見出し画像

共有【詩】

「共有」

つるつると
つるつると

言葉が
見ている端から
頭上を滑り

相手は
張り付いた笑顔のまま

透明な
大きな
風船の中で

飛散した唾の天井
語る言葉はひとつも
届かずに

ひとつも

手を伸ばせば触れるのに
言葉だけが

つるつると
つるつると

ななめ四十五度
雑踏の中
誰にもつかまえられず
上空へ

手紙を乗せた風船のように
ジェット気流に乗って
どこかで誰かと
言葉を共有できますように

でも
とりあえず
目の前にいる
こんにゃくみたいな人たちを
どうしたらいいんだろう

(2005-12-14)


いいなと思ったら応援しよう!