マスコミを大いに利用する!-アルセーヌ・ルパンのメディア戦略⑫-
みなさん、こんにちは!
前回のブログ記事↓が、かなりエネルギーを使う記事だったため、今回はライトに書いていきたいと思います。
と、その前にですね、私がよく拝見しているフランス関連のYouTubeがあるのですが、エトルタを紹介している動画がありますので、奇厳城の舞台となったエトルタを知りたい!行きたい!と思っていらっしゃる方にはお勧めです↓
【裏道散歩】ノルマンディーの街エトルタの断崖絶壁を歩く!
私は、1年位前に拝見したのですが、わー、エトルタ懐かしいと😍なりました❤
では,、今回も『ルパンの世界』(以下、本書)第23章「新聞と新聞記者」をベースに、アルセーヌ・ルパンのメディア戦略をみていきたいと思います。
ルパンって、マスコミを利用するのが本当に上手いなと、いろんな冒険譚を読む度に思うんです。
ルパンが活躍した時代の主要なマスコミと言えば、新聞ですね。
本書によると、ベル・エポック時代の新聞は、部数が多くて安価だったため、とりわけ多くの庶民の間で読まれたそうです。
奇厳城を読むと、アンブリュメジー事件が起こった時、館にすぐさま新聞記者が駆けつけてくる様子が描かれてますね。
本書では、ルパンのことを”ちょっぴり気取り屋の彼”と表現されているんですが、私もルパンは大衆の面前に立つことに抵抗はなかったと思います。
むしろ、(怪盗だけど)注目されるのが好きだし、自分の言動によって大衆や警察が動くのを楽しんでいるようにも思える。
彼には大衆や警察を俯瞰して眺める余裕が感じられるんです。
特に、それが顕著に表れている冒険譚が、ルパン対ホームズの1つ目のストリーである金髪の美女です。
ベルサイユに住む数学教師であるジェルボワ氏と、どちらが1等の宝くじの正式な所有者であるかを巡って(本当はこの宝くじをしまっていた歴史的に価値のある机がルパンは欲しかったんだけどね😅・・・詳しくは金髪の美女をお読みください😉)、新聞に証拠の手紙なんかを掲載するわけですが、それが一般大衆に大注目!!されるわけです。
世間の人々は、2人の対決の行方が知りたくて、まさに新聞を奪い合うように求める様子が描かれています。
要するに、ルパンは新聞を使って、ジェルボワ氏に喧嘩を売っている、というか、彼を自分の思い通りに動かそうとしているわけですが、その一挙手一投足が、世間の注目を集めるわけです。
私、恥ずかしながら、最近知ったのですが、こういうのを「劇場型犯罪」っていうんですね。
劇場型犯罪とは・・・
「犯行声明などを発表し、人々の注目を集めることを目的の一つとする犯罪。
もしくは、犯人がテレビや新聞などのマスメディアを利用し、世間の人々は観客として演劇や映画を観るかのように進んでいく犯罪のこと。」
まさに、金髪の美女の序盤では、一般大衆や警察まで巻きこんで、ルパンらしく大胆にストーリーが進んでいきます。
そして、新聞と言えば、ルパンファンなら誰でも知っている「エコー・ド・フランス」ですね。
本書にも書かれている通り、エコー・ド・フランスは、ルパンのお手柄を伝える正式な報道機関とされていて、ルパンも自分の宣伝をするためにこの新聞を大いに利用しています。
本書の著者曰く、このエコー・ド・フランスは、当時、実際にあったエコー・ド・パリという新聞に似ているらしい。
ともかく、このエコー・ド・フランスは、獄中のアルセーヌ・ルパンでも、ルパンがカオルン男爵に送った犯行予告の手紙を掲載したりしているんですよね。
(それにしても、ルパン・・・ラ・サンテ刑務所にいるのに、どうやって犯行予告の手紙を送ったんだろう🤔)
不思議な旅行者では、ルパンのおかげで殺人鬼が逮捕されたことをエコー・ド・フランスが伝えているのですが・・・ルパンが読者に語る最後の言葉もこれまた意味深なんですよね↓
「諸君、頭のいい宣伝はかならず利益をもたらしてくれる。ぼくは、そう信じているんだ」
やはり、ルパンはマスコミや宣伝がもつパワーにいち早く気づき、それを認めていたのでしょうね。
本書では、”いまならきっと、ルパンはインターネットのサイトを持つだろう”と書かれていますが、私も、もしルパンが現代にいたら、ブログやXなど、ありとあらゆるソーシャルメディアを駆使していそうな気がします😁
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。