、学んでいることに興味が湧き心が躍る瞬間があるのです。この体験はAIとはできないのではないでしょうか。
AI活用についてのこんな記事がありました。
「AI活用が進む社会で価値をどう創造しますか?」と問うこの記事で、「知識に興味を持つことが価値となる」と仰っている方がいました。人間同士のかかわりの中で知識に興味を持つことこそ、AI活用が進む社会で重要になってくると考えます。
また、知識に興味を持つその先にも思いを馳せます。私自身、現在はファイナンシャルプランナーとしてお客様のご相談に乗っています。その中で、勉強して身に付けた知識によってお客様の問題を解決し「人生に前向きな影響がありそうです」と感想をいただいたこともあります。
”学んだ知識で、誰かの人生の役に立つ”
AI活用が進む今。人との関わりのなかで知識に興味を持ち、そしてその知識によって誰かの人生の役に立っていく。このことにおいても、価値は創造されていくと感じています。
「机上の勉強」を”生きている知識”に変える「家庭内セミナー」。「今回こそはやり遂げたい」そう願う皆さん、身近な人に声をかけて、始めてみてはいかがでしょうか。
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