［谷川史子］ 告白物語おおむね全部 30th anniversary
小学校低学年の頃、「りぼん」を愛読していて、月1回、近所の本屋に小銭を握りしめて買いに行くのが楽しみで仕方なかった。
当時の流行りの漫画は「ときめきトゥナイト」や「星の瞳のシルエット」等で夢中で読んでいたのを覚えている。
そんな中、デビューしたての谷川史子さんの作品が掲載されていたのを鮮明に覚えている。
「花いちもんめ」
「きみのこと好きなんだ」
なぜそんなに鮮明に覚えていたのか。
それは他の作品とは明らかに異なる（幼心にちょっと異質というか、怖いというか、暗いというか、特に「花いちもんめ」は大人っぽい印象を受けた）雰囲気をまとっていたから。
少女漫画特有のキラキラ感とか、お姫さま王子様感とか、派手な煽りとか、ポップな作風とかとは一線を画していた。
とてもシンプルな作風。登場人物の顔の表情も抑え気味で、全体的に落ち着いている。ストーリーも切ない雰囲気が漂っていた。
でもそこからずっと、ずっと、ずっと、大人になるまでほぼすべての単行本を購入。愛読し続けている。
色々な作家さんの漫画を読んできたけど、ずっと読み続けているのは谷川さんの作品くらい。
そして、小学生だった私がアラフォーになるまで、約30年間、ずっと作品を世に送り出し続けてくれた稀有な作家さんだということも併せてここでお伝えしたい。
私が小学生、中学生の頃、愛読していたマンガの作家さんはほとんどが表舞台から姿を消した。引退された方が大半だろうし、細々描かれていてもヒット作に恵まれない方もいるだろう。
そんな中、こんな長きに渡り、第一線で良質な作品を生み出し続けてくれている谷川さんに感謝の気持ちでいっぱいだ。
当時は中学生、高校生が主人公の作品が多かったが、時を経て、大人の女性を主人公に充てることも増えてきた。実年齢に近い主人公に共感することもしばしば。とてもうれしい。谷川さんの作品とともに自分も大人になってきたのだと。
そして、どの作品も谷川ワールド特有の優しさ、ピュアさ、懐かしさ、切なさ、爽やかさが満ち溢れていて、読後に必ず心が温まる。自分ももう少し頑張ろうと前向きになれる。そんな気持ちにしてくれる谷川作品が大好き。
＜特に大好きな作品＞
✔ 各駅停車（1992年）
✔ P.S.アイラブユー（2009年）
✔ 他人暮らし（2011年）
✔ くらしのいずみ（2009年）
✔ おひとり様物語（2008年～）
いいなと思ったら応援しよう！
