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五臓:肺は天空、心は太陽

人間を、大地にしっかりと根を下ろし、光降り注ぐ天空に向かって枝葉を広げる1本の木のありようと例えることができます。

そしてこの一本の木のありよう、つまり人をよーく観察するために、5つの要素、すなわち肝心脾肺腎に分けて考えます。五臓の肝心脾肺腎がそれぞれ独立して存在しているわけではなく、 一人の人間をよく診るための要素として五臓という概念を使っているのです。
ココポイントです。肝心脾肺腎という5つのブロックで一人の人間が汲み立っているのではなく、1つをよく診たときに5つの要素で考えることが出来るというイメージです。


肺:肺は天空です。心の火はそこにかかっている太陽です。

五臓 ...【肝】...【心】...【脾】...【肺】...【腎】


さて、肺の話しをします。

人間の身体において、天空というのは、外界と内界をへだてる外郭、バリヤです。

 

脾が大地に根ざし飲食物の摂取という役割で、外界と内界をつないでいますが、肺は、呼吸によって外界と内界をつなぐ役目ももちます。この一本の木の図だと少しわかりにくいですが、呼吸と飲食物の摂取という点で外界との関係を考えるのは肺と脾が中心となります。

 


 肺は華蓋ともいい、人間の命のまとまりとしての蓋の役割をしていますので、この蓋である肺が充実していると、生命力がしっかりとまとまることになります。

気の昇降出入


 この華蓋としての肺のイメージをディズニーランドで売っている風船と、選挙などの時にオマケでもらう風船に例えることがあります。お高い風船はゴムにしっかりと厚みがあり弾力があります。オマケでもらう風船は薄っぺらくてすぐに割れそうな雰囲気です。どちらも風船という一つのまとまりを作る役割を担ってはいますが、その質にかなりの差があります。力強い肺と、弱々しい肺の違いはこんなイメージを持つのもいいかと思います。

肺の話し東洋医学的な深掘り 


さて、ここからは東洋医学深掘りパート
東洋医学に足を突っ込んでいるとどうしても必要な深掘りです。

肺は気を主り呼吸を主る


肺は東洋医学の世界では比重の大きな臓腑です。
これは、呼吸という全身の要であるということ。そして呼吸に連動して全身の循環に対して大きな意味を持つと言うことなのかと思います。

肺はその形態を、八葉蓮華とされています。大木は葉っぱが前後に3つ、小さな葉が左右各一葉です。

肺と呼吸の関係でのポイント。
・呼吸を主る全身に対してヤカンの蓋のような華蓋としての役割。
・気のベクトルで、外界に対して閉じ開く作用と、下向きに下ろしていく作用がセット。
・水液の輸送や貯蔵、排泄の調整、
・百脈が調じるという全身への作用

肺が呼吸だけではなく、全身に対し気の升降出入ベクトルをもっているということがポイントであり、その力強さ、大きさも大事。合谷(手の陽明大腸、肺の裏)は肺気をバックグラウンドとしているから強いと思います。
肺気は下降をもって良とします。全身をくくり、その括りの中で下向きのベクトルを出して行く主役です

水液の運行と肺(通調水道)

肺には、通調水道の作用があるとされています。
通とは疏通、
調とは調節
水道とは水液が運行、排出するための通路のことであり、水の疏通にとって肺のベクトルはとても大切です。

百脈を朝し、治節を主る

なかなか味わいのある東洋医学用語がでてきました。
つまり、総司令官だ!ってことですね。心臓を扶けて血液の運行を調整します。このあたり、脉診という東洋医学独特の診察方法ともつながってきますね。

・百脈を朝じる:全身の血液は経脉を通じて肺に聚まり、肺の呼吸を通じて気体の交換が行われ、また全身に輸送される。
・治節を主る:肺の重要な生理機能を高度にまとめたもの
治節作用(肺の管理調節作用)

 

肺の五行立ち位置

  1. 憂は肺の志 憂は肺を損傷しやすい

  2. 涕は肺の衛気 鼻竅を潤す

  3. 肺は皮毛を主り、その華は毛にある。衛気を宣発し、清を皮毛に輸送する

  4. 鼻に開竅する 肺気の調和=呼吸、嗅覚 発生が正常


肺の作用まとめ

  1. 呼吸を調整(主る)

  2. 気の升降出入を主る (調節:全身の気機の管理)

  3. 心臓を扶けて血液の運行を水道調節   血液運行の推動、調節=百脈を朝ず

  4. 通調水道=肺の宣発粛降機能は水液の兪府運行、排泄を管理 呼気:宣散 吸気:粛降


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