男性教師が育休をとる際の罪悪感と人生のウソ②
育休をとる際に、
①職場への迷惑
②子どもたちに申し訳ない
といった点で苦悩するのが一般的かと思います。やはり私も考えました。
前回は①について書いたので今回は②の部分を
育休をとることを決めたのは担当学年が中2の秋を迎えた頃でした。
翌年5月に第一子が生まれ、実際に育休に入ったのは8月からです。
結論から言うと罪悪感は全く感じていませんでした。
大きな理由としては教育の目標は「自立」であるという信念からです。
ーー教育の目標は自立であるーー
アドラー心理学では教育の目標を「自立」に置いています。
この場合の自立を定義するとなかなか大変なのですが、結局のところ「人のせいにしない生き方」といったところでしょうか。
自分に起こる不利益とか人生の不満を環境や人のせいにして完結する。これこそが自立していない生き方です。この生き方の場合、環境が自動的に変わってくれることや相手が自分の都合のいいようにライフスタイルを変化させてくれることでしか、自分に幸せが訪れることがないからです。
自分の人生のカードや対人関係のカードは自分が握っている。
環境は自分で変えればいいし、他者へのアプローチの仕方や自分のバイアスを変化させれば何かが変わるかもしれません。
そういった自分主体でかつ目的論を主眼に置いたライフスタイルを「自立している状態」と定義します。
本当はもっといろいろあるのですが。。。(;'∀')
そして教育の目標は「自立」です。
そうであるならば、「マサムネ先生がいなければ私たちはやっていけない。」「マサムネ先生は裏切り者だ」「マサムネ先生がいなくなったら自分はどうしたらいいんだ」などといった思考を生徒に持たせてしまうのは、教育の敗北といえます。まさに自立の反対ですから。
実際うれしかったのはほとんどの生徒からはシンプルに「少し寂しいけど頑張るね」という反応をもらえ、笑顔でお別れできました。
2年から私が受け持ったある生徒は、クラスメイトに対して「マサムネ先生がいなくなったらどうしたら・・・」とこぼしたようですが、私はその時の彼ならもう大丈夫だと思っていましたし、実際に無事卒業していったようです。
そんな彼を少しかわいいなと思ってしまったのですが、これは抱くべき感情だったのかどうか迷うところではあります。
教師に依存させて学校に縛ろうとするテクニックもありますが、私はこれは好きになれません。こういった手法をとる人からすれば私は生徒らと離れることについて罪悪感を抱くべきなのかもしれません。
しかし、私の教育の目標からすると罪悪感を持つことがそもそも生徒たち自身の自分で歩む力を信頼していないことの現われになりますから、そんなおこがましい気持ちを持つことはつゆほども考えませんでした。
彼らの2年半にコミットすることで、大なり小なり彼らの自立への援助になったことは、私自身が自覚しています。つまり、私は彼らへの「貢献感」を自分の主観で感じ取っています。そのため彼らからの感謝の言葉や彼らからの一般的な教師の喜びとされるような態度は必要ありません。
最終的には忘れられてもかまいません。
ーー人の人生を生きてはならないーー
同僚に忖度することの危険性は前回書かせていただいた通りですが、これは生徒に対しても同様だと思います。
我々は我々の人生を生きなければなりませんし、私は自分の子どもの子育てに全力を注げないことの言い訳に、生徒たちを持ち出してはならないと考えました。
自分自身で現場を離れましたし、そういった姿勢をぜひ生徒のみんなにも持ってもらいたいと思います。
生徒に自立を求めながら、自分自身が他人に忖度して自分の人生を生きていないようであれば支離滅裂だと思います。
ただ一点本当に後悔していることは、生徒に育休に入ることを直前に伝えたことです。
2年の秋に決めたので承認され次第すぐにでも言いたかったのですが、学校に依頼され生徒に告げるのを3年の夏休み前にしました。8月から育休をとったので本当に直前でした。もちろん私もすぐに告げたいと食い下がったのですが、最終的には「育休をとらせてもらっている」誤った解釈に負けて指示を受け入れてしまいました。
正に自分が自立していなかったと猛省しています。
早めに告げ、それこそなぜ育休をとるのかということを自分自身を身近な教材として生徒たちと考えを深めていけるチャンスでした。しかしみすみす逃してしまいました。
なんでもかんでも自分の思い通りに主張すればいいというわけではありませんが、人の指示を受けたことでも従った時点で自分にも責任が生じると思います。
ですから、復帰したときには従いたくない指示についてはしっかりと意思表示をしていこうと思います。まだ少し自信はありませんが。
今回も私には「嫌われる勇気」が足りていなかったという結論で終わりそうです。(笑)
シンプルなんですが実践し続けることは非常に難しい。
でも知ってしまったからには今更もとのライフスタイルには戻せません。
やはりアドラー心理学は劇薬なのかもしれないですね。
駄文を最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
そろそろ子育てでの気づきも書いていこうかと思います( ^^)
ではまた次回!
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